プランナー リラ?
「あの未来の部屋で言ったけど、前にゲームを作ろうとしてでも難しくて投げ出しちゃったのに、エリはちゃんと最後まで完成させたんだもん。あたしのほうがゲームを愛してるのに!」
「それはしょうがないよ」そういうことかと納得してエリは慰める。「ゲームってパソコンで作るんでしょ? ここだと想像したものが簡単に出せるしオバケたちが協力してくれたから難しさが全然違う」
「そうだとしてもだよ! それに!」リラは『それに』をことさら強調して、言った。「これってあたしが作ろうとしてたやつじゃん! もっとちっちゃいころにエリに見せたやつ」
「覚えてたの?」エリは目をまん丸にした。
「覚えてたっていうより思い出したんだけどね。それよりそうなんでしょ?」
「うん。あのとき見せてもらったものを思い出しながらね」
「やっぱり! だから余計にくやしいんだよ。……でも、あたしのアイデアをエリが形にしてくれたって考えるとそれはそれで嬉しいんだよね。フクザツ」
最後にポツリとこぼした言葉にエリが笑い出し、おかしくなってリラもふきだした。そうして部屋のなかに明るく無邪気で可愛らしい笑い声が鳴り響き、ひとしきり笑ったあと部屋はまた静かになり、リラはエリと視線を交わすと残念そうな顔を作って
「じゃ、そろそろお家に帰ろうかな」と言って立ち上がった。
エリも腰を上げクスクスと笑いながら言った。
「リラの部屋なのに変だね」
「ほんとだよ」リラは肩をすくめて笑った。
そしてわずかな間を置いたあと、おもむろにエリを抱きしめた。
「エリ、たのしかった」耳元でささやく。「おもしろかった、ビックリした、うれしかった、最高だった。忘れない、ぜったい。ありがと」左頬にひとすじの光が伝う。
エリも一瞬おどろいたもののすぐにギュッと抱きしめ返した。エリに言葉はなかった。悲しくて辛くてでもうれしくてうれしくて、色んな想いが空っぽの体の中をあふれんばかりに満たしていくが、決してこぼれない。しかしリラにはその想いが彼女を抱きとめる力から十分すぎるほど伝わっていた。そのまましばらく抱きしめ合って、やがてどちらともなく離れ、リラがオバケに尋ねた。
「それでどうやって家に帰るの?」
「そのベッドで寝て、起きた時にはもう本当のお部屋です」
「じゃあ、またパジャマに着替えようかな」
ファッションショーを開いたままの散らばっている服のなかからここまで着ていた黄色のパジャマを探し出し、いま着ている洋服をポイポイと脱ぎ散らかして、パジャマに袖を通す。それから玉になっている毛布を伸ばしてベッドを整え、もう思い残すことはないかと考えを巡らす。大丈夫、と心のなかで呟く。そして毛布の上の部分をすこしめくって入ろうとしたところで
「リラ」エリが呼んだ。




