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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第二章 功刀康太はインチキ教祖をとっちめる
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第82話 康太の新たなお仕事:その6「教団への強襲!:その1」

 新興宗教法人「光輝宗(こうきしゅう)」代表、黒田光道は焦っていた。

 このところ、教団周囲では活動がうまくいかないようになってきている。

 警察から信者についての問い合わせが多いし、宗教法人の総括である文部科学省からも多額のお布施の用途について問い合わせが来ている。

 文科省に力がある国会議員との縁が切れたのも影響しているのかもしれない。

 その上、妙なプレッシャーをどこからか感じるのだ。

 誰かが自分達に敵対をしているのだろうか、ぼんやりとだが「敵」がいるのを考えていた。

 このままではダメだ、打開策を行うべきだと。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「先輩、聞きましたよ。国会議員宅でのコト。チエお姉さまがスゴイ大立ち回りしたんだそうですね。まるで時代劇の殺陣(たて)シーンみたいにバッタバッタだったとか」


 そうニッコリ笑いながらゼミ室で俺に話しかけるコトミちゃん。

 間違っても新聞沙汰にもなっていないし、まだ報告もしていないのにどうしてコトミちゃんは俺達の活躍を知っているのだろうか?


「コトミちゃん、あんまり大きな声で言わないでよ。しかしどうやってその話を知ったんだい?」


 コトミちゃんはニヘラと笑いながら右手人差し指を立てて唇に当てながら話す。


「それは前も言いましたが、乙女のヒミツですぅ」


 アカん、この娘には障子の「眼」と壁の「耳」があるのだ。

 やろうと思えば俺のプライバシーなんてモノは彼女の前では無いも同じなのだ。


「大丈夫ですよ、先輩個人のプライバシーには興味ありませんから」


 なんで、俺の心の声まで読まれるんだよ?


「コトミちゃん、まさかテレパス(念話)とかクレヤボヤンス(千里眼)とか出来たりしないよね?」


 コトミちゃんは笑顔のまま答える。


「それこそ乙女のヒミツですよ、先輩!」


 あー、俺には最早「普通」な女性はもはや近づかないんだ。(泣)


「それはそうと、『馬』を落としましたから、そろそろ『将』を狙いますか?」


 コトミちゃんの質問に俺は答える。


「そこいらはマユ姉ぇやチエちゃん達と相談だけど、向こうの動き次第だね」


 向こうがこちらの動きを察知して攻撃に移るのなら困るけど、今のところは大きな動きは無いとの「(おぼろ)」さんからの報告だ。

 こちらの戦略級大火力を如何に手加減しつつ相手を薙ぎ払うかが、今回のミッションの成功のカギであろう。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 コトミちゃんと「チエちゃん暴れん坊事象」について話した数日後、事態は動いた。


「お母さん、こんなチラシ学校の近くで貰ったんだけど」


 ナナがマユ姉ぇに持ってきたチラシには以下のように書いていた。

 「光輝宗 春の祭典 開催! 一般者 入場大歓迎」と


「マユ姉ぇ、これはどういう意味なのかな?」


 俺はマユ姉ぇにこのチラシの「意味」を聞いた。

 俺には想像も付かなかった教団の動きだったから。


「たぶん、チエちゃんの策が効いて来たのかも知れないわね」


「そうじゃのぉ、囲い込みが効果を出してきたので、自分達が危険では無いと証明しに来たのじゃな」


 ん、いまひとつ話が分からないぞ。


「チエちゃん、どういう事なの? 俺に教えてくれない?」


「うん。チエ姉ぇ、ボクも分からないから教えてよ」


 ナナも俺の疑問に首を突っ込んできた。


「あくまでワシの推測じゃぞ。それで構わぬのじゃな? そうそう悪魔が『あくま』で、とはギャグじゃないからの」


 はい、そこで寒いギャグを挟まなくていいからね、チエちゃん。


「まず国会議員からの庇護(ひご)が無くなったのが一因じゃな。あの議員、文科省の族議員だったらしく、宗教法人認可だけでなく『ナイト』事件の際の遺跡関連なぞでもコウタ殿達に迷惑を沢山かけたのじゃ」


 それで、あの議員が内藤(おう)にも関連があった訳だね。


「また警察にも少々動いてもらったのじゃ。信者からの生活相談が増えるように少々仕向けて苦情を教団へと流れるようにしたのじゃ」


 どうやって相談件数を増やしたかは、あえて聞かないほうが良さそうだ。


「こうやって外圧を増やす事で、教団が動くなら閉鎖的になるか、開放的になるかのどっちかじゃ。よりアングラで凶悪になるのが閉鎖型、富士山麓の某教団とか海外での自殺教団や狂信テロ教団がこの例じゃな」


 どっちもニュースになったのを、その時は幼かった俺も覚えているよ。


「開放型になるのは、比較的穏健な集団じゃな。自らをより知ってもらうことで危険な存在では無いとアピールし、信者増加を目指すタイプじゃ。しかし、富士山麓の某教団も一時期解放的に動き、商業活動・選挙活動までした事例があるのじゃから、このタイプでも絶対安全とは言えぬ。結局、社会に認められずに逆恨みした結果、彼らはテロに走ったのじゃからな。という事で、ここいらで教団を健全化させる為にも、ワシらの出番じゃ!」


「じゃあ、この祭りの時に乗り込むの?」


「そうじゃな、『朧』の報告でもこちらの存在は知られておらぬ様じゃから、どうどうと表門から入って、また『暴れん坊』するのじゃ! それともワシ、悪魔形態になって『水戸』パターンもいいかも知れないのじゃ!」


 チエちゃん、どうも時代劇にも興味があるらしく、最近衛星放送はアニメと時代劇チャンネルを見ている。

 昔の時代劇が好みらしく、「大江戸」なんちゃらとか「暴れん坊」なんとかが好きなんだそうな。

 時代劇もアニメ・特撮同様「テンプレ」パターンがあって、最後の殺陣(たて)のシーンでカッコいい音楽とともにバッサバッサと「成敗」してくのが良いんだとか。

 「大江戸」のテーマ曲は、時代劇でありながら西部劇調のオーケストラ音楽、曲調が何回も変じていながらすっきりで、50年程前の音楽なのに今聞いてもホルンの音色がとってもカッコいい。

「暴れん坊」はライダーとのコラボ映画なんてのもあるから、人気があるのも分からないでもない。

 将軍様が、いつものテーマ曲の元で怪人をバッサバッサと「峰打ち」で成敗していて違和感が無いのが凄いんだとか。


 後、「水戸」なんたらみたいに身分を隠して事件解決するのもチエちゃん的には悪くないらしいし、池波正太郎作品のシブイのもそれはそれで良いんだとか。

 まー、チエちゃん自身「正体」を隠しての活躍だし、池波作品は食事の描写が良いらしいから、食いしん坊チエちゃんが好むのも納得。


「なら、先にマサミちゃんのご両親とご相談しないといけないね。コトミちゃんに連絡するよ」


 さて、いよいよ実戦だ。

 しかし、チエちゃんが来てから俺大分楽しているなぁ。

本文中にありますが、「大江戸捜査網」のテーマ。

聞いていてかっこよくて気持ちいいのでお勧めです。

特にTRPGの戦闘シーンのBGMに良いかと。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。


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