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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第二章 功刀康太はインチキ教祖をとっちめる
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第85話 康太の新たなお仕事:その9「教団への強襲!:その4」

 俺達は、教団祭会場で二手に分かれた。

 俺が所属する攻略組、教祖の下へ赴いてとっちめる組だが、以下の面子だ。

 チエちゃん、カレンさん、コトミちゃん、ナナ、俺。

 攻撃、カギ解除、探査を考えてこのメンバーとなった。


 残るは、会場外で憑依している邪霊の浄化を担当する制圧組。

 こちらには、マユ姉ぇ、シンミョウさん、リタちゃん、朧サン。

 広範囲攻撃主体のメンバーを多めにして守護を朧さんが担当。

 他には、母屋にマサトが待機しており、チエちゃん謹製PCによる電子攻撃をしてもらう段取りになっている。

 最近マサトはチエちゃんと科学系の談義をよくしているらしく、その内容は俺がついてゆけない高度なものっぽい。


「翔太君からの連絡だと、教祖は奥の祭壇で教団幹部と一緒みたいだね」


「うむ、さすればマサト殿の出番じゃ! 攻撃スタートじゃ! ぽちっとな!」


 チエちゃんのスマホからの指令を受けたマサトのハッキングにより教団建物の監視カメラ、警報システムを完全に乗っ取る。

 本来なら電子法違反だけど、今回は人助けという事で勘弁してね、中村警視。

 尚、一応中村警視にも今日の事は連絡済で、何かあれば動いてもらう段取りになっている。


 俺達は教団建物の裏口にそっと近づく。

 カメラを見るとモニターランプが点滅しており、こちらのコントロール下になっているのが分かる。


「じゃあ、ボクの出番だね。王鍵(マスターキー)サン、出ておいで!」


 まるで「無限の宝物庫」を開けられるような金色の鍵がナナのポケットから飛び出して、すっと裏口ドアの鍵穴に入る。

 この九十九神(つくもがみ)サンの能力は、電子・物理を問わず如何なる鍵をも開いてしまう事。

 悪用すれば大変な事になるのだけれども、ナナや俺達にはそんな気は毛頭無いから良い。

 まー、今回は不法侵入という犯罪行為してはいるんですけどね。


 そして開く裏口、俺達はそっと建物内に入った。

 そこは広い上に長く続く廊下の末端、リアルダンジョン攻略なんだけど、建物図面は既に入手済みなので、直接本丸の祭壇へ向かう。

 尚、チエちゃんが図面入手したのだけれど、入手方法については追求しない方向で。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「良かった、マリ。なんともない?」


 俺とチエちゃんとの話が終わった後、守護使い魔のマリさんを解放して翔太君の元へ戻した。

 使い魔マリさん、いや外見からしてマリちゃんというべきか。

 邪霊を集めて作ったと聞いていたのに、その外見は可憐な女の子。

 元が水系のモノを使ったのか、水の精霊ウンディーネというかスコットランドの妖精セルキーっぽい。

 マリちゃん、翔太君にしっかり抱きついて大きな黒目を涙目にして、俺達を睨む。


「コウタ様。ご依頼の通り、傷ひとつ付けずお返しいたしました」


 朧サンは、いつもの黒執事格好で華麗に礼をする。


「朧サン、ありがとう。面倒な事をお願いして大変だったでしょ」


「そうですね。思ったより『力』がありましたので、如何(いか)に無傷で無力化するか悩んで、結局『奇門遁甲』迷宮でしばらく迷って頂きました」


 奇門遁甲とは、古代中国の占術・呪術にある手法で「八門遁甲」とも呼ばれる。

 元は方位の吉兆を占うものだったのを変じて、迷宮をつくるにも用いる様になったそうな。

 朧サンが使ったのは、おそらくだけどいつも彼が隠密活動時に使う空間の位相ずらしを利用して、相手を違う位相世界に引きずりこんで迷わせるものだろう。

 しかし、中華古典にも強いとは、チエちゃんの「息子」なだけの事はあるね。


「しかし、これは可愛すぎてワシ、とても滅ぼせぬわい。マリ殿、ワシの話す事が分かるかの?」


 マリちゃん、チエちゃんの方を見て、びくっとして怯えた。

 おそらくチエちゃんの「本質」を見て怖くなったのだろう。


「大丈夫じゃ、お主を害したりしないのじゃ。もちろんご主人のショウタ殿にも何もせぬのじゃ!」


 そう言ってチエちゃんはマリちゃんに笑いかける。

 それを見聞きしてマリちゃんは少し安堵した様に見えた。


「マリ殿、お主に少し頼みがあるのじゃ。ショウタ殿やお主の生みの親の教祖殿をワシらは助けたいのじゃ。じゃから、お主はワシらの事を教祖殿に知らせぬようしてはもらえぬかのぉ」


 俺がマリちゃんに頼むよりも、より力があって霊的存在であり、更に慈愛深いチエちゃんから頼むほうがマリちゃんも納得しやすいだろう。


「マリ、僕からも頼むよ。このお兄ちゃん達は、僕だけでなくお父さんも含めて助けるって言ってくれたんだ。お願いを聞いてくれる?」


 翔太君のお願いもあってマリちゃんは頷いて俺達の願いを聞いてくれた。


「ムリを申してすまんのじゃ。本来、使い魔は創造主に逆らう事は難しいのじゃ。そこにムリを通させてしもうたのじゃ。しかし、必ず(みな)をワシらが救うから安心するのじゃ!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「先輩、向こうから何か来ます。霊体だとは思いますが、敵意は感じません」


 コトミちゃんがいち早く俺達に何かの接近を知らせてくれる。

 こういう敵地潜入の場合、待ち伏せ・不意打ちが怖いけど危機感知能力に長けたコトミちゃんがいるからそれは起きない。

 攻撃力は無い彼女だけれども、今回彼女の希望でチームに加入してもらっている。


 少し警戒した俺達だが、現れたのがマリちゃんだったので一安心した。

 マリちゃんは空中で「こっち」という感じで方向を示してくれる。

 さて、これで戦闘準備は万端だ。

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