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似ているふたり

 翌日、アンネリーゼは毒の入った小瓶をここに保管していることをクリストハルトに伝えた。


「あの男性は、先生の血縁の方ではありませんか?」


 ずっと疑問に思っていたことをアンネリーゼは直接クリストハルトにぶつける。


「毒自体は魔法で調合できる昔からのものでしたが、魔法紋はあの男性のものでした。あの人の魔法で作られた毒に間違いありません」


 クリストハルトはなぜか得意気に胸を張ってみせた。


「さすがにあんなにそっくりなのは私もおかしいと思って両親や兄たちに聞いたのだけど、私が双子だった可能性はない」

「双子だとは思っていません。毒薬はクラリス様に渡していますから」

「クラリス様に? こんな猛毒を?」


 アンネリーゼは深くうなずく。


「はい。クラリス様がご結婚なさる前とお聞きしました」

「それは随分前の話だね。さすがに僕も生まれていない」


 クリストハルトは胸の前で腕を組んだ。


「それはそうと、クラリス様に会ったのかい?」

「はい。ランドルフ様から、クラリス様が小瓶の謎を知りたいと仰言っているからと」

「なるほど」


 意味ありげにニヤリとするクリストハルトが、アンネリーゼはとても気になった。


「どうなさいましたか?」

「エリヤくんはお怒りじゃなかった?」

「少し不機嫌かしらとは思いましたけれど……。それがどうかしましたか?」


 小首を傾げるアンネリーゼを見て、クリストハルトはまた人の悪い微笑を浮かべる。


「どうもしないよ。クラリス様はそんな古いものをずっとお持ちになっていたんだね」

「忘れていたそうです。ただ、あの人から直接渡されたわけではないみたいで」

「じゃあ、別人が置いた可能性もあるわけだ」


 アンネリーゼは目が覚めるような思いがした。すっかり失念していた。やはりクリストハルトと話すことは大切だ。


 あの男が魔法で現れて、クラリスの枕元に置いていったとばかり思いこんでいた。


「瓶の指紋を採取します」


 指紋を調べるための魔法の粉を小瓶に振りかける。


 瓶の表面には三人分の指紋が残されていた。またクラリスのところへ行って、彼女の指紋ももらわなくてはならない。


(あの人の指紋を取ることは難しいわ。もう亡くなった人の指紋が混じっていたらもう調べることはできないけれど)


 彼が現れる条件は何なのか。カミーユと会いたくはないが、話さなければわからないだろうとアンネリーゼは顔をしかめたい気持ちになる。話していて愉快な相手ではない。


(全て一度、ランドルフ王子に伝えなければいけませんね。クラリス様にまたお会いする機会を作っていただきたいですし)

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