エピソード2:不思議な女の子
「……あの」すると女の子が、両手を体の前でもじもじさせながら、申し訳なさそうにさらに声を小さく細くして声をかけた。
「あ……な、なに?」その声にリラは我に返って、すこししどろもどろになりながら返すと
「ごめんなさい。その……驚かせちゃって」と女の子は真っ白な布のような服をギュッと掴んで謝った。
「いいよ、いいよ。ぜんぜん大丈夫!」
泣き出してしまいそうな女の子をなだめるために――事実急に声をかけられたことはまったく気にしていなかったので――満面の笑みで軽い調子で答えたあと、リラは女の子の垂れさがる両足を見て、ボサボサの髪の毛を見上げて、それから女の子の後ろを覗き込んで
「大丈夫だけど……それどうなってるの? 言っちゃダメかもしれないけど、なんかオバケみたいというか」
「うん……そうだよ」
「え?」
「わたし、死んじゃってるから」
衝撃的な事実をあまりに簡単にまるでそれが自然なことのように告げられたので、リラは今度は耳を疑うはめになった。そのためその意味をかみ砕くのに少しばかり時間が必要だった。
「それじゃ本物の幽霊ってこと?」
「いちおう」
宙に浮かんだままの女の子がそう答えると、リラは目をらんらんと輝かせ
「マジ!? ホンモノ! スゴッ!」と黄色い声を上げた。
予想外の反応に女の子ははためから見てもわかるぐらい大きく体をビクつかせて、「幽霊なのに、自分のほうがびっくりした……」とドキドキしながら思った。
「あ、ごめんごめん。大声出して。びっくりしちゃったよね?」その様子に気づいてリラが笑って謝ると
「いいよ。わたしもおどろかせちゃったから」その笑顔があまりにも楽しそうだったから、女の子もつられて楽しくなってちょっとだけ明るくなった声で言った。
「ねえ、あなたの名前は? あたしはリラ」
「わたしはエリ」