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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第一章 功刀康太はダンジョン攻略をする
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第65話 康太は迷宮探索をする:その18「戦闘前の打ち合わせ」

 ドヤ顔で自慢のロボット「むせるクン1号」を自慢する幼女悪魔、「チエ」。

 そのあまりにものマイペースに引きずられている俺達。


「で、勝負はするんじゃよな? 勝っても負けても、これでこの迷宮(ダンジョン)探索は終わりじゃ」


 そして幼女はにっこりと笑い話す。


「明日は安心してゆっくりとマサアキ殿と家族旅行をするがいいのじゃ」


 この幼女、とことん俺達の事情を知り尽くしている。

 油断はならないけど悪意が全く感じられないから、どう対処していいのか正直困る。


「質問良いですか?」


 俺は少し聞きたいことがあったので幼女に聞いた。


「どうぞ、コウタ殿」


「まず、戦う前に俺達は作戦会議をして良いですか?」


 幼女はすかさず答える。


「コウタ殿、もちろんかまわないのじゃ。また面白い作戦を見せてくれるのを楽しみにしてるのじゃ!」


 にっこりと笑う幼女、コイツ本気で楽しんでやがる。


「次に、迷宮(ダンジョン)を作ったのは俺達をおびき寄せる為だったのですか?」


 幼女は、少し恥ずかしそうにモジモジしながら答える。


「そうじゃ。だってそうでもないとマユコ殿達と平和的に接触出来なんだのじゃ。いきなり魔神将(アークデーモン)と言って現れたらワシを攻撃するじゃろ。そんな不幸な初対面(ファーストコンタクト)はイヤなのじゃ」


 被害をたっぷり受けた尼僧2人にとっては平和的だったとは言えないと思うぞ。

 しかし、そういう事ならナナも言っていたけど、もしかして?


「もしかしてチエさんは、俺達と一緒に遊びたかったのですか?」


 幼女は顔を真っ赤にして大声で叫ぶ。


「そうじゃ、それの何処(どこ)が悪いんじゃ!」


 ありゃ、これが本心ならば可愛い事だ。


「もー、このくらいにしてくれんか。ワシ恥ずかしくてたまらんわい。終わったらいくらでも答えてやるから、(はよ)う戦う準備をするのじゃ!」


 真っ赤な顔をしたまま、俺達から目を逸らし照れ隠しに少し怒ってみる幼女悪魔。

 その猫の目のように変わる表情と愛らしさ。

 なんか、俺の中で悪魔のイメージがまるっきり変わりそう。


「ごめんなさいね、チエさん。あまりにもご都合的な事が多かったし、貴方が悪魔だという事からかなり警戒してたの。でも話してみて分かったわ。じゃあここからは真面目に勝負しましょ!」


 マユ姉ぇはさっきまでの真剣な表情を崩して、幼女に笑いかけた。

 今の俺との問答で見えた幼女の「素」の姿と、これまでの事で少し警戒を解いたようだ。

 さっきの様相を幼女が計算で出来るなら怖いけど、ここまで来てそれはあるまい。


「じゃあ、作戦会議するので、出来ればチエさんはどこかに行って聞かないでくれると助かるのだけれども」


 マユ姉ぇの提案に幼女悪魔は、


「そうじゃな、じゃあ準備が終わったら呼んでくれ。それまでワシは後片付けの準備でもするのじゃ」


 そう言って幼女は玉座の奥にある壁に空いた扉を開いて入っていった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ねえ、コウ兄ぃ! あのチエって子、面白いね!」


 ナナは幼女悪魔を怖がるどころか友達感覚で見ている。


「こうにいちゃん、わたし、あのこ、きらいになれないの」


 リタちゃんにとって親の仇の同類なんだけど、ああ愛らしくされたら恨むに恨めないよね。


「私は、彼女に酷い目に合わされましたから皆様とは感じ方も違うとは思いますが、あの表情や話していることが事実なら憎めないですね」


 カレンさんもあの「何処が悪い」って言葉を信じたのだろう。


「そうですねぇ、私もさっきまで彼女に文句言ってやろうと思っていましたが、もうすっかりその気無くしちゃいましたぁ」


 シンミョウさんがそうなるのも分かる。

 あの姿を見ちゃうと毒気抜かれるよね。


「まあ、彼女本人については後にしましょ。多分(みんな)が思っているような子だから」


 マユ姉ぇも苦笑いしながら話す。

 まー、良いよね。

 血で血を争う戦いなんてやりたくない。

 今回みたいに純粋に強さを競う戦いなら、俺大歓迎だよ。


「で、何か良い策を思いつかない? せっかくだもの、チエさんをびっくりさせたいし」


 マユ姉ぇの提案を聞いて、俺は「むせるクン1号」をじっくり見る。

 アレがオリジナル通りなら、この床ならローラーダッシュで高速移動するよね。

 石畳の上、車輪、高速移動、……、何かあったよね。

 ・

 ・

 !!


「アレだ!」


 俺が大声を出したので(みんな)びっくりした。


「コウちゃん、何か思いついたの?」


 マユ姉ぇが聞いてくるので、俺は説明した。


「うん、第二次大戦中の話なんだけど、石畳の上で……」


「まあ、それは面白いわ」


 マユ姉ぇは口の前に手をかざし「あら、まー奥様!」ポーズをした。

 あれ、女性って案外するポーズなんだよね。


「で、出来ればカレンさんには事前準備でアレやって欲しいんだ。チエさんもカレンさんのアレは警戒しているから見せ技兼目くらましでやってもらえると助かるんだ」


「了解です。ぜひともあの悪魔を仰天させてやりましょう」


 カレンさんはノリノリだ。

 酷い目に合わしてくれたチエさんに「仕返し」出来るのも嬉しいからね。


「シンミョウさんには仕掛けを確保、隠してもらいたいんだ。仕掛けの散布はナナの小物(ビット)サン達にお願いできる?」


「了解ですぅ」


「うん、コウ兄ぃ。任せといてよ!」


 二人もやる気満々だ。


「トドメはリタちゃんがお願い。足止めするから、出来ればあのロボットを真っ二つとかバラバラにやって欲しいんだけど」


「うん、おにいちゃん。わたし、やるね!」


 よし、これで役割分担はOKかな。


「コウちゃん、私の仕事は何かなぁ?」


 忘れられているのを冗談半分で恨めしそうに言うマユ姉ぇ。

 しまった、マユ姉ぇに役割を言うの忘れてたよ。


「ごめん、先に伝えた気になっていたよ。マユ姉ぇは俺と一緒になってロボットと直接相手するのをお願い。結構危ないと思うけど」


「分かったわ。コウちゃんこそ気をつけてね。チエさんはこっちを害する気はなさそうだけども、間違ってロボットに轢かれるかも知れないから」


 俺はマユ姉ぇを心配したけれども、逆に心配されちゃいました。

 でもね、マユ姉ぇやナナ、リタちゃんの笑顔の為なら俺、がんばれるぞ!


「うん、気をつけるよ」


 さあ、いよいよ最後の勝負開始だ!!


ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。


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