エピソード7:次の道もまた
「やったね」
箱を押し終えてさっそくエリはリラに声をかけた。するとリラはすこし息を切らしながら返した。
「ちょっとキツかったけどね。でもエリはぜんぜん大丈夫そうじゃん、すごいね」
「まあ幽霊だから。最初から体力はないけど、そのかわり減りもしないだと思う」
「あーなるほど」
「……」
そしてエリの説明を聞いてリラは感心しうんうんとうなずいた。そんな彼女を「てきとうに言っただけなんだけど……」と思いながらエリは静かに見つめていた。
そうして二人はちょっとだけ休憩を入れてから、自分たちの手で作り出した左の道を進んだ。しかしそこもエリの報告どおりすぐに行き止まりにぶつかってしまったが、もう攻略法がわかっている二人はさっそくスキマを探し始め、まもなく計九つのスキマを発見した。そう、困ったことにまっすぐにも右にも左にも道が隠されていた。
「マジでか……」その事実を知ったリラは頭をガックリと落とした。
「どうする?」
そんないかにも面倒くさいと言いたげなリラの反応に、エリは聞きづらそうな様子で尋ねた。するとリラは腕を組み少々考えたあと言った。
「ねえ、またお願いがあるんだけどいい?」
「いいよ」
「じゃあさ、たぶんというか絶対に迷路になってると思うから、もう最後まで正解の道を見てきてほしいんだ。さすがに二人でもこの箱を押すのはけっこうキツイからさ」
「わかった。でもけっこう時間かかっちゃうかもしれないけど」
「いいよいいよ。これを押してって一つ一つ確かめてくのにくらべたら待ってるのなんて天国だよ」
リラがそう言ったとき、わずかにエリの体がピクっとしたが彼女はそれに気がつかなかった。しかし、もし気がついたとしても勘違いとするかたいして気にしないかのどちらかだったはず。そのぐらいささいな反応だった。
「それならちょっと行ってくるね」
「うん、おねがい」
リラの返事を聞いてエリはそっと正面のほうから正解の道を探しに行った。そしてリラはというと、その姿が全部見えなくなるまで見届けてから、自分の何十倍もある巨箱を背もたれにして膝を抱え静かに彼女の帰りを待ち始めた。




