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Ghost and Girl  作者: M.K
ステージ5
64/81

エピソード6:ホッケー対決パート3

 彼女たちはどんな計画を立てたのか? そしてその計画はピンポンブラザーズの策略にたいして効果を発揮できるのか? 波乱の起こりそうな七回目がいま火蓋を切られた。奇数回目なのでパックはさっそくリラとエリのほうへ吐き出され、それと同時に反対側からふたたびピンがスティックを装備して発射された砲弾のごとく猛ダッシュで飛んできた。それを見たふたりはうなずきあい、そしてエリが浮き上がるとピンと同じようにパックに向かっていった。さきにパックに着地したのはピンしかしその直後にエリも到着し、盤上にふたりがそろい何が起こるのか観客が固唾を飲んで見守ると、やがてエリがピンに掴みかかった。ガシッと彼女が掴んだのはピンの手にあるスティック。エリは力一杯に引っ張る、ピンも負けじと引っ張り返す。ふたりの間でスティックはあっちにこっちにとおおいそがし、その姿を上から見ていたリラの顔に笑みが浮かぶ。ゲーム開始早々パックと同じ色の飛翔体が飛び出しパックの上を陣取って、ホッケーでもアイスホッケーのスティックを奪い合う光景を目にすることになるなんて誰が想像できただろう。


「エリ! そろそろだよ!」リラは笑いながら合図を送った。


 その声を聞いてエリはスティックに集中しつつも身構えた。そして来たるべき衝撃に襲われた。パックがリラの足場にぶつかったのだ。これでパックはブラザーズ側へと向かうことになり奪うなら今がチャンス、エリはギュッとスティックを握りしめて渾身の力で引っ張った。しかしピンもくっついてくる。それならとエリは左右にぶんぶんと振り回した。それでもピンはあがき続け、白く先の丸いしっぽがバタバタとはためく。しつこい付着物にエリはちょっと腹が立ち、もうしっちゃかめっちゃか左右だけでなく上にも下にもぶんまわすと、まずピンの左手が外れ、それに気づいたエリがさらに続けると、とうとう右手も取れピンは振り回された勢いそのままにフィールドの壁を越え観客席のほうへと吹っ飛んでいった。


「ナイス! エリ!」左手をつきあげてリラは喜んだ。


 会場も盤上の対決の決着に沸き立つ。エリは歓声を浴びて照れたのか、スティックを胸元で握りしめた。


「じゃ、そのまま行っちゃって!」


 リラからの指示にエリはうなぐき、スティックを持ったままパックから離れ、ポンへと飛んでいった。唯一無二の相棒をまさかの形で退場させられ、あげく強奪した装備を手にした敵が飛んでくる、さらにはパックも向かっている、ポンはゴールを阻めばいいのかエリから逃げればいいのかおろおろとするばかり。中途半端な操作で足場は実質その場にとどまっている。そこへエリがやってきてポンの頭上でいったん止まり、まるで賢者か神様かのようにスティックを立ててゆっくりと足場に爪先から降り立った。降臨する少女にポンはハンドルを掴んだまま恐怖に口を裂けそうになるまで開けて呆然と立ちつくす。そしてエリはスティックを高々と掲げて、一気に先端を叩きつけた。カンと木と木のぶつかった音が鳴り響き、会場が水を打ったように静まりかえる。その無言の最終宣告にポンは完全に恐れをなし、ハンドルから離れエリの足元にひれ伏したあと、相方を追いかけていった。スクリーンにリラとエリが映し出され、その上に赤色のデカデカとしたWINの文字がはりつけられた。

 勝敗は対戦相手の追放というホッケーとまったく関係のない形でついた。しかし観客はそんなことおかまいなし、滅多に見られない展開がお目にできて満足したらしく大盛り上がり。エリはスティックをそばに立てかけ帰ろうとしたところ、リラの大きな声がよく通って聞こえてきた。


「エリ! そのままそこにいて!」


 なんだろうと思って振り返るとリラがそばにいるオバケと何か話しているのが見えた。そして話が終わったらしく右手を大きく振って言った。


「あたしと勝負だよ! 五点先取ね! オッケー?」


 まさかの提案に一瞬どうしようかと迷ったが、リラとホッケーで対決するところを想像するといかにも楽しそうで、絶対に遊ぶとエリは決めた。しかし大きな声を出すのが得意ではないのでどう伝えたらいいのかと悩む。ふと先ほどの盤上の死闘が頭をよぎり解決策が見つかった――エリはリラの方へ向かって腕で大きな輪っかをつくった。


「オッケー! じゃ準備して!」


 それからエリがハンドルを握って準備を終わらせるとスクリーンがスペシャルゲームとカラフルな背景に彩られ、次に左下から右上へ画面に区切りが入り左上にリラが右下にエリが映し出され間にVSが躍り出た。世にも奇妙な光景に続き思いがけない対戦が実現したことに会場は熱狂に包まれ、カウントダウンが始まる。そしてこれまでで一番の盛り上がりのなか、ふたりの少女の戦いが幕を開けた。

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