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来客

 ジャンヌとアンネリーゼ、ヴィリバルト、エリヤ以外の人間は、客間に近づかないように人払いをした。

 特に母の耳に入るとどこへもれてしまうかわからないので、弟と執事に厳重に見張りを頼む。


 クリストハルトは行きたいところがあると言っていなくなってしまった。


 一度話してスッキリしたのか、ジャンヌはヴィリバルトにはよどみなく、より仔細に五十年前のことを話した。


 ヴィリバルトはうなずきながら、静かにジャンヌの話を聞いていた。


 一通り話終えたジャンヌは、緊張した面持ちでヴィリバルトを見る。


「私はどうすれば罪を償えますか?」

「現在のロロン王国では、ジャンヌさんを逮捕して裁くことはできないと思います。クラリス様と直接お話をされて、毒薬の入った瓶を渡したことをクラリス様が訴えると仰言ればそちらは事件となるでしょうが、王族への罪となりますからかなりの重罪になります」


 ジャンヌは唇を固く結んでうつむいた。


 罪の重さに怯えているのではない。クラリスに会うことが怖いのだろうとアンネリーゼは推測した。


 不意にエリヤが動く。静かにドアを開けると、ノックをしようとしていたメイドがいた。


「誰も近づくなと言ったはずだが」


 ヴィリバルトが鋭い眼光を向けるので、メイドが萎縮してしまう。


「申し訳ございません。ですが、ランドルフ様がお見えになられて……」


 父と娘は一瞬、顔を見合わせる。


「私が参ります」


 アンネリーゼがメイドと共にランドルフ王子の待つホールへ急いだ。


 ランドルフ王子はレイモンドとブラントを連れて待っていた。クリストハルトの姿もある。


「お待たせして申し訳ございません」

「問題ない。こちらが押しかけたのだ。先生から、アンネリーゼさんがお祖母様の話した謎を解いて、犯人を連れて来たと聞いたので直接会えたらと……」


 ランドルフ王子は小瓶の中身が毒だったことを知っている。


「お会いになって、どうなさるのですか?」


 冷静にアンネリーゼに問われて、ランドルフ王子は言葉に詰まった。興奮して飛び出して来たが、ランドルフ王子が糾弾するのは何か違う。


 ランドルフ王子が考え込んだのを見て、アンネリーゼはホッと小さく息を吐いた。


「お待ちいただけますか? クラリス様へ手紙をお書きにならないか聞いて参りますので」


 やっとジャンヌは勇気を出して踏み出したのだ。いきなり直接会って話すのはハードルが高いとアンネリーゼは考えていた。


 王子を待たせるアンネリーゼは肝が座っているとレイモンドは思う。そして素直に従うランドルフ王子の可愛らしさにほっこりした。

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