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一.(俺)の普通な日常

「ううん、ヤバイ」

俺は今、非常に辛い現状に立たされている。それは何かというと、実は二つの愛しいものが目の前にある。俺はいま、どちらかを選ばなければならない。

いや、まいったね。

運命てやつは残酷だよ。はぁ、どちらを選べばいいんだい? なぁ、神様よ。

「暁、決まった?」

おや? 俺に話しかけるこの声は

「下和田!」

そう、下和田だ。俺の親友下和田 正義<しもわだ まさよし>俺の馬鹿に付き合う希少価値。それが下和田。

「なに、いきなり大声出して」

温和な口調でやんわりと笑う下和田。フフ、さすがは俺の親友。その笑顔は破壊力抜群だ。俺が女だったら惚れてるかもしんないよ下和田くん。

「お、そうだ!微笑みの親友!」

ちょうどいい、困った時の親友頼み。今日の俺のパートナーをこいつに決めてもらおう。俺はきっと後悔しないから!

「と、いうわけでお願いしま〜す」俺は下和田を愛しいものの前に立たせた。

「と、いうわけって言われてもなぁ」

下和田ちょっと苦笑いを浮かべながらもジッと目の前の俺の愛しいものを見つめて考える。

「両方はダメなの?」「ダメだそれは出来ない! 俺は、どちらかを選ばないとダメなんだ!」

「そんなものなの?」

ああ、俺は選ばなければならない。この

「健康的な辛口ギャル」か!

「麗しき白き肌のお嬢様」を!

クッ、どちらも魅力的だ! だが俺には二人を解放するすべはない。選べるのはどちらかひとり・・・なんだ。

だから、俺は親友に決定権を託すのだ!頼むぞ下和田!

「じゃぁ、麗しき白き肌のお嬢様で・・・いいのかな?」

「よしきた!」

遂に決は下された!

「・・・すまない」

俺はそっと

「健康的な辛口ギャル」に別れを告げ、

「麗しき白き肌のお嬢様」を手に、この世界の主の前に立つ。そして、声高らかに俺は叫ぶ!

「おばちゃん!「特選!白クリームパン」を一つ! お供はこの

「飲み物無料券」で

「田中さんちのミルク」を!!」購買のおばちゃんの威勢の良い声と共に、俺は対価を払い。お昼ご飯をゲット致しました! ありがとう下和田くん!「そんな大袈裟な」

「ん? どうした。笑顔が微妙だぞ?」

「いや、なんというか・・・・なんでパンを

「辛口ギャル」とか

「お嬢様」とか言ってたのかなって・・・」

なんだそんなことか

「こっちの方が面白いからだよ!!」


・・・・・・あれ、沈黙?


「あ、ゴメン。ちょっとだけ呆れてた」


ああ・・・・

「ちょっと自重しま〜す」

「うん、あと声のボリュームもうちょっと下げようよ。ちょっと睨まれてるし」

ん、睨む?


(・・・・ほら)

下和田の小声とアイコンタクトで睨まれているという所を見ることが、どれどれ、どこの誰かなぁ−−−


「ウオットォッ!?」


そこには鋭い眼光が! 主に俺に注がれる眼光が! めっちゃ睨まれてんすけど!


こ、この眼光の主は・・・・。


よ〜く知ってる。よ〜く知ってますとも。

あの俺を見るときの鋭い目つきと垂れ下がった犬の耳みたいな髪型(四つに結わえて耳を隠すように降ろしている。変なツインテールてとこか?)とミニマムな外見を忘れる筈が無い。


やつの名は生意気な一年生。


−−−町田 のどか<まちだ のどか>−−−



−−−−キッ!!



真正面から目が合った。その鋭さ今日も研ぎ澄まされておりまして・・・結論。


(ちょ〜コエエェッッ!?)

「なぁ、何でこっち睨んでんのかねあのヒットマンは?」


「そりゃぁ、騒いでたからじゃ?」


「騒いでたからじゃ?」て首を傾げて言われてもね


「何でよ! 騒いでんの俺だけじゃないだろ? なんで俺ばっか睨まれてるんだよ!?」


納得できないですねこれは!


「そんなのいつもの事じゃない? 町田が暁を睨むのなんて?」


・・・・ああ、そうなんだよ。何が気に入らないのかやつは俺の事を親の敵みたいに睨んでくる。

まぁ・・・・心辺りが無いわけじゃないけど・・・それでも毎度毎度これはないよなぁ。


「ああ、いつもいつも何なんだよあの

「犬っころヘアー」なチビッコは! あの目は何だ! とも〇ちかショ〇カーの首領かよ!?」


「ちょっ! そんなこと言って大丈夫!? なんか町田の顔が険しくなったような・・・・あれ、聞こえてたんじゃ」


と、慌てて俺を肘で小突く下和田。 いや〜、ここからあそこまで結構離れてるぜ下和田よ。そうそう聞こえるわけ・・・・。


・・・・・・・


「なぁ、下和田くん」

「なに?」

「俺、実は永井の豪ちゃん先生の名作

「デビルマン」が結構好きなわけだが」

「へぇ・・・」

「いま俺の目の前に

「デーモン」がいるのだが・・・・」

「その例え、失礼だと思うけど。暁の言いたいことはわかるよ」


じゃあ、あれはやっぱりアニメの歌詞のとおりに言うと。


デビルイヤーは地獄耳!?



なにもんだよ!マジ怖いんですけど!


よし、ちょっとあちらには落ち着いて貰いましょうか。とりあえず手でも振ってみるか? こう、ヒラヒラ〜っと。


「あ、町田こっち来た。凄い早歩きだ」


て、おいおい! 来なくていいよ来なくて!? てか、何気に俺の傍から離れてね親友!


「ん? ああ、怒らせたのは多分俺じゃないと思うから。ゴメン」


素敵な答えありがとう。ハハハ・・・て来た来たキタ!?


ツカツカツカ−−−と俺の前にピタッと止まった!?


「な、何!?−−」


何だよ! と、言おうと思いましたけど、


「・・・・チッ!!」


舌打ちされました。ギロッと睨んで俺の横を通り過ぎて行きました。


今日、何度言ったかわかりませぬが


超怖かったです。

ちょっと悔しいのでその後ろ姿に向かって


「くそ〜、覚えてやがれ〜・・・」

と、小声で言ってやったぜ。イエイ。


−−−ギロッ!!


ヒィッ!? ゴメンナサイ!!?


「暁、格好悪いぞ」


・・・・うう、もうほっといてくださいよ親友。






「言っとくがなぁっ! 言っておくがなあっ!! 俺、あんな犬っ子デーモンの事なんか好きじゃないからなぁっ!!」

「誰に言ってるの? 明らかに俺に向かって言ってないよね?」

「知らね。多分神様!!」

「・・・・神様って」


親友の苦笑いが見えるが気にしないぞ。

俺は麗しき白き肌のお嬢様(特選! 白クリームパン)に噛り付く。


モグモグモグ。よし、いいか! 俺が好きなのはな!!


「菊池でしょ?」

「親友が読心術を!?」


まさかそんな特殊能力が!?


「うん、そうそう菊池なら−−−」


クラスメートと話してただけでした。俺ちょっと恥ずかしい。


まぁいい、菊池の話が出たんだ。言ってやる!


(あの娘の名前は菊池 琴<きくち こと> ショートヘアーの似合ういい女。といっても美人てほどじゃない。いや、可愛くないわけじゃない。そうだ、素朴な可愛さってやつだ。誰とで気さくに話掛けてて超明るい! まぁ〜、胸がちょいあれば−−−−)


「褒めたいのか乏したいのか解んないな。たまに本当に好きなのか疑いたくなるな」


「今度こそ読心術!?」

「や、声出てたから」


え、マジ? やべ、気をつけよう。と、心に決めたところで一言よろしいか?


「下和田。人の恋を疑うとはどういうことだ!」


「所々にトゲがある気がする」


え? そんなトゲのあること言ったかしら?


「いや、でも俺の気持ちに嘘は無いぞ! 胸もデーモン町田に比べれば・・・・あるよな?まぁ、理想は豪ちゃん先生のキャラくらいだが・・・」

「話、微妙にずれたね。てか、いつまでデーモン引っ張るの? 町田も結構可愛いじゃない」

正気か? 俺はあの形相はデーモンにピッタリだと思うが−−−

「下和田。お前はあれが好みか? そんないいもんでもないだろ? ほっそりとしたミニマム系でそのくせホッペはプクッと健康的で眼光鋭いツンとした吊り目がいいのか?」

「・・・・結構よくみてんだね。そんなツラツラと特長が言えるなんて・・・本当は町田に睨まれるの結構好きなんじゃ」


冗談は止めてくれ!?


「睨まれるの好きってどこのエムよ俺!? やつはデーモンだよ! 妖獣 イヌツリメだよ! 親の仇みたいに睨んでくるやつだよ! くそ、俺のなにが気に入らない!!」


「全部。かもよ?」

・・・なんか酷いこと言われた気がする−−−て、このソプラノボイスは下和田じゃない!?


「あれ? 菊池、何か用?」


眩しい笑顔のショートヘア 菊池 琴!?


「ああ、うんうん。あっちで下和田が知らせてくれたって聞いたからさ。軽くお礼をと」


そう言って下和田に素敵な笑顔で

「ありがとね」という。俺の憧れ。ちくしょ、俺も言われてえぇっ!!


「別にたいしたことはしてないよ」


ニッコリと女受けしそうな笑顔と温和な口調が今はムカつきます。


「そう言うわけにはいかないの」

と、再び笑顔の菊池。ああ、また笑顔向けられてうらやましいなチクショウ!?


「あ、そうだ。佐東」


と、突然俺の方に顔を向ける菊池。

なに! 俺にも用が!! ちょ、ちょい待て。よし、落ち着いた口調で。


「・・・・にゃんだよ?」


その間が何だ! 噛んでんじゃないよ俺!?


「うん、あのさ」


あ、噛んだのスルーしてくれる。さすが俺の憧れ。細かい事は気にしない。さ、用件聞こうかな?


「あんまり<のどちゃん>いじめないでよ? あの娘ちょっとシャイなだけだから」

「え?」

「じゃあね」


本当にそれだけを言って去っていく俺の憧れ。


・・・・ていうか


「なぁ、下和田」

「ん?」

「<のどちゃん>て、誰?」

「町田の事でしょ? ほら、町田 のどかでのどちゃんだ」


ああ、なるほど。でもな疑問がもうひとつあるんだ。


「・・・俺ってそののどちゃんをいじめているように見えるのか?」

「菊池にはそう見えたんでじゃない?」

「・・・・むしろ、視線の暴力で虐められてるのは俺だと思うんだが?」

「菊池にはそう見えないんでない?」



・・・・なんか、色々とショック。




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