表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost and Girl  作者: M.K
ステージ5
63/81

エピソード5:ホッケー対決パート2

 しかしながら結果は悲惨なものだった。ピンほどあっけなく点を取られたわけではなかったけどポンもゲーマーのリラを相手では防戦一方でなすすべなく、代わってエリとピンの対戦もしょっぱなから大変な目にあったからか冷静に対処しなんなく一点を獲得し、さらにリラが余裕で点を追加したところであまりの弱さに不満げに言った。


「もうちょっとやりごたえがないとさぁ。ねえ、エリ」

「うん。ちょっと弱すぎ」


 彼女たちの素直で辛辣な評価、それに同意しているかのように白けぎみ――中には寝ているものさえいる――の会場は、もろにピンとポンの心臓に突き刺さり二人してガックリとうなだれる。しかしすぐに顔を上げると、お互いに見つめあい何かを決意したかのようにうなずきあった。リラとエリはちょうど話していてそれを見ていなかった。選手が交代しエリがハンドルを握ると反対側におかしな光景が見えた。いままでは自分たちと同じようにピンかポンのどちらかが足場に立っていたのが、今回は二人ともが、しかも片方はアイスホッケーで使われる先っぽがバナナみたいな形をしたスティックを持って、立っていた。


「なにあれ? あれでパックを打つつもりなん?」リラもそれを見つけ言った。


 エリも首をかしげた。ピンポンブラザーズの不審な行動に少女たちの頭の上にハテナが浮かぶなか、六回目のゲームがいまいち盛り上がらないまま始まった。パックがブラザーズのほうへと出された。するとスティックを持っているほう――おそらくピン――が、とつぜん足場から飛び出しパックへと猛然と向かっていった。適当に言ったリラの予想が当たったのか。ピンはスティックを構えて一直線にフィールド上空を駆けていく。そして射程圏内に入ったパックを全身全霊で打ち飛ばした……わけではなく、なんとパックの上に飛び乗った!


「ええ!」予想外の行動にリラは目を見開く。


 パックの上に陣取ったピンはそのまま自陣のほうへと運ばれていく。会場全体の関心が彼らの次の行動に集まる。当然ながらポンは足場を操作してゴールをふさぐ。そうして足場が向かう先へ立ちはだかり、あろうことか障害となったその壁を壊そうとでもいうのか、ピンはスティックを構えた。そしてパックが足場に接触するその瞬間、ピンはスティックを全力で振り抜いた。バン! とものすごい音が鳴り響き、スティックを振り切った姿勢のピンを乗せたパックは不自然な方向へと進路を変えた。普通ではない力任せの方向転換のせいで、エリは次に来る場所の予測が立てられずどうしたらいいのかとたじろいでしまう。ピンはさらにステージの壁をぶん殴ってそのスキを突く。また無理矢理進み方を変えさせられたパックは、真っ直ぐにぽっかりとあいた口へ突き進んでいく。急いでそれを対処しようとするが間に合わず、無念にもパックはゴールに突き刺さった。ピンポンブラザーズの記念すべき初得点、観客は大盛り上がり、だがリラは案内役のオバケに抗議した。


「あんなん卑怯すぎる!! 反則! 反則! レッドカード、一発退場!!」


 その猛抗議に案内役のオバケは口のなかに手を突っ込み、一冊の本を取り出して開いた。表紙にはルールブックと書かれている。右手でペラペラと項をめくり目当ての場所が見つかったのかめくる手を止め、フムフムとうなずきながらそのページを読むとパタリと本を閉じて看板を出した。


「ピンポンブラザーズの今のプレイは問題ありません」

「はあ!? ちょっとそのルールブックかして」


 オバケが右手に抱えているルールブックを奪い取ってリラはさっと流し読みをした。すると、本の最初の方にはなんとこれまでの計画の諸々が――――いくつかの迷路の図面や脱出部屋の謎解き候補、丑三水鏡冥冥の別の名前、ステージに置かれるお菓子一覧、そして……そこまで見てリラはいったん読むのをやめた。そこから先はおそらく最終ステージの競技が書かれてあり、ネタバレをふせぐため。それを見たオバケが本をかすように仕草しリラがおとなしく渡すと、オバケはあるところを開いて返した。そこにはこんなことが書いてあった。『安全第一に! あとはおもしろければよし!』


「ということなので問題なしです」オバケは言った。


 リラはため息をついた。


「そういうことならまあ、ルールはそっちが決めることだし」


 そう言ってリラは簡単に訴えを退けたかと思うと、エリのところへ行きひそひそ話を始めた。するとなにを言われたのかエリが驚いたように少し体をそらせた。


「だいじょうぶ、だいじょうぶ。いけるって」何かを企むリラの声が小さく漏れ聞こえる。

「うん、わかった。やってみる」エリの声も聞こえてきた。


 それで作戦会議が終わったらしくリラはニヤつきながらオバケのもとへ戻ってきた。その背後では緊張した面持ちでエリが立っている。


「オッケーオッケー。じゃ続きをはじめよ」

「なにをするつもりかはわかりませんが、納得していただけたということでホッケーを再開しますね」


 それでリラはエリのところへ行き、


「じゃ、あいつらにやり返してやろ!」と言ってハンドルを握った。

「うん」エリの返事はすこし固かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ