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Ghost and Girl  作者: M.K
ステージ3
36/81

エピソード8:よめないなまえ

「ふぅ、そろそろつぎ行こっか」


 興味の惹かれるものはあらかた見終わり満足したところで、リラは手のひらの夏を閉じた。


「そうだね」エリもそれに同意して春を閉じた。


 そうして風変わりなオバケの図鑑を片付けようとしたとき、ふと気になってリラはちょうど本棚に戻しかけている本の背表紙の下の方へ目をやった。丑三水鏡冥冥――そう書かれていた。しかし、


「なにこれ?」読むことができずリラはそうつぶやいた。


 それを聞いたエリが「どうしたの?」と尋ねると、彼女は「たぶん書いた人の名前なんだけど、読み方がわかんなくて」と返事をしながら本を手渡した。受け取ったエリはその名前とやらを見てみた。しかし、彼女もまたお手上げだった。


「そもそも名前なの?」本を返しながらエリは言った。

「たぶんね。ここに書いてあるのって人か会社の名前ぐらいだし……」それを本棚に戻しながらリラは答えた。

「でも、いちおう真ん中は読めるよね?」

「まあ、そんぐらいはね。『みずかがみ』か『すいきょう』かどっちかわかんないけど。でもさ、左と右もまったくわかんないわけじゃなくって、なんかどっかで見たことあるやつなんだよ」

「他のやつもそうなの?」


 エリにそう言われリラは思い出すのをやめ、他の本を調べ出した。すると左から右へ右から左へ、上から下へ下から上へ、あっちにもこっちにも同じ文字がズラッと並んでいた。途中で頭がくらくらときたので調べるのをやめたが、八、九割がたを丑三水鏡冥冥が占めていた。調査を終わらせたリラはエリの方を振り返って、目をパチパチとさせながら驚いたように言った。


「いや~すごいね。ほとんどそうだよ。途中であれになっちゃったよ、あれ、なんだっけ? ずっと同じ字を見てるとおかしくなるやつ」

「たしか、ゲなんとか崩壊」

「そうそう! それ! ……なんかさっきから思い出せないのばっかだけど、こんだけ本のあそこにあるってことは名前であってるっぽいね。それに本のタイトルだけだけど、見た感じオバケの研究者か博士らしいね」

「うん」

「まあ、とりあえずわかったのはこんぐらいかな。他のとこ調べてみよ」

「りょうかい」


 そうして二人は本棚の調査を終え、次の所へと足を動かした。二人の向かった先は机で、プレジデントデスクやエグゼクティブデスクと呼ばれる、大きな木製の、両脇に引き出しがついているものだ。映画やドラマ、小説にマンガ、それにゲームなど色んな創作物で、革張りの椅子に座った組織のトップが両肘をつき手を組んで偉そうにしているところを見かける。そんな大層な机だが、ここのものは椅子どころか、二人が調べたところによると、引き出しの中身も何かを書くためのペンや紙すらもなく、あるのはぽつんと寂しく置かれた一冊の本だけだった。


 リラがいつものように代表して、その本を手に取った。表紙には『丑三水鏡冥冥』と記されていた。

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