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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第一章 功刀康太はダンジョン攻略をする
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第74話 康太は迷宮探索をする:その27「GW最終日」

 「御山」とチエさんの会談により、チエさんから「御山」への損失補填及び迷宮(ダンジョン)の貸し出し等の取り決めが終わったのは夕刻。

 そのままチエさんを加えた面子での賑やかな夕食となった。

 もちろん、チエさんは幼女形態、俺達に合わせて浴衣姿だ。

 やっぱり真の姿は恥ずかしいし、2mもの長身の為に日本の平均的家屋の天井だと頭とか翼が当たりそうになるし、悪魔姿の維持コストもかかるそうなので、基本的には幼女形態を取るのだとか。


「チエさん、そういえば気になっていたのですが、チエさんの種族は半分精神生命体との事、ならば食物を食べても栄養にならないのでは無いのですか?」


 俺の質問にチエさんは、


「だから敬語は使わんでいいのじゃ、コウタ殿。確かにワシらの種族にとっては口から食物を食べるのはあまり効率の良い栄養補給ではないのぉ。ワシら精神生命体が欲するのは知的生命体の持つ感情エネルギーじゃ。そういう意味では、ワシらは寄生虫じゃ。元々ワシらの先祖はこの宇宙の外から来て、この世界に感染した病原体みたいなものじゃからな」


 これは結構重要な情報だ。

 たぶん普通にしていたら知りえない内容。


「普通のデーモン達は負の感情、つまり怒りとか悲しみ等を好物にしておる。しかし、ワシはそういうのが好かんのじゃ。ワシが好きなのは、美味しいとか好きとかの明るい感情じゃ。だから、お主らと居るだけでそちらの方は満腹なのじゃ」


 まあ、珍しい悪魔だこと。

 普通悪魔が嫌がる感情が好物だとは。

 そのおかげでこうやって仲良くなれるから良いけどね。


「もちろん食物からエネルギーも取れるが、悪魔形態じゃ微々たる物じゃ。そこでワシが作ったのが、この擬体じゃ。この身体の維持には食物は必要じゃし、味覚もちゃんとある。つまりこの身体で美味しいものを食べれば、心身ともに満腹になるという一石二鳥なのじゃ!」


「つまり、美味しいは正義な訳ですね」


「うむ、そうじゃ! という事で、おかわりじゃ!」


 そう言って三杯目のおかわりを要求する幼女悪魔。


「はいはい、よく噛んで食べるのですよ」


 苦笑いでご飯をよそうマユ姉ぇであった。


 なお、食後の女風呂で何か「きゃー」とか言う悲鳴や「あーん」とか言う嬌声が聞こえたような気がするけど、あえて追求はしないぞ。

 たぶん、チエさんがイタズラしたんだろうけど。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 翌朝、休日診療を終えてようやく休みになった正明さんが高野山入りした。


「皆、無事にお仕事終わったんだ、良かったね。で、そこの子が連絡であった悪魔さんだね」


 流石(さすが)、正明さんだ。

 マユ姉ぇの旦那様だからか、こういった状況の対応がとても早い。


「うむ、ワシが魔神将(アークデーモン)チエじゃ。御当主には御妻子の事でいらぬご心配をさせてすまなんだ。全てはワシのワガママから始まった事じゃ。いくらでも非難してくれて構わぬ。ただ、出来たら一緒に暮らす事を許して欲しいのじゃ。もちろん絶対今後はご迷惑をおかけしないと約束するのじゃ」


 チエさんが頭を下げ謝罪すると、正明さんは腰を曲げてチエさんの目線まで自分の顔を下げ、チエさんの頭を撫でながら言う。


「とっても寂しくて暴れちゃったそうだね。ウチにもそういった九十九神(つくもがみ)さんはいっぱいいるし、異星人の娘もできちゃったんだ。だから今更悪魔の子が1人増えたところで状況は大きく変わらないよ。もう悪い事はしないんでしょ、なら良いよ」


 そう言ってチエさんに笑いかける正明さん。

 この度量の大きさは、なかなか真似できないや。

 しかし、九十九神さんやリタちゃんを悪魔と一緒に考えちゃうのは、マユ姉ぇの影響かな。


「ありがとうなのじゃ! もちろん必要経費は納めるし、家事も手伝うのじゃ! 流石はマユコ殿の夫、立派な御当主なのじゃ!」


 泣きそうになりながらドヤ顔という器用な顔をしているチエさん。


「お金は別に良いよ、ウチはお金にはそう不自由していないし」


「いや、ワシ大喰らいなのじゃ。流石に食費くらいは負担せんと心苦しいのじゃ!」


 確かに夕べの食べっぷりを見ると、その身体の何処に入ったんだという量を食べていたしね。


「まあ、その辺りはマユさんと話して決めてよ。僕は家計にはノータッチだからね」


 苦笑しながらマユ姉ぇとアイコンタクトする正明さん。


「では、立ち話はこのくらいにして、この後の遊びに行くところの話をしましょうか」


 マユ姉ぇが話を纏めたところで、気配を消し場を離れようとするチエさん。

 それをすかさず捕まえるナナとリタちゃん。


「チエちゃん、どこに逃げようとしているのぉ」


「ちえおねちゃん、いっしょにあそびにいくよ!」


 気配を消していたはずなのに捕まった事にびっくりしたチエさん。


「なんで気配を消していたワシを捕まえられるんじゃ、2人とも。それよりワシは関係ないじゃろ。家族旅行で遊ぶんじゃろ。ワシは家族じゃないから関係ないぞ」


「えー、私一緒に暮らすんだから家族って言ったわよね。早速の家族団らん、逃がさないわよ、チエちゃん」


 マユ姉ぇも「ちゃん」呼びし始めて、がっちりチエさんをホールド。


「もうバカな人達じゃ。悪魔捕まえて家族とは、よう言うったものじゃ。もーしょうがないわい。付いていくから、存分に楽しませてもらうのじゃ!」


 偉そうに口で言いながら、泣きそうになっているチエさん。

 ホント、泣き虫な悪魔さんだこと。


 なお、その後遊びに行った遊園地で一番はしゃいでいたのは、予想通りチエさんだったとさ。

これにて第2部第1章完結です。

泣き虫悪魔、チエちゃんはどうでしたか?


次は、チエちゃんの外伝を掲載します。


それでは、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。

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