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ランドルフ王子の来襲 7

「私はランドルフ様と結婚するために……っ!」


 癇癪を起こしたフロランスの魔法の触手がランドルフ王子を狙って伸びる。


 ブラントの剣は魔力が付与されているので弾き返す。ランドルフ王子も魔法で対抗するが、消滅させられない。


 アンネリーゼの魔法でフロランスをくるむように透明な障壁を作った。フロランスの魔力ではこれを突き破ることはできない。


「うそよ……! 私があんな子に負けるなんて……」


 フロランスが気力を失うのと同時に、魔力の暴走も止まった。


 へなへなと床に座り込み、小さな子どものようにわんわん声を上げて泣きじゃくる。


「お父様もお母様も、私の愛らしさなら必ずランドルフ様と結婚できると仰言っていたのに! 先生だって、この国をキレイにすればランドルフ様がいつか必ず気づいてくださるって!」


 良く言えば、フロランスはとても素直な性格なのだろう。それが裏目に出ている。


「お前が勝手にやったことだ!」


 カミーユはこの期に及んでも、見苦しく責任逃れをしようとしている。


「違います! 先生は確かに仰言っていました。先生のこの国をキレイにする掃除のお手伝いをすれば、必ずランドルフ様に見初められると」


 フロランスは泣き止んでカミーユに言い返す。


「確かにこれほどの魔法を生み出せるのは、相当優秀な魔法使いでしょうね」


 ランドルフ王子の一言に、カミーユは色めき立った。

 後ろめたさから、王子は罪の糾弾に来たと思い込んでいた。しかし実は王子は優秀な人間をスカウトに来たのかもしれないと期待した。


「あのギデオンの命さえ奪った魔法を生み出したのがフロランスさんだったのは意外でしたが」

「違う! その魔法は僕が作った! 僕にしか扱えない!」

「そうなのですか? ですが……」


 ランドルフ王子はちらりとフロランスを見やる。


「僕に決まってるだろう! 僕はギデオンにも、あいつらにも勝ったんだ!」


 カミーユは目を見開いて、彼に都合のいい夢を見ていた。


 王子が側近にしていた魔法使いを殺したのだ。自分の方が強い。強い魔法使いを王子は側に置く。


 クリストハルトと同じ顔をした男性はフフッと楽しげに笑った。


「愚かだね。その愚かさが好きだったのだけど」


 小さくつぶやく。そしてアンネリーゼを見つめた。


「もっと楽しそうな子を見つけちゃったね」


 アンネリーゼはそのあやしい視線に気づいていなかった。


「ギデオンをあなたが死なせたことを認めるのですね?」

「もちろんだ! 僕の魔法はすごいだろう⁉」


「これで、この人を逮捕していただけますか?」


 連れていた女性を新人憲兵に任せたシルバーにランドルフ王子は質問する。


 いつの間にか、大勢の憲兵が屋敷に集結していた。


「もちろんです」


 シルバーはぼう然と立ち尽くすカミーユに歩み寄り、手錠をかけた。手錠には魔法封じの効果もあるので、クリストハルトはようやく魔法封じ込めの魔法を解除できる。


 疲労感にクリストハルトはため息をついた。


 フロランスはがく然とした表情で、目の前のできごとを眺めていた。


「そんな……っ!」

「あんたも逮捕だ、お嬢さん」


 シルバーの言葉を合図のように、応援に来ていた別の憲兵がフロランスに手錠をかけた。

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