タメ息ばかりつくのは誰を想っているの?
___僕の好きな女性は、いつもタメ息ばかりつくんだよ。
僕の名前は、『小田原 涼雅』15歳、高校一年生の男の子だよ。
そして、僕がずっと想い続けている女の子の名前は、【田中さん】
___彼女は、僕と同じクラスで僕の斜め前の席に座っているんだ!
窓際の席に座っている彼女の髪が風で靡いている。
___とても、キレイで見惚れてしまうよ。
___彼女は、どちらかと言えば、、、?
物静かな女の子でね! 仲がいい女友達が数人いるぐらい。
みんなと仲良くするような女の子じゃないんだ。
・・・だけど?
同じクラスになって、半年ぐらいから。
彼女が、一人タメ息をつく姿をよく目にするようになったんだよ!
___女の子が、タメ息をつくって事は、、、?
やっぱり? 好きな男でもデキたのかな?
・・・僕は、なんだか? 複雑な気持ちでいっぱいなんだ!
僕の好きな田中さんが、他の男の事を考えてタメ息を付いているなんて!
・・・知りたくもないし! 分かりたくもないよ!
だって! 僕は田中さんの事しか見てないんだから!!!
___他の男の事なんか! 考えてほしくない!
本当は、、、僕の事だけ田中さんの頭の中をいっぱいにさせたいぐらいだよ!
・・・でも?
こればっかりはね? 僕の思うようにならないことぐらい知ってるから...。
▽
___でもさ?
ある時、クラスの男子に聞いた話なんだけど、、、?
勿論! 田中さんの事だよ!
『___なあ、小田原? お前、知ってるか?』
『___えぇ!? 何を、、、?』
『田中の事だよ!』
『なんだよ! 近藤、お前なにか知ってるのか?』
『___えぇ!? 急にテンション上がったな~! ひょっとしてお前?
田中の事が好きなのか?』
『・・・ち、違うよ! な、何言ってんだよ!』
『・・・まあ、いいよ! 田中の事なんだけどな?』
『___あぁ!』
『___田中って? 好きな男がいるらしいぞ! よくタメ息をついて
いるだろ? あれって、好きな男の事を考えてるからだよ!』
『・・・なんだよそれ? そんな事なら、知ってるよ!』
『___えぇ!? じゃあ、相手が誰なのかも知ってんのか?』
『・・・い、いや? それが、知らないんだよ!』
『田中の好きな男は? 伊東だよ!』
『___えぇ!? 伊東って? 担任の伊東先生って事なのか?』
『___あぁ! そうらしいぞ!』
『なんで? 担任の先生なんだよ!』
『そんなの、知らないよ! 田中に直接聞けよ!』
『・・・・・・まあ、そうだよな、』
『お前! マジで! ガッカリしたみたいだな!』
『・・・えぇ!?』
『分かりやすいんだよ! 小田原、、、?』
『・・・・・・』
『まあ、諦める必要もないけどな!』
『___えぇ!?』
『伊東って? 結婚してるから! まさか!? 先生で結婚してるのに!
田中と不倫する訳ないだろうしな!』
『・・・まあ、確かに...。』
『自動的に、田中は、伊東の事を諦めるしかないんだよ!』
『そうだよな! 不倫までして付き合ったりしないよな! 田中さんは
そんな女の子じゃないよな!』
『・・・ふーん、やっぱり田中の事が好きなんだな、小田原!』
『何回も言うなよ! そうだよ! “僕は田中さんの事が好きだよ!”』
『・・・やっぱり。』
『・・・・・・』
『___まあ、頑張れよ!』
『・・・あぁ!』
___まさかだよな!?
田中さんの好きな男が、まさか!? 担任の伊東先生だったなんて
考えもしなかったよ!
・・・確かに?
伊東先生は、歳も28歳で結婚して1年目の新婚だと聞いていたかな!
今! 奥さんのお腹の中には、先生との赤ちゃんがいるとか、、、?
___傍から見たら、、、?
幸せそうに、奥さんの話とか? クラスの奴らにしてるのを聞いた事が
あったし! 論外だと思ってたよ!
___まさか!?
僕のライバルになるなんて! 想ってもみなかった!
▼
___だけどね?
直接、僕が田中さんに聞く事が出来る機会が出来たんだ、、、!
『___ねえ、小田原君? そのリュック、どこで買ったの?』
『___えぇ!? これ? あぁ、僕がよく行くお店で買ったんだよね?』
『良かったら? 連れててくれない? 私も欲しいな~!』
『・・・あぁ、いいよ!』
『じゃあ、今日! 学校が終わったら? どうかな?』
『・・・い、いいよ!』
『ありがとう! じゃあ、後でね!』
『・・・ううん。』
*
___学校が終わって、僕は校門で田中さんを待っていたんだ!
『ごめんごめん、待った? 行こうか!』
『・・・ううん。』
___僕は、田中さんと横で歩きながら、思い切って聞いてみたんだ!
『・・・田中さんってさ? 伊東先生の事が好きなの?』
『___えぇ!? 誰が言ったの?』
『・・・やっぱり、そうなんだ、』
『違うよ! 私が好きなのは、小田原君だから。』
『・・・えぇ!? マジで?』
『・・・ううん。』
『じゃあ、あのタメ息も、僕の事を想って、、、?』
『・・・ううん。』
『じゃあ、僕と付き合ってくれる? 僕も田中さんの事がずっと好きだった
から! 心配だったんだ、、、! 伊東先生とマジで付き合ってるのかと。』
『・・・男の子って? バカだねぇ~! そんな心配してたんだー!』
『・・・いいよ! バカでもアホでも! それでも僕は田中さんが好きだよ!』
『・・・私も、だよ!』
___まさか!? こんな事って? あるんだね!
田中さんのタメ息の相手は、“僕”だったんだ!
・・・今でも、信じられないけど、、、?
物凄く、嬉しかったんだ、、、!!!
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