エピソード16:タネあかし
そしてそう言って歩き出したので不思議に思いながらエリもあとについていった。暗い廊下を静かに抜けて、やがてあの展示室のような保管庫の前でリラが足をとめ、中へ入っていった。それを見てエリは「そういえば……」と思い出した。リラは空き部屋に来る途中もここに寄っていた。もし階段から来たならここでなくてもいいはずだし、わざわざ中に入らなくてもいい。オバケに見つからないようにした可能性もあるけど、いま入っていったということはここに瞬間移動の秘密があるんだ。エリはすこしワクワクしながら部屋のなかに入った。そしてすぐにその秘密がわかった。
「なるほど」エリはそれを見て言った。
右側の壁の真ん中あたりに天井から梯子が降りていた。
「まあ、タネがわかっちゃえばなんてことのない話だけどね」
扉の近くでエリを待っていたリラは、彼女が入ってきて梯子を目にしたのを見てそう言った。それから梯子の下まで歩いてから続けた。
「この上がゴミ部屋になってて、そこにこれがあったんだ」
パジャマのポケットから取り出して、エリに見せた。その手のなかには三日月のピアスが片方だけあった。
「ひとつだけ?」
「たぶんね。箱のなかにはこれしか入ってなかったし、バラバラに隠してるってのはさすがにないと思うし。だから、とりあえずはこれでアイテムがそろったってことにして、隠し通路を探そ」
「そうだね」
「じゃ、これはエリがつけて」
そう言ってリラはピアスをエリに渡した。
「いいの?」
「当たり前じゃん。あたしはブレスレットをもらったんだから」手首を彩る花を見せながらリラは答えた。
「なら、お言葉に甘えて」
「つけられる?」
「たぶん」
そう答えてエリはピアスを左耳につけはじめ、ちょっと手間取ったもののやがて無事につけ終わり、彼女の黒い髪の陰に浮かんだ小さな欠月は部屋の明かりを受けて煌めいた。そこに本来なら恐ろしい意味を持つ肌の白さがまじわり、言葉にできない不思議な魅力を添えた。
「どう?」
「いいよ。すっごくキレイ」
「よかった」
自分の感じたものを、自分の表現の少なさゆえに、伝えきれないのはものすごくもどかしかったけれど、エリが喜んでいるのであまり気にしないことにした。
「それで隠し通路なんだけど、エリは見つけてないんだよね?」
「うん。二階はどうだった?」
「それらしきものはなかったかな」
「じゃ、また最初から探してく?」
「いや、たぶんだけどこの部屋にあると思うんだ」
「どうして?」
「またゲームの話なんだけど、こういうアイテムを集め終わった時って、たいてい親切に次へ進むための道がある場所に戻してくれるんだよね。アイテムを見つけた時に二手に別れていてもここに集まれるようになってるし」
「へぇ~」
「どちらにせよ保管庫にはきたかったし、探しついでに見て回ろ!」
「そうだね」




