エピソード20:エリのひらめき
ふたりは首をかしげた。もっとわかりやすいヒントを教えてほしいとお願いしたが、返事はいくら待ってもこなかった。これで文通は終わりなのだと悟り、しかたなしにこの謎の解明にとりかかることにした。
「ふたつを探してみてってどういうこと? もう見つけたのに?」リラは腕を組みながら言った。
その疑問にたいしてエリはなんとも言わず、あたりに静寂がたちこめる。リラは腕をほどき、ガラスケースに伏せって紙のうえにいまだ浮かび上がっているヒントを見下ろし、コツコツと爪で叩きはじめた。すこしして、エリがぽつりと言った。
「……たぶんだけど」
音が止み、リラが振り返った。
「窓のことを言ってるんじゃないかな」
「窓?」
「うん。ピアスとおなじ三日月が見えたし、もし窓が出口なら秘密っぽいし」
エリの考えを聞いたリラはぽかんとした。その姿を見てエリは変なことを言ったんじゃないかと心配になったが、そういえばと勘づいて身構えた。するとぽっかりと開いたリラの口から大声が飛び出てきた。
「それだ!! それだよ!」
はたして予感は当たり、エリの口もとから笑みがこぼれる。
「え? ……なにか変なこと言った?」おもわぬ反応にリラは打って変わって困惑しながら言った。
「ううん、そんなことないよ。それよりリラも当たってると思う?」
「うん……まあ、当たってるというか絶対そうだと思うけど」
「なら探しにいこ?」
「……そうだね! 行こっか!」
エリがなぜ笑ったのか気になりつつも悪いことではなさそうだしと考えてリラは深く聞かないことにした。そうしてふたりは保管庫を後にし、ひとまず一階の窓から見に行った。初めてこの館に入ったときと同じように外は荒れに荒れているが、エリの片耳に垂れさがるピアスと同じ形をした三日月も変わらず不気味なほど静かにそして綺麗に空に弧を描いていた。リラはそれを見上げて言った。
「窓が絶対に正解だって思った理由はまだあって、外が大嵐だからなんだ」
「どういうこと?」
「だって、外がこんなんじゃ窓をどうにかしようとは思わないでしょ」
今度はエリがぽかんとする番だった。リラほど口を開けはしなかったけれど。
「たしかに、リラが絶対って思ったのもなっとく」
「でしょ? じゃ、花さがそ?」
そうしてひとりひとつずつ窓を、もちろんオバケに注意を払いながら、調べ始めた。荒れ模様の空にひときわ輝く欠月、その下で不気味に揺れる黒いシルエットの森の中を叩きつける雨粒に邪魔をされながら目を凝らしたり、外にはないと見てもしかしたらと窓枠や縁にあるのかもと下から上へ上から下へと反時計回りに回してみたり、あるいは花を暗示している何かがあるのではと考えを変えてみたりしたもののここの窓にはそれらしきものは見当たらなかった。
「二階なのかな?」リラは腰に手をあてながら言った。
「二階にもあるの?」
「うん。こっちと同じ側にね、たぶんちょうどこの上あたりにいくつか」
「じゃ、行ってみる?」
「そうしよ」




