エピソード5:上をむいて
「ねえ」リラはさっそくエリに話しかけた。
「なに?」するとエリは首をかしげた。
「もしかしたらだけど、上にあるんじゃない?」
「うえ? ……天井ってこと?」
「いや、本棚の上。まだ探してないでしょ?」
「たしかに」エリは見上げながら言った。
「じゃ、おねがいできる?」
「うん」
リラに頼まれて力強くうなずいたあと、エリは本棚の上を探すため天井ちかくまで浮かんでいく。首を左右に振ってあたりを見回すと、なにかに気づいたらしくそちらの方に飛んでいき、そしてなにか白い紙のようなものを手に帰ってきた。
「こんなのがあった」そう言ってエリはリラに持ってきたものを渡した。
「なになに?」
リラはそれを受け取り眺めた。エリが手に入れてきたものは一枚の紙で、それにはこう書かれている。『今のが答え』そして右下に『わからなかったら裏面を見てね』と。
「なにこれ?」リラは眉間にしわを寄せた。「エリも見たんでしょ? なにかわかった?」
「ううん。ちょっと意味がわかんない」
「そうだよね。『今の』が答えってどういうこと?」
そう言ってリラはふたたび頭をめいっぱい働かせた。今とはいったい? 本棚? 上? エリ? 飛んでいく? あれこれ思い浮かべて、なにを指しているのかさんざん頭を悩ませたものの、いまいちピンとこない。すると、
「それにしてもよくわかったね」とふいにエリが言った。
「ああ、まあ数多の謎を解いてきたあたしにかかればね」
謎が書かれた紙から顔を上げてリラは得意げに返した。本当のところはエリのことを考えていたから気がついたのだが、内容が内容なだけにそうとは言いづらかった。
「だから、これもすこし時間をくれればすぐにわかるよ」
と息巻いたのはいつのことやら、十分ちかくがすぎてもいまだ答えは出ないでいる。そんな状況だからか、特に変わったところのない沈黙にリラの胸のなかで気まずさが起こり、なにげなくといったふうを装ってエリに聞いた。
「ね、なにか思いついた?」
「まだ」彼女は沈んだ声で答えた。
「そっか」
「どうする? 裏見てみる?」
「う~ん」リラはいったん難色を示したが「ちょっとくやしいけど、そうする」すぐにそう言って紙をひっくり返した。
裏面には『ランプの場所がヒント』と書かれていた。




