エピソード1:寝られるまで
「あれで終わりか~。なんだかな」いつもの廊下を次のステージに向かう道中、リラは不満げに言った。
「ふたりして寝ちゃったからね。しかたないよ」それに困ったように眉を八の字にしてエリは答えた。
「まあね。それに休憩ポイントだったって考えたら、あれ以上のはなかなかないから逆にありかもね」
「うん。あんなに気持ちよく眠れたのはひさびさだった」
「あたしも。疲れてたっていうのもあっただろうけど、すぐ寝ちゃったし夢も見なかった。どのくらい寝てたんだろ?」
「どうなんだろ? 時計がないからね」
「あ、それでさ、エリを起こすとき思ったんだけど」
「うん」
「幽霊も寝るんだね。てっきり寝ないもんだと思ってた」
「ああ、まあ生きてる人とはする意味が違うみたいだけどね」
「どういうこと?」
「前に死んだ人は長い時間をかけて生まれかわるって言ったでしょ」リラの疑問を受けてエリは話し始めた。「その間、昔からいる人と話すも新しく来た人と話すも自由なんだけど、そういうのに興味がないときは寝て時間を過ごすんだって。だからこっちの人にとって睡眠っていうのは暇つぶしみたい」
「へぇ~なるほどね」
「でもなかには寝られない人もいる……というかほとんどの人は最初は寝られない」
「なんで?」
「大なり小なり生きていたときに罪を犯しているからだって。その罪から逃げずにちゃんと向き合って、神様に認められると眠れるようになるし生まれかわれるようになる。教えてくれたひとが生きていても死んでも結局は自分の罪から逃げられないって嘆いてた。ただ生きているうちにしっかり反省していれば、そのぶんはやく寝られるようになるみたい」
ふたりはそこで廊下を左に曲がった。まだ続くようだ。
「ふ~ん。それじゃいつまで経っても寝られないひともいたりするん?」
「いるらしい。わたしは会ったことないけど」
「死んでも反省なしか。それはそれでスゴイもんだね」リラは肩をすくめた。
今度は右に曲がる。すると少し先に扉が見えた。
「お! あったね」
「うん」
「じゃあ最後に聞きたいんだけど、さっき誰とも話すのは自由って言ってたじゃん」
「うん」
「ほかにはなんかやれることないの?」
「いちおう色々できるけど、神様がいいよって言わないといけないしあんまり許してもくれない」
「神様もあんがいケチなんだ」




