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Cafe Shelly

Cafe Shelly 塀の中から

作者: 日向ひなた

 冬になると思い出す。あの人との出会いを。

 私は四方を灰色の壁で覆われた部屋の中で、小窓から見える外の景色を眺めながら思い出していた。

 確か、あの人と出会ったのは今日みたいな、よく晴れた寒い日だった。風のないところにいれば、ポカポカとした日差しが気持ち良いのだが、風が冷たくて外を歩くのがつらい。そんなとき、あの人が私の前に現れた。

 あの頃、私は若い身でありながらも、小さなイベント会社を自分で事業を起こし、それなりに順調に進んでいた頃であった。ビジネスがうまくいっていると、なんだか全てが自分を中心に回っている、そんな錯覚に陥ってしまっていた気がする。だが、そのときはそれが当たり前だと思っていた。

「ちょっと外回りに行ってくる」

 部下にそう伝え、私は書類を持って得意客のところへと足を運んだ。この得意客というのがお金を集めることが上手で。一般人が知らない裏のことをよく話してくれたものだ。中にはちょっとやばんじゃないの、そう思わせる情報もある。

 けれど、実際にそうやってお金儲けをしているのは確か。私もその情報に乗っていた。今日も、本来のビジネスそっちのけで新しい情報があるからと出かけたところだ。

「清下くん、今度の話はすごいぞ!」

 先方に到着するなり、社長は興奮して話を始める。

「なんと、年利60%は間違いないんだよ。それどころか、相場が高騰すれば年利は100%超える。信じられないだろうが、出処は間違いない話だ」

 確かに、こういう甘い話はゴロゴロしている。が、そのほとんどは詐欺。お金を出資したらドロンというのが相場だ。

 だが、この社長から聞いた話の中で、この手の話はまったくない。一部の金持ち層しか知り得ない、出処がしっかりとしたものばかり。その話の中でも、今回は特に利率が髙い。

「でも、何か条件があるんじゃないですか?」

「もちろん。まず出資額だが、最低額がこれだけからだ」

 社長は人差し指を一本立てた。これが一万円ではないことは明らか。それどころか、百万円でもないだろう。おそらくその十倍かと。

「清下くんのところだったら、ぎりぎり出せない額だじゃないだろう?」

「ん〜、すぐに右から左というわけにはいきませんが…」

「まぁ、そうだろう。だから、こういう制度もあるんだよ」

 そこで出してきたのが、紹介制度というもの。紹介者一人につき…えっ、一人で一千万?ということは、一本というのは…

「もう一度言うね。まず参加資格として必要なのはこれだけ」

 再び人差し指を一本立てる。

「けれど、そんなに資金がない人のために、一人紹介すれば一千万円の資金を補填してくれる。ただし、自己資金としてこれだけは必ず出すこと」

 そう言って今度は指を三つ立てる。つまり、自己資金は三千万円からでよい。あと7人集めれば、一億円になってこの制度をスタートさせられる、というわけだ。いわゆるネズミ講方式だな。

「やってみる気はないか?」

「まぁ、三千万円だったらギリギリ用意できない額ではありませんが。年利60%とすると、一年後には一億六千万円ってことですよね。これはいつでも引き出せるんですか?」

「あぁ、ただし最低一年間はダメだけどね。それ以降ならいつでもOKだ」

 そうなれば、金利だけでも食っていける身分になれる。なるほど、金持ちが金持ちでありつづけられるわけだ。

「わかりました、のりましょう。これについて何か資料とかありますか?」

 そう言って出してきたのは、A3折りたたみの薄っぺらい、英文の資料のみ。本当に大丈夫なのだろうか?

「まぁ、内容が内容だから、こんなものしか用意されていないけど。情報は間違いないよ」

 事業の方でいろいろとお世話になった人からの情報だ。むげに断ることもできない。まぁ、これが本当なら多少無理をしても、来年の今頃には悠々自適な生活が待っているのだから。

「わかりました。で、どうすればいいんですか?」

「じゃぁ、早速ここにサインしてくれるかな。英文で書かれてあるけど、そんなに大したことは書いてないから」

 気がつけば、三千万円の出資をすることに。あと七人、同じような人を集めなければいけない。早速、若手の経営者を集めて簡単な説明会を開く。

「それ、なんかやばいんじゃねぇの。結局ねずみ講じゃん」

 そう言ってやめておけという連中が7割。

「ってことは一億出資すれば、来年には最低でも6千万円はゲットできるんだよな。わかったそんくらいならなんとかなるかな」

 そういうやつが1割。そして残りの2割はこうだ。

「ちょっと待ってろ。話せるやつらを集めるから」

 つまり、自分と同じように一億は出せないけれど、紹介でお金をかき集めようという動きをとる連中だ。

 気がつけば、自分はなんとか7人は集めることができ、合計一億円の出資を可能にした。だが、これがまさか今の塀の中の生活を送ることになるきっかけだったとは。

「清下、もう少し詳しくその話聞かせろよ」

 もう7人集まったから、これ以上勧誘はいいかな、そう思ったときにビジネスの先輩でもあり、親しくさせてもらっている田上さんから電話でそう言われた。別の仲間から聞いたとかで、自分から直接話しを聞きたいということだった。

「わかりました。じゃぁどこかで会いましょう」

「だったら、ちょっと雰囲気のいい喫茶店をみつけたんだ。そこにしようぜ」

 田上さんが指定したのは、街なかにあるカフェ・シェリーというお店。なんでもそこにいる女の子がかわいいとのこと。まったく、田上さんはスケベなんだから。

 約束した時間に、待ち合わせの喫茶店へと足を運ぶ。指定された場所はよく通るところだったが、今までこんなところに喫茶店があるだなんて気づきもしなかった。それもそのはず、その喫茶店はビルの二階にあったから。

 見えていたものが見えていなかった。そのときそう思った。そう、見えていたものが見えていなかったことが痛恨のミスとなったのだ。

カラン・コロン・カラン

 扉を開けると心地よいカウベルの音。同時に聞こえてくる、女性のいらっしゃいませの声。あ、田上さんはきっとこの子のことを言っていたんだな。

「おい、清下、こっちだ」

 声のする方を見ると、カウンターに田上さんが座っている。早速田上さんの横に座り、コーヒーを注文する。すると田上さんがこんなことを言い出した。

「どうせ頼むなら、ここのオリジナルブレンドがおすすめだぞ。一度騙されたと思って飲んでみろ。面白い味がするから」

 面白い味って、コーヒーにそんなのあるのか?

 そう思いつつも、断る理由もないので注文をやりなおした。

「で、早速だけど例の話、もう少し詳しく教えてくれないか」

 早速、田上さんに一億円の投資話を始めた。ただ、あまり周りに聞かれたくない話なので、必然的に小声になってしまう。とはいっても、おそらく目の前にいるこのお店のマスターには聞かれているんだろうな。

「とうわけで、一人紹介すれば一千万円がもらえるんですよ。自分はもう必要額の一億円分は集めたので、話をするのは田上さんが最後になると思いますけど」

 すると田上さん、手帳を取り出し図を書き始めた。

「今の話を総合すると、こういうことになるよな」

 そこには、よくネットワークビジネスで描かれる組織図があった。

「清下、お前は紹介者からの上納金で自分の資金を増やしているってことだな」

「まぁ、そうなるけど。それがどうしたんですか?」

「それ、違法だぞ。無限連鎖講っていって、いわゆるネズミ講だ」

「ネズミ講って、そこらへんのネットワークビジネスでも同じようなことやってるじゃないですか。別に悪いことだと思いませんけどね」

 ちょっとムキになって田上さんに反論をした。仕組みはネットワークビジネスと同じだと思っていたから、特に違和感なくやっていたし。それに、自分たちの周りでは一目置かれている、あの社長が薦めるのだから。金持ち同士の中では当たり前にやっていることだと思っている。

「ちょっと待ってろ」

 田上さんはスマホを取り出し、何かを調べ始めた。それと同時に、マスターからコーヒーが差し出された。

「お待たせしました。お話が一段落したようなので、コーヒーをお出ししますね」

「あ、あぁ、ありがとう」

 マスター、私たちの会話をジャマしないタイミングを図っていたようだ。そのとき、あらためてマスターの姿を見た。年齢は四十代半ばといったところか。落ち着いた雰囲気をもっていて、声も渋くていい感じだ。

 マスターは私たちの会話を、あたかも聞いていないがごとく振る舞っている。このあたりはさすがプロだな。

「あった、これだこれだ」

 コーヒーを飲もうとした瞬間、田上さんがスマホを見せてきた。

「ほら、ここに無限連鎖講とネットワークビジネスの違いについて書かれているだろう。お前がやっていることは、商品という実態がないから無限連鎖講にあたるんだよ。これは違法行為になるんだぞ」

 田上さんは真剣に自分に語ってくるけれど、その言葉は右から左。ふぅんといった気持ちでしか受け止めなかった。

 仮に違法行為だとしても、捕まるのは大元だし。こんな下っ端である私が捕まることはない。それよりも自分の頭の中は、一年後の悠々自適な生活でいっぱいだ。

 ここでようやく、コーヒーを口にする。

「えっ、なんだこれは?」

 普通のコーヒーと思って口にしたのに、何かが違う。飲んだ瞬間、お金の匂いがした。銀行でおろしたばかりの、あの新札の匂いだ。

 そんなばかな、と思ってもう一度コーヒーを口にする。すると今度は、雑誌でよく見かける、札束の風呂に入っている自分の姿が思い描かれた。あんな馬鹿なことを、と思いつつもその姿に憧れている自分がいることに気付かされた。

「おっ、早速魔法のコーヒーの効果が出たようだな。清下、どんな味がしたんだ?」

「えっ、えっとですね…」

 まさか、お金の匂いがしただなんて言えない。

「なんだよ、人に言えない味がしたのか?」

 図星なだけに反論できない。そんな自分の様子を見て、田上さんはこんな説明をし始めた。

「ここのシェリー・ブレンドってコーヒーはな、魔法のコーヒーって呼ばれていて、その人が望んだものの味がするんだよ。今欲しいものを感じさせてくれるんだ」

 そう言われると、ますます自分が感じた味を言えない。お金が欲しいということが見え見えだから。

「じゃ、じゃぁ田上さんはどんな味がしたんですか?」

「オレか?オレは毎回同じ味がするんだ。カミさんと子ども、家族で幸せに暮らしている。ほのぼのとした家庭の味だ。今回もそんなことを感じさせてくれる味がしたぞ」

 独身の自分にはわからない味なんだろうな。このときにふとマスターの方を見た。マスターは私たちの会話が耳に入っていたはず。それなのに知らないふりをしてカップを磨いている。だが、心なしか「大丈夫ですよ」というオーラを出している気がする。

 なんだか不思議な感じがするマスターだ。その姿に惹かれるものがある。

 ここであることを思いついた。

「田上さん、わかりました」

「ん、なにがわかったんだ?」

「今回の話は、田上さんには向いていないということです。また別の人を探します」

「おいおい、わかってないじゃないか。清下、お前がやっていることはだなぁ…」

「ネズミ講で違法だってことでしょ。それはわかっていますよ。けれど、金持ちが水面下ではこういう動きを取っているってことも事実ですから。自分は金持ちの言うことを優先します」

「…そうか、じゃぁ清下、お前との付き合いもここまでだな」

 田上さんはそう言って、自分のコーヒー代だけを置いてこの場を去っていった。実は、自分にとってはその方が好都合なのだ。

「お客さん、怒って帰ってしまいましたね」

 マスターがようやく、自分に介入してくれた。よし、ここがチャンスだ。

「そうなんですよ。まったく、田上さんは気が短いんだから。それよりマスター、このコーヒーは不思議な味がしますね」

「ありがとうございます。シェリー・ブレンドはその人が望む味がするという魔法がかかっているんですよ」

「それはさっき田上さんからも聞きました。実は、自分はお金の匂いがしたんです」

「へぇ、お金ですか。今までもお金を感じた人はいましたが。お金の匂いというのは初めてですね」

 マスターは自分の話に興味を持ってくれたようだ。よし、ここがチャンスだ。

「マスターはお金を増やしたいとは思わないですか?」

「そりゃ、お金はあるに越したことはありませんが。分相応の収入は得たいですよ」

「具体的にはどのくらいですか?」

「ははは、まぁ今くらいがちょうどいいかな」

 なんだか欲のない人だな。けれど、話だけはしておくか。

「もうおわかりだと思いますが。先ほどいた人とはお金の話をしていました。ズバリ、一億を投資すると年利60%は約束してくれる話があるんです」

「一億だなんて、そんな大金はさすがに持っていませんよ」

「自分もそうでした。けれど集める方法があるんです」

「ほう、どうやって?」

 マスターはさっきの田上さんとの話を聞いていなかったのかな。あえてその話をきちんとしてみるか。

「この話で一億を投資する人を一人集めると、一千万円もらえるんです。自己資金三千万円は必要ですが」

「三千万円というお金も、ちょっと無理ですよ」

「なんてことはありませんよ。銀行から融資を受ければいいんです。一年後には全額、キャッシュで支払えますよ。なにしろ一年後には六千万円もらえるんですから。なかなかおいしい話でしょ」

「なるほどね。お金を借りても、それ以上の金利でお金が戻ってくるのだから、それまで辛抱すればいいってわけですね」

 おっ、マスター意外に乗ってきたじゃないか。こりゃ、もう一千万円ほど稼げるかもしれないな。

「えっと、清下さんでしたっけ。あなたはどうしてそうしなかったのですか?」

「えっ、どうしてそうしなかったって?」

「はい、人を巻き込むのではなく、どうして一億円を銀行から借りて投資をしなかったのですか?」

 そう言われればそのとおりかもしれない。確かに、一億を銀行から借りて一年間持ちこたえれば、その後はすぐに元金なんか返せたかも。でも…

「でも、自己負担は少ないに越したことはないじゃないですか。だから…」

「だから、人の力を借りて自分が得をしよう。そう思われたのですね」

 うっ、なんだかするどいところを突かれてしまった。マスターは言葉を続ける。

「俗に言う、人のふんどしを借りて相撲を取る、と言った状態ですね。これが合法か違法かなんていうのはともかく、私としてはそういうお金の稼ぎ方はどうかなと思いまして」

「で、でも、世の中助け合ってこそでしょう。自分はこの情報を伝えることで、仲間を助けているんですから」

「相手が助かったと思えばそうなるでしょう。しかし、相手がそれによって苦しんだり、負担を強いられるようであればそうは思えません。まぁ、これは私の考え方なので」

 そう言うとマスターはニコリと笑った。

「ごちそうさま」

 なんだかこの店に居づらくなって、カウンターにコーヒー代を置いて店を出た。ドアのカウベルの音が、心なしか寂しく聞こえた。

 自分は間違ったことをやっていたのだろうか。それとも正しいことをやっているのだろうか?

 そのとき、電話が鳴った。

「清下か。お前、ちょっとこっちこい!」

 電話はビジネスで付き合いのある大山という男性。彼は洋品店を営んでおり、これから店舗を改装、拡大していこうという野望を持っている。まっさきにお金を欲しがっているヤツなので、今回の話にすぐに飛び乗った一人である。

 その大山がすごい剣幕で電話をかけてきたのだ。一体なんなんだ?

 大山の店に行くと、そこには仁王立ちをした彼がいた。

「おい、清下、この前の話は詐欺じゃねぇかっ!」

「えっ、ど、どういうことだよ?」

「これを見ろ!」

 大山が見せてきたのは英文のインターネットニュース。英語は苦手なので、よく意味がわからない。

「これ、なんて書いてあるんだ?」

「そう言うと思ったよ」

 すると大山は画面をクリック。一瞬にして先ほどの英文が日本語に変わった。

「自動翻訳だから、ちょっとおかしいところはあるが。概要はわかるはずだ」

 腕組みをして怒った表情で大山が言う。とにかくその記事を読まねば。

「どれどれ…ん、えっ、なにっ!」

 読み進めていくと、大山の怒りの原因がわかった。と同時に、血の気が引いていく自分がいることもわかった。

 そこには、大山にも進めた投資話の会社の名前が書かれてある。その会社が詐欺容疑で捕まったという内容だ。

「詐欺って、ど、どういうことなんだ…」

「こっちが聞きたいんだよ。おい、オレが投資した金はどうなるんだっ!」

「ちょ、ちょっとまってよ。今すぐ確認するから」

 あわててこの話をもってきた社長のところへ電話をする。が、話し中でつながらない。

「ちくしょう、つながらない。ちょっと待ってろ。この話をしてきた社長のところに行くから」

「オレも行くっ」

 おいおい、どうなるんだよ。自分だってなけなしの三千万円を投資したんだから。この金、無理やりかきあつめたんだぞ。どうしてくれるんだ。そう思うと泣きたくなってくる。

「社長、どういうことですか!」

 例の社長の会社につくなり、大声で怒鳴る。びっくりしたのは事務員の女性。

「ちょっと、清下さん、突然なんですか?」

「社長を出せ、おい、社長、いるんだろう!」

「社長は今外出しております」

「そう言えと言われているんだろう。おい、いるんだろう!」

 怒りで我を忘れている自分がいることには気づいていた。だが、この感情は抑えきれない。

 いつも通される社長室に入っていく。だが、事務員の言葉通りそこはもぬけの殻。ちくしょう、逃げやがったな。

「清下、どうすんだよ。社長いねぇじゃねぇか」

 大山も怒りの表情でそう言ってくる。これは事務員に聞くしかない。

「社長はどこに行ったんだ?」

「わ、私も聞かされていないんです。あわてて出ていったきりで…」

「ここの社長も、詐欺を知ってひょっとしたらこの話を紹介したアップのところに行ったのかもしれんな」

 大山の言うとおりかもしれない。よく考えたら、ここの社長も被害者の一人である。この件について責任はない。いや、責任がないわけではない。自信満々に自分にこの話を持ってきたのだから。アップがダウンに対してきちんとしたフォローをするのは義務じゃないか。

「ちっ、しばらく待たせてもらいますからね」

 そう言って勝手に社長室のソファにドンと腰掛け、社長の帰りを待つことにした。

「オレは一旦戻る。社長が帰ってきたら連絡をしてくれ」

 そう言うと大山は険しい表情を浮かべたまま社長室を出た。それにしてもいまいましい。今まで信頼をしていた社長が急に憎たらしく感じてしまう。

 まったく、こんなトラブルに巻き込みやがって。どうやってお金を回収しようか。頭はそのことでいっぱいだった。

 そのとき、ふとカフェ・シェリーのマスターの言葉が浮かんできた。

「相手が苦しんだり負担を強いられるようであれば、それは助け合いではない」

 まさに今の状況がそうだ。最初はそれが自分を楽にする方法だと思っていたが、結果的には自分を苦しめている。さらに、それが大山を苦しめ、自分が紹介した他のメンバーも苦しめることになる。

 負の連鎖だ。

 この負の連鎖から抜け出すにはどうすればいいんだ。仮に自分がお金を回収できたとしても、大山のように自分が紹介した先の人間は苦しんだまま。

 じゃぁ、諸悪の根源は誰なんだ?ここの社長、ではない。さらに上の人間になる。最終的には詐欺で訴えられた会社の責任か。

 そんなことを考えたら、だんだんイライラしてきた。怒りが増してきた。結局は自分の利益のために、この儲け話をしてきた社長が悪いんじゃないか。やはり責任を取ってもらわないと。再びそんな考えに至ってしまった。

 そのとき、社長室の扉が開いた。姿を表したのは、まさに怒りの対象である社長だ。

「社長、これはどういうことですかっ!」

「き、清下くん…」

「例の投資話、詐欺だってことじゃないですか。社長も私を騙したんですね」

「そ、それは誤解だ。私だって騙された一人なんだから。そのことで私も今、自分のアップに話を聞いてきたところなんだ。まぁ落ち着きたまえ」

「落ち着けって、自分が投資した分はどうなるんですかっ!今すぐ返してください!」

「だから落ち着けって。そもそも私が清下くんを騙したわけじゃないだろう。私だって被害者なんだから。それに、そもそも今回の仕組み事態が違法だったわけだから、そのくらいのリスクは…」

「違法だからなんだって言うんですかっ!いいかげんにしろっ!」

 このとき、思わず社長の胸ぐらをつかんでしまった。そのあとのことはよく覚えていない。気がついたら、血まみれになって倒れている社長がそこにいた。

「社長、何かありましたか?」

 社長室のドアが開き、事務員が部屋を覗き込む。その瞬間

「きゃぁぁぁっ!」

 事務員の叫び声。その声で我に返り、慌てて部屋を飛び出した。

 ヤバイ、カッとなって社長を殴ってしまった。たぶん、テーブルの上にあった灰皿でやってしまったはず。そのあたりの記憶があいまいだ。

 どうする、どうすればいい?

 そんな自問自答を繰り返しながら、どこへともなく走っていく。

 ひとしきり走り抜いたところで、ようやく足を止める。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 遠くにパトカーのサイレンの音がする。おそらく、事務員が警察を呼んだに違いない。このままだと自分はお尋ね者になってしまう。警察に捕まってしまうのかな。

 このとき、なぜかカフェ・シェリーのマスターの顔が思い浮かんだ。そしてあの言葉。

「相手が苦しんだり負担を強いられるようであれば、それは助け合いではない」

 自分がやってきたこと、助け合いの気持ちを持ってイベント事業を行ってきた。それは自信を持って言える。

 けれど今はどうなんだ。自分のお金に対しての欲、それが優先してしまい、自分勝手な考えて行動をしてしまった。その結果が今だ。

「マスターに会いに行こう」

 ふと、そう思いついた。今日会ったばかりの人なのに、なぜだか頼りたくなった。

カラン・コロン・カラン

 お店に着いたのは夕方六時。お店は六時半には閉店するらしいが、僅かな時間でもいいからマスターと話をしたい、その一心だ。

「いらっしゃいませ。おや、清下さんでしたっけ?なんだか沈んだ顔つきですが、何かありましたか?」

 マスターは自分の顔を見るなり、そう言ってきた。とりあえずカウンター席に座る。店内には窓際の席に女性客が二人、そこにこのお店の女性店員が交わって賑やかに話しをしている。これなら自分の話が聞かれることもないか。

「マスター、話を聞いてもらえますか?」

「はい、私でよければ」

「実は今、カッとなって人を殴ってしまったんです。ケガもしています。下手をすると死んでしまうかもしれない…」

 マスターは驚いた表情はしたが、だまって自分の話にうなずいて聴いてくれる。

「原因は、マスターにも話したあの投資話です。あれ、詐欺だったんです。それでこの話を紹介してくれた社長のところに行って、責任を取ってもらいたくて、それで話がこじれて…」

「ついカッとなって相手に危害を加えて、逃げてきてしまった。ということですね」

「はい…自分、これからどうすればいいでしょうか?いや、どうすればいいか、それはわかっているんです。自分がやったことの償いをしなければならない。警察に出頭して、きちんと話をして、社長に謝罪をして…」

 ふとマスターを見ると、コーヒーを淹れている。だが、目線は常に自分の方を向いている。ちゃんと話を聴いてくれている。

 しばらくは沈黙が続く。コーヒーを淹れ終わったマスターは、自分にそのコーヒーを差し出しながらこう言ってくれた。

「シェリー・ブレンドです。これは私からのおごりです。もう一度、これを飲んで自分がどうしたかったのか、そしてどうあらねばいけないのか。それを感じてください」

 そうしてニコリと笑うマスター。このとき、ふと心が落ち着いた。言われたように、コーヒーカップを手にとり、それを口に流し込む。

 苦い、とにかく苦い。まるで苦しみを味わうかのような苦さだ。けれど、その苦さを受け入れなければいけない。そう、自分の犯した罪をきちんと受けとめなければならない。

 いや、それだけじゃない。自分の欲、自分の身勝手さ、自分のわがまま、これも全て苦味と同じである。この苦味を受けとめなければいけない。

「お味の方はいかがでしたか?」

 マスターの言葉で、ハッと我に返った。そうだった、今はマスターと話をしていたんだった。

「はい、とても苦かったです。けれど、この苦味を受けとめなければいけない。そう感じました」

「そうなんですね。では、今からどのように行動しますか?」

「犯した罪はきちんと償います。まずは警察に出頭し、社長にも謝罪をします」

「そうですね、それがいいでしょう。他に思いつくものはありますか?」

「他に、ですか?」

「はい、まだまだやるべきことがあるのではないかと思いまして」

 やるべきこと。それもうすうすはわかっていた。だが、これを口にしてしまうと、自分は本当に悪者になってしまう。けれど、これも苦味の一つだ。

「わかりました。自分が今回の投資の話をして、迷惑をかけた方々へしっかりと謝罪をしたいと思います」

「ぜひそうしてください。あなたが今回の話をもちかけた社長に対し、怒りを抱いたのと同じ感情を、他の方々はあなたに対して感じているかもしれませんからね」

 今は深く反省している。目の前のお金を追ってしまい、我を忘れてしまった。人を犠牲にしてまでお金儲けをしようとした。その罰が下されたのだ。

「では、今から警察に行ってきます。マスター、ありがとう。コーヒー、ごちそうさまです」

 そうして喫茶店を出て、近くの警察署へと足を運んだ。だが、そのときにショックなことを聞くことになった。

「清下さん、でしたね。あなたが正直に出頭してきたことは認めましょう。けれど、あのまま逃げてしまったのはいけなかったね。あの社長さん、大量出血で亡くなってしまったよ」

「えっ、し、死んだんですか?」

 そこからのことは、今思えば記憶もあいまいだった。ただ、淡々と取り調べで今までの経緯を話しただけ。ついカッとなって、灰皿で社長の頭を殴ってしまったこと。そのことを伝えた。

 その後、警察の取り調べ、さらには検事の取り調べがあり、その間は拘置所に勾留されることになった。

 いまさら犯した罪の言い訳はできない。裁判では、殺意があって社長に会いに行ったのかというところが争点となった。過失致死罪になるのか、傷害致死罪になるのかで自分の刑期が大きく変わるのだから。

 裁判が終わるまで、半年という期間がかかった。その間、自分にとっては一つだけうれしいことがあった。それは、あのカフェ・シェリーのマスターが私に面会に来てくれたこと。

「テレビのニュースで見てびっくりしました。被害者の社長さん、亡くなられたんですね」

「はい。自分の身勝手な思い、そして衝動的な行動。今となっては反省しっぱなしです」

「清下さんにシェリー・ブレンドを飲んでもらいたいところですが。飲食物は残念ながら差し入れできないということだったので。私がおすすめの本を何冊かお持ちしました。ぜひお読みください」

「ありがとうございます」

 拘置所の中ではやることもなく、ただ時間を過ごしていただけだったので非常にありがたい。

「すべての罪を償って、出てきたときには美味しいコーヒーをごちそうしますよ。その日が一日も早く来ることを願っています」

 マスターの微笑み、これにまた救われた。やはりあのとき、この人を頼って正解だった。あのまま逃げていたら、自分のやったことを素直に反省することはなかっただろう。

 マスターの言葉に支えられ、ようやく裁判の判決がおりた。

「被告を過失致死罪とし、三年の懲役を言い渡す」

 やはり、故意に死なせたとみなされてしまった。これについては言い逃れしようがない。殺人罪にならなかっただけでも幸いだと思わなければ。

 そうして今、塀の中での日々を送っている。

 思えば今まで、自分は何のために仕事をしてきたのだろう?

 学校を出て、一度は就職をしたが「何か違う」と思い始め。一年ほど経ったところで会社をやめ、自分で事業をやろうと試みた。

 最初は何をすれば良いのか見つからず、アルバイトをしながら自分の方向を模索していた。そんなときに、イベントのバイトでいろいろなアイデアが浮かんできて「これだ!」と思った。

 そのときには儲けることしか考えていなかった。どうすればお金になるのか、どうすればもっと仕事になるのか。今度はそれを模索し始めた。

 おかげで「清下くんのアイデアはおもしろい」などと評価され、次第に名前が売れるようになってきた。事件を起こす直前には、スタッフも増えて自分の仕事は「社長」と呼ばれる人と同じようになってきた。現場は部下に任せて、自分は資金調達や人事、そして経営と言われるものに集中できるようになっていた。

 これらの仕事は、常に「お金を追う」ということばかり意識してきた気がする。おかげで、それなりのお金を持っている経営者と親しくなり、かわいがられるようになっていた。

 だが、それがいけなかった。そもそも自分の仕事は何だったのかを忘れていたのだ。

「面会だ」

 塀の中に入ってから、今までの仲間と思った連中は、自分の存在を忘れたかのように連絡が途絶えている。身内でさえ、自分のことを恥だと思っているのか全く姿を見せない。

 だが、唯一面会をしてくれる人がいる。それがこの人だ。

「清下さん、お元気そうですね」

「ありがとうございます。マスター」

 そう、カフェ・シェリーのマスターである。マスターは私が刑務所に入ってから、月に一回の割合で会いに来てくれる。

 マスターはその都度、本を差し入れてくれる。最初の頃は、カウンセリング的な心のあり方の本だった。それが徐々に、実用的なビジネス本に変わっていく。

「清下さんがここを出たら、すぐにビジネスが再開できるように。今回はマーケティングに関する本を持ってきましたよ。ぜひビジネスプランを今のうちにまとめてみてくださいね」

 そうなんだ、マスターのお陰で自分の仕事のあり方、考え方、そしてこれからの方向を新しく見出すことができている。

 今まではお金のため、利益のためと思っていたのだが。今は考え方が全く違っている。もっと世のため、人のため、社会のために働かなくては。そう思えるようになった。これもマスターのおかげだ。

 そうして塀の中で過ごしていくうちに、今まで生きてきた人生全てを見直すことができた。

 どうしてお金だけを追うようになったのだろう。そうか、学生時代に自己啓発というのに目覚め、そこで「お金持ちになる」という夢を抱いていたからか。リッチな生活、セミリタイヤ、海外移住、そんなことばかりを夢見ていた時期があった。

 それをやりたくて事業を興し、そのためだけに仕事をやって人脈を広げてきた。だから、周りには似たような夢を抱いていた若手起業家ばかりが集まっていた。

 だから、こういった仲間といると自分の事業の目的がさらに「お金を集めること」だけになり、ありとあらゆる投資話、お金儲けの話に意識が向き始めていた。

 それがすべての失敗だった。

 マスターから差し入れてもらった本の中にも、そんな失敗談があったな。お金ばかりを追ってしまい、その結果一文無しになってしまった経営者はホームレスにまで落ちぶれてしまった。けれど、そこでもう一度自分の事業の目的を見直し、再出発したという。

 よし、ここを出たら再出発をしよう。自分が抱えている罪は消えない。けれど、前には進める。

 これが塀の中で出した自分の答えである。

 そうして三年の月日が経った。

「今までお世話になりました。ありがとうございます」

 塀の門の前で、深々と頭を下げる。そしてあらためて、自分の足で歩き始めた。これからの自分の未来のために。

 塀の外に出たら、まず真っ先に向かわなければ行けないところがある。それはもちろん、カフェ・シェリーである。

 久しぶりに通る街は、一見すると何も変わっていなかった。けれど、自分の目には今までと全く違うものに見える。その輝き、その色合い、その空気。今まで見えていなかったものが見えてきた。そんな気がする。

「ここだ。久しぶりだなぁ」

 一度深呼吸をして、お店に上がる階段をのぼっていく。

カラン・コロン・カラン

 こんな音色だったっけ。なんだかカウベルの音に歓迎されているような気がした。

「いらっしゃいませ」

 女性店員の声がする。そして少し遅れて

「いらっしゃいませ」

と、男性の低くて渋い声。マスターの声だ。

「マスター、今日出てくることができました。今まで本当にありがとうございます」

「清下さん…おかえりなさい」

 マスターのいつもの笑顔。けれど、その目の奥は少し潤んでいた。感極まった表情なのがわかった。

「こちらへどうぞ」

 通されたのはカウンター席。初めてこの店を訪れたときに座った、あの席だ。

「今日はお祝いです。ささやかですがコーヒーをごちそうさせてください」

 マスターはそう言うと、いつものように私に微笑んでくれた。この三年間、何度この笑顔に支えられてきただろう。

「ありがとうございます。自分はマスターのお陰で、三年間をきちんと勤めてくることができました。いつも心の支えになっていただき、感謝しています」

「いえいえ、私は大したことはしていませんよ。清下さんにきちんとした信念が芽生えたからこそ、今があるんですよ」

 その信念を芽生えさせてくれたのは、間違いなくマスターだ。感謝しつくせないほどのありがたさがある。

 あらためてお店の中を見回す。落ち着いた雰囲気の中、流れてくるジャズの音楽。そして甘いクッキーの香り。あの頃は自分のことしか見えていなくて、このお店がどんなだったか見ようともしていなかった。

 けれど今は違う。周りをよく見ていこうという心の余裕ができた。そして、人が何を望んでいるのか、そこで自分に何ができるのか。それを見ていこうという考えがある。

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです。ごゆっくりどうぞ」

 久しぶりに嗅ぐ、本格的なコーヒーの香り。塀の中ではインスタントしか口にしなかったからな。

「いただきます」

 果たして、今回はどのような味がするのだろう。そして、自分に何を見せてくれるのだろう。期待を込めて、シェリー・ブレンドを口に運ぶ。

「あぁ、おいしい」

 口に入れたときに、まず最初に出たのはこの言葉だった。三年間も待っていた味なのだから。

 だが、この「おいしい」以外の味が見えてこない。どういうことだ?

「どうかしましたか?」

「あ、いえ、最初にここでこれを飲んだときには、お札の香りがしたんです。あのときに欲しがっていたのはお金でしたから。けれど今回は『おいしい』以外の味がしないんです。どういうことなんだろう…?」

「清下さん、おいしいと思ったときに、どんな気分になりましたか?」

「はい、なんだか心から満足するというか、ホッとするというか…あ、そうか、そういうことか!」

「何かに気づかれたようですね」

「はい、塀の中でずっと考えていたんです。これからどんなことをやっていくのか。まず大切なのは、お客様や社会に満足してもらえること。これを忘れてはいけないということでした。だからこの味なのか…」

 シェリー・ブレンドが自分に教えてくれたこと。それはもっと人を満足させるような行動をすること。それが自分が犯した罪ほろぼしでもあり、本来やるべきことなのだから。

「清下さん、これからどうしようと思っているのですか?」

「はい、もう一度一から事業をやり直します。けれど、この街では無理でしょうね。事件は風化しているとはいえ、自分がやったことはみんな知っているでしょうから」

「そうですか、清下さんと別れてしまうのはちょっと残念ですが。けれど、それがいいでしょう。それで、どこへ行こうと思っているんですか?」

「はい、今まで自分はイベント運営の事業をやっていました。これはそのまま、町おこしとか地域おこしに使えるんじゃないかって思ったんです。そこで、山陰地方に行ってみようかと」

「山陰地方というと、鳥取とか島根とか?」

「はい。特に鳥取県は今からの勢いを感じられるところです。けれど、きちんとしたノウハウがなければ、失敗してしまうかもしれません。だから、そこの手助けができればと」

「なるほど、それはいいですね。応援していますよ」

「ありがとうございます。どうなるのかわかりませんが、ちょっとワクワクしていますよ」

「清下さん、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

「はい、何でしょうか?」

「清下さんにとって、この三年間の意味って何だったと思いますか?」

 塀の中で過ごした三年間の意味。今、あらためて考えてみた。自分は三年前のまま過ごしていたら、間違いなく失敗していただろう。事業も、友人関係も、そして人生も。

 もちろん、私が犯した罪は正しいことではない。今までの間違いの集大成だったと思っている。

 けれど、あのことがなければもっとひどい人生を送っていただろう。とても社会に貢献するなんて考えは出てこなかったに違いない。だから、マスターの問いにはこう答えた。

「自分にとって、この三年間は人生を正しく送るためのきっかけであり、そのための準備期間です。いや、自分の人生だけではない。これから多くの人に、正しく生きることを気づいてもらうための大事な期間でもありました」

「なるほど、そうなんですね。その言葉を聞いて安心しました」

 そう言ってマスターは微笑む。多くを語らないマスターだからこそ、自分の気持ちをわかってくれていると確信している。

 そうして再びシェリー・ブレンドに口をつける。このときの味は、自分の未来の味がした。


<塀の中から 完>

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