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Ghost and Girl  作者: M.K
ステージ5
62/81

エピソード4:ホッケー対決パート1

 『スタート!』と同時にフィールドの右――リラから見て――の壁の真ん中から、巨大な白い円盤がリラの方へとはじき出された。


「きたきた!」嬉しそうな大きな声を上げながらリラはハンドルを右へ回す。


 その回転とともに足場も右に滑っていき、巨大なパックをちょうど真ん中で捉えると、リラはさっそくボタンを思いっきり押した。バコンと鈍い爆発音に足場が物凄い勢いで飛び出パックをピンの方へと吹っ飛ばした。吹っ飛んだパックはしかし一直線には相手側のゴールへと向かわずホッケーらしく左の壁に当たった。ボヨン。また奇妙な電子音が鳴った。


「アハハ! いいんだけどさ、なんかちょっと合ってないんだよね」


 巨大なホッケーの迫力と電子音の妙な軽さのミスマッチに、リラはおもわず噴き出す。変な音を出して跳ね返ったパックは猛烈な速度でむこうの平たい洞穴へと滑っていく。させるかと言わんばかりにピンも、ベテランの肩書に恥じない反応で、ハンドルを急回転させる。が、パックはすんなり侵入に成功してしまった。その瞬間、派手な音楽が奏でられスクリーンに0-1と表示された。


「ええ~いきなり入るの!?」思わぬ展開にリラはびっくりして声を上げる。


 透明なパネルのむこうがわではピンが悔しそうにハンドルを右手で叩いている。開始早々それも相手が一度も触らずの得点に、釈然としない様子でリラは約束どおりエリと交代するためハンドルから離れた。


「もう一点やる?」あきらかにガッカリしているリラにエリは微笑みかける。

「それとこれは別のはなし! 次はエリの番」


 それでエリがうなずいて進み出ると反対側でも同じことが行われポンが歩み出てきた。ふたりがハンドルを握りしめるとふたたび頭上でカウントダウンが始まる。


「エリ! がんばってね!」


 リラの応援が後ろから飛んできて、試合は始まった。

 今度はポンのほうへとパックが放り出され、それを落ち着いた手つきでポンは迎えたがボタンは押さなかったためまずまずの勢い。エリは慣れない手つきで慎重に滑ってくるパックを迎え撃つが、こちらも追いかけるのに精一杯でパックはただ跳ね返っただけ。それをポンが悠然とつっぱね、エリもまたわたわたと送り返す。先ほど試合とは打って変わって、まるで二人の人格が乗り移ったかのように、パックは静かに遠慮がちにフィールドを往復する。「もしかしたらこのまま終わらないのでは?」とリラが思うとバトルは動き出した。いままで温存に温存を重ねた究極の切り札を出すかのように、まだパックがエリのほうまで行っていない段階で、ポンは天高く左手をかがけ構えに入った。それを見たリラは叫んだ。


「エリ! チャンス! 先にやっちゃえ!」


 その叫びにエリはびっくりしてわけもわからず右手でボタンを押しこんだ。急だったから狙いの定まっていない切り札は、パックを真正面でとらえることができずはじっこで炸裂した。あらぬ方向に弾かれたパックは勢いを味方につけてフィールドを滅茶苦茶に駆けずり回る。思ってもみなかった攻撃にポンも混乱して大慌てでハンドルを切り、その勢いのまま適当に切り札を使った。そのせいでフィールドはさらに混沌と化す。あたかも本性をあらわしたかのように暴れまわるパックはもう二人の手に負えず、ふたりしてあっちこっちと振り回され、やがて好き放題できて満足したのか勢いの落ち着いたパックはポンのほうのゴールへと大人しく帰っていった。スクリーンの数字は0-2に変わった。


「いや~ゴメンね。あたしのせいであんな滅茶苦茶になっちゃって」帰ってきたエリにリラは苦笑いをして謝った。

「ううん、あれはあれで楽しかった。点も取れたし」

「それならよかった」


 そんなやりとりを交わしたあとエリとリラは選手交代をしたが、ピンとポンのほうはポンがまかせろと胸をドンと叩いてみせた。どうやらピンの敵を討とうとしているらしい。それにピンが右手の親指をグッと突き立てこたえると、ポンはふたたびハンドルを握った。

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