エピソード7:いただきます
リラがそう言うと待ってましたと言わんばかりにオバケたちが寄ってきて、ふたりにパネルを見せた。「こちらがメニューになります」
画面が切り替わった。ミネラルウォーター(硬水・軟水)、緑茶、ほうじ茶、玄米茶、アイスティー(ミルク・レモン)、ホットティー(ミルク・レモン)、コーヒー(アイス・ホット)、牛乳、コーラ、サイダーなどなど。出てきたメニューの数々にまたふたりの目がいろいろ移ってしまうが、お菓子を決めたおかげで飲み物のほうはそれほど時間がかからなかった。注文を受けたオバケは一礼をし彼女たちのもとから離れ、反対側のなにもないのっぺらぼうの壁のほうへと飛んでいき、その壁の右端部分をなにやらいじくった。するとシュッと空気の抜けたような音がして一部分がシャッターのようにあがった。ここと同じ明青緑の壁は見えた。
「未来だね」リラが言って
「うん」エリがうなずいた。
オバケたちが現れたその部屋に入って、バタン、カチャカチャ、カシュ、ポンと色んな音が鳴ったら、銀のお盆のうえに注文された飲みものをのせて帰ってきた。そしてリラのほうには褐色の、エリのほうには細かなあわがぷくぷくと浮かんでは消える黄色の飲みものを置いた。「アイスティーとエナジードリンクになります」
「ありがとね」
「ありがと」
ふたりはお礼をし受け取ると、リラが言った。
「ねえ、エリ」
呼ばれて、はてなを浮かべながらリラの方に目を向ける。すると彼女はグラスを持って、何かを待っていた。それを見てピンときたエリもグラスを持った。そして
「カンパーイ!」
「かんぱい」
一気にグラスを傾けた。ぐいぐいと飲みこんで、のどがゴクゴクと鳴る。みるみるうちに液体は胃の中に流れていって、もう半分もあけてしまった。ふたりは同時にグラスから口を離し、机に置いた。
「はぁ~おいし!」
「うん」
「エリって意外とそういうのも飲むんだね」
「うん、けっこう好き。リラは飲む?」
「うん! あたしもエナドリは好きだね、というより炭酸ならなんでもいける。今は紅茶の気分だけど。エリは紅茶はどうなの?」
「紅茶も好き。そういえば砂糖とかは入れないの?」
「あたしは無糖派なんだよね! 大人だから! もちろん甘いのも好きだけどね」得意げにリラは言う。
「それだとわたしは子どもかも。そろそろお菓子も食べる?」
「そうしよ!」
元気な返事をしてリラは箱を手に取って開け中の袋の封も切ると、指をつっこんで柄がクッキーでかさがチョコレートのキノコをひとつ収穫して、口へ放り込んだ。エリも袋の口を開けさらに半分のところを破ってパーティー開けにすると、一枚なかでも大きめのものを選んでかじった。サクサクとパリパリと砕ける音。
「やっぱり、うまいね!」リラが目を細めて言った。
「うん」エリもそれに大きく首を縦に振る。
「エリもキノコ食べる?」
「うん。リラもポテチ食べて」
最初の一口を食べてすぐにわけあいはじめたが、今のままではちょっと遠いのでおたがいに椅子を動かし、お菓子を真ん中に集めて、それぞれ相手のおやつをもらった。今度はしょっぱさが、あまさがひろがる。ふたりとも美味しさと幸せがいっぱいでおもわず顔がほころぶ。でも、まだまだと手は止まらないどころか、べつの満足感を求めて次々に新しいものに手をつけていく。――――




