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ランドルフ王子の来襲 6

 クリストハルトに勝てる見込みのないことをカミーユもすぐに悟った。

 にこにこしながら様子を見ている()()()が助けてくれることもなさそうだ。


 カミーユは両手を封じられた状態でも魔法は使えるが、大したことはできない。


 エリヤはカミーユに二度も魔法を使わせてしまったことに動揺した。しかしエリヤに魔力はないので、どうすることもできない。


 クリストハルトはパチンと指を鳴らした。


「はい。これでもう魔法は使えないよ」

「そんなわけな……」


 カミーユは今度はランドルフ王子を狙って氷の矢を放とうとしたが、何も現れない。


「どうして……」

「君の魔法を封じたからに決まってるじゃん」


 ニヤリと笑うクリストハルトに、カミーユは背筋が寒くなった。


「さあ、本当のことを話すのが身のためだよ」

「先生は立派なことをなさっていたのでしょう? 隠す必要はありませんわ!」


 フロランスが大げさな身振り手振りで暑苦しく語りかけてくるのが、カミーユには目障りで仕方なかった。


「本当に、立派なことだと思っているのですか?」


 それまで静かに見守っていたランドルフ王子が口を開いた。


「ええ」


 ひとつの迷いもためらいもなく肯定するフロランス。

 どこか常軌を逸した微笑みを浮かべる。


「美しいロロン王国をさらに美しくするための行いです。他人を搾取して身も心も傷つけていたのですよ? 退治されて当然の鬼畜たちでしたもの」


 愛らしい唇から吐き出される呪詛に、ランドルフ王子は整った眉根を寄せる。


 ランドルフ王子がフロランスにずっと感じていた違和感はこれだったのだと確信する。


「悪人をのさばらせていたこと、申し訳ない」

「とんでもございません! ランドルフ王子が謝ることではありませんわ。憲兵たちが頼りないのです。私はロロン王国の王子の妻となるために、必要な行動を取っただけです」


 嬉々として語るフロランスに、アンネリーゼは薄ら寒いものを感じた。

 きっと何を言っても通じない。


「だけど私は、あなたの行いを是とは思わない。あなたを婚約者にすることはあり得ない」

「どうしてですの⁉ 私ほどロロン王国のためを思っている者はおりませんわよ?」

「私とあなたの国を思う気持ちは向いている方向が違う。これからも交わることはない」


 ランドルフ王子はきっぱりと言った。


 フロランスは張り付いたような薄い笑顔のまま、首を傾げる。


「そんなこと、大したこと問題ではありません。結婚して共に過ごせば考えも変わります」

「あなたを人生の伴侶にするのは苦痛だと申し上げている」


 失礼極まりないフロランスに対して、ランドルフ王子は声を荒らげることなく、冷淡に告げる。


「私があなたと結婚することはない」

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