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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第一章 功刀康太はダンジョン攻略をする
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第68話 康太は迷宮探索をする:その21「迷宮最終戦その後」

「おい! テヘじゃないわい! 大変じゃ、迷宮(ダンジョン)が崩れるのじゃ!!」


 チエさんはそう叫んで玉座から立ち上がり、奥の部屋に走りこんだ。

 俺達はお互い顔を見合ってうなずいた。


「急いでチエさんを追いかけるわよ!」


 俺達はマユ姉ぇの掛け声で急いで走ってチエさんが駆け込んで入った部屋に飛び込んだ。


「急ぐのじゃ、急ぐのじゃ! この設定を変えて、ここを強化して、ここを治して、上層の要らん部屋を潰して軽くするのじゃ!」


 チエさんは、モニターとにらめっこしながらカタカタとスゴイ勢いでキーを叩く。


「こうじゃ! こうじゃ! こうじゃぁぁ!!」


 チエさんが吼えた後、迷宮(ダンジョン)全体に響いていた重低音と振動は消えた。


「ふー、助かったのじゃ」


 チエさんは大息をついて右手で額の汗を拭った。


「……。えっと、この部屋、スゴイね」


 ナナが俺にボソっと話す。


「うん、典型的なオタクの汚部屋(おへや)だよね」


 そこはゴミがいっぱい詰まったコンビニ袋、空のペットボトル、お菓子の空袋、空の弁当箱など等と雑誌、コミック等が8畳程の床いっぱいに広がり、棚や机の上にはアニメキャラフィギュアが多数並んでいる。

 もちろん脱ぎ散らかした服もそこいらに広がっている。


「ちえおねえちゃん、おへやきたないよ。おそうじしないの?」


 リタちゃんは、チエさんを覗き込んで話しかけた。


「うわぁ!」


 今まで集中して作業をしていたので、俺達が部屋に入ったのも気が付かずにいたチエさん、いきなりリタちゃんから話しかけられたのでびっくりした。


「おぉ、リタ殿か。もう迷宮(ダンジョン)は大丈夫じゃ、次からは注意するのじゃぞ。 ……って、何で(みんな)ワシの部屋におるのじゃ!?」


「だって、チエさん急いで部屋に入るのですもの。脱出口があると思いませんか?」


 マユ姉ぇの説明にチエさんは、


「それもそうか。すまんかったのぉ、一声かければ良かったのじゃ。……って、恥ずかしいからワシの部屋から出てはもらえんかのぉ」


 恥ずかしさから、モジモジするチエさん。


「いえ、この部屋見ちゃったらお掃除しないとですわ。ナナ、リタちゃん、やるわよ! カレンちゃん、シンミョウちゃんもお願いできる? コウちゃんはゴミ袋探してきてゴミ詰めるのと袋を運ぶのをお願いね」


 マユ姉ぇがいきなり仕切りだしたので狼狽するチエさん。


「ゴミ袋ならそこにある、って……?! マユコ殿、なんで掃除するのじゃ? ワシが汚したのじゃ、ワシが片付けるのがスジじゃろ?」


「じゃあ、チエさんも手伝って下さいね」


 有無を言わせぬ笑顔のマユ姉ぇの圧力に屈したチエさん、仕方なく掃除を手伝いだす。

 俺達はその様子を見て笑ってお掃除を行った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ふー、これでいいかしら」


 マユ姉ぇは汗をジャージの袖で拭う。

 幸い、俺達は汚れ仕事にもあう戦闘ジャージ着用、少々の掃除で汚れたくらいじゃ問題は無い。

 部屋の中はそれまでゴミで隠れていた床の絨毯も見えるようになった。

 部屋の隅や外に置いたゴミ袋は、たぶん2tトラック一杯分くらいかな?

 棚の上も整理され、雑誌やコミックも順番に整列され、フィギュアも埃を払われて綺麗になった。

 衣服も汚れ物は隣の部屋の洗濯機で洗濯中、綺麗なものはアイロン掛けして畳んでタンスへ。

 部屋の空気も大分循環されて匂いも問題ない。


「どうも、ありがとうなのじゃ。皆には世話になった。この礼は必ずするのじゃ」


 チエさんは床に座って俺達に頭を下げた。


「いえ、いいのよ。今日時間は十分あったし、お昼ご飯を食べる場所も欲しかったしね。ここで私達ご飯を食べても良いかしら?」


「おう、いいのじゃ。ワシも一緒に食べるのじゃ。じゃあ、机と椅子を出すのじゃ!」


 そう言って、チエさんは指を鳴らしてゴミ袋を片付けて部屋の中に机と椅子を出した。

 んん?


「あのー、チエさん、お聞きして良いですか?」


 俺は気が付いた事実を聞く。


「いいのじゃ、何か?」


「机とか出すときに、ゴミ一瞬で片付けましたよね。なら最初からゴミ屋敷になる前に、お力で片付ければ良かったのでは?」


「ああ! そうじゃ、なんで今まで気が付かんのじゃ!! ワシのばか――!」


 頭を抱え込むチエさん。

 おい、マジで気が付かなかったのかよ。

 チエさん、これで良く参謀なんてやっていたね。


「うふふ、可笑しいですわね。でもいいじゃないですか。例え悪魔でもそういう『人間味』ある方がお付き合いしやすいですわ」


 マユ姉ぇのフォローで気を取り直すチエさん。


「そうか。そう言ってもらえるとワシも嬉しいわい。(はよ)う一緒に食べようや、マユコ殿」


 ものすごく嬉しそうなチエさん。

 この悪魔、たぶん悪魔内でも浮いていたのだろう。

 だから今までずっと孤独だったから寂しかったのだろうね。

 それが解消されただろう今、ものすごく嬉しい表情をしていた。

 例え正体が悪魔だとしても、美幼女が幸せそうに皆と笑いあっているのは良いね。


「じゃあ、(みんな)手を洗ってご飯にしましょう。チエさんの疑問もお答えしますから、チエさんも私達の質問に答えて下さりますよね」


「もちろんじゃ、それより早う一緒に食べるのじゃ!」


「はいはい」


 苦笑いするしか無いマユ姉ぇ。

 俺達もクスクス笑いながら外のお手洗いにて手を洗った。


「じゃあ、皆さん。いただきます」


「いただきます!」

「いただくのじゃぁぁ!」


 一番大きな声で返事をするチエさん。

 独りじゃない食事が嬉しいんだね。

 それからの食事時間で仕入れた情報は、もの凄く興味深いものだった。

ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。


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