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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第一章 功刀康太はダンジョン攻略をする
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第49話 康太は迷宮探索をする:その3「時間との勝負」

 カレンさんは俺達にダンジョンの状況を話した。


「もうすでに皆様ご存知の通り、迷宮(ダンジョン)攻略が行われていますが未だ第一層の攻略すら出来ていません。今私ともう一人の尼僧で攻略を行っていますが、2人ではどうやっても戦力不足で第一層フロアーマスターの部屋に入るのがやっとの状況です。他の退魔組織の方にも当たってはいるのですが前衛を出来そうな該当者がおらず、このままでは時間切れになりそうなのです」


 カレンさん、俺達というかマユ姉ぇと娘たちに頼みたいのだろうけれど、無理を言っているのが分かっているから心苦しそう。

 その苦渋の表情から組織との板ばさみ状態なのが分かる。


「お姉様や娘さん達を巻き込むのは非常に心苦しいのですが、このまま遺跡が開放でもされるなら御山はおろか近隣の町がモンスターに蹂躙(じゅうりん)されてしまいます。是非(ぜひ)ともお姉さまのお力をお貸し願いたい」


 そうカレンさんは話すと土下座までしだした。


「カレンちゃん、話は分かったから土下座はやめてよ。そんな事しなくても私はお手伝いするつもりだったんだから」


 マユ姉ぇの快諾(かいだく)の答えにカレンさんは急いで顔を上げて感謝の言葉を言う。


「お姉様、どうもありがとうございます。娘さん達の事は聞かなかった事にして下さい。こんな可愛い女の子達を戦いに巻き込む方が悪いんですから」


 カレンさんの話を受けてマユ姉ぇ、


「で、二人ともどうする? カレンお姉さんはこう言っているけど」


「ボクは行っても良いよ、お母さんや他の人の役に立ちたいし。それにまた新しい技覚えたから使いたいしね」


「おかあさん、わたしもおねえちゃんといっしょにいきたいの。わたし、もっとつよくなって、ほんとうのおとうさまのかたき、うちたいし」


 二人の妹がどんどん強くなってきて俺の後ろから出て行こうとする。

 しかし、今回役に立てそうも無い俺は悲しい。


「コウちゃん、そこでしょんぼりしないの。私のカンだとコウちゃんの出番あるわよ。だから一緒に来てくれる?」


 マユ姉ぇのその言葉は、俺が欲しかったもの。

 ああ、ゼッタイ(みんな)を守ってやるさ。


「もちろん、行くよ! 俺は3人を守護する(タンク)だからね」


 こうして今年のゴールデンウィークは家族揃ってのダンジョン攻略となった。

 なお、正明さんは病院の当番が当たったので仕方なくお留守番。

 あまりに可哀想なので、ゴールデンウィーク最終日はダンジョン攻略を休んで正明さんとも一緒に和歌山観光をする予定だ。

 正明さんとの遊ぶ予定を守るべく、俺はモンスター共にはゼッタイ3人に指一本触れさせないぞ!


  ◆ ◇ ◆ ◇


 俺達は飛行機や電車を乗り継いで高野山へ向かった。

 リタちゃんにとっては初めての遠出、何を見ても初めてのものばかりなのでとても楽しそう。

 俺も空からの富士山は見たことが無かったので十分堪能できた。

 あと、ナナが電車に興味があったのが意外だった。

 本人曰く、


「ラピードのあの面構えが武骨で良いの。JR東のE系もスマートで良いんだけど。西の500系は関東にはもう来ないから残念」


 俺はそう「鉄分」高い方ではないけれども、E5系とかは配色も綺麗だし実に良いデザイン。

 500系もあの早そうな外見は良いね。


「ボク、アニメでもカッコいいからE系大好き!」


 あら、ナナ。

 妙に鉄道に詳しいと思ったら、ソッチ方面なのね。

 「新幹線(シンカリオン)」のは結構好評だもんね。


「はなのながいでんしゃ、かっこいい。わたしのくにでも、でんしゃつくりたいの」


 リタちゃんもやりたい事が増えて良かったね。

 文明の進化度から考えてリタちゃんの(ところ)なら蒸気機関車からかな?

 それで産業革命が起こるのはいいけれど、環境破壊を極力しないように注意しないといけないな。


 なお、旅費食費宿泊費は全て御山持ち。

 それと、それなりの成功報酬を出してくれるんだそうな。

 俺的にはロハで旅できるだけで十分嬉しいけどね。

 ちなみに長期に家庭教師を休むからカオリちゃん、ケイコちゃんに事情を話したら、お土産を要求されました。

 それが「みんな無事で帰ってくる事」というのがとても泣かせてくれます。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 御山に到着した俺達だが、まず御山「裏」の建物に案内された。

 それは高野山奥ノ院より少し離れたところにある一見普通の事務所に見える建物だが、周囲は多重防御結界に守られており流石(さすが)日本の呪法の総本山だと分かる。

 俺達はそこの会議室で「裏」の担当僧、そして二人の尼僧と会った。

 担当僧は五十路くらいの男性、紫色の袈裟(けさ)をまとっているので、かなりの高僧だと思う。

 黒い僧衣をまとった尼僧は、この間会ったカレンさんともう一人、若干地味目のメガネっ子、文学少女風でおそらくまだ未成年だろう。


「この度は皆様にわざわざご苦労願いまして、誠に申し訳ありません。拙僧(せっそう)は『裏』の現場総括を致しております、(ごんの)中僧正(ちゅうそうじょう)玄覚(げんかく)と申します」


 俺はそこまで真言宗の僧侶について詳しくは無かったので後から調べたのだけれども、権中僧正とは、僧侶の階級(僧階)の中で上から4番目、4級に当たるところで、かなり高位の方だと思われる。

 玄覚和尚(わじょう)、表情は柔和だけれども、おそらく幾度もの修羅場に対しているだろう自信みたいなものを感じる。

 なお、これも後から聞いたのだけれども、カレンさんは9級の中僧都(ちゅうそうごう)、現在高野山大学の4年目だそうで無事大学を卒業したら、(ごんの)大僧都(だいそうごう)になるんだそうな。


「こちら、華蓮尼(かれんに)とはすでに面会済みですよね。もう一人の彼女は、真妙(しんみょう)といいます」


少僧都(しょうそうごう)の真妙と申します。宜しくお願い致しますぅ」


 シンミョウさん、小声で話すのでやや聞きづらいけど、本人の雰囲気通りで可愛い。

 本名、武村 真紀(たけむら まき)、歳は今年19歳、カレンさんと同じく実家がお寺、高校卒業後に「力」を認められて「御山」入りしたんだとか。

 身長はナナとそう大きく変わらないんだけれども、お胸のサイズがカオリちゃん級。

 昔でいう「トランジスタグラマー」、僧衣から溢れる「水密桃」の存在がスゴイ。

 彼女、真っ黒なお下げ髪に丸メガネと合わせて「文学少女」のまま大きくなった感じ。

 一見地味目な雰囲気だけれども、それは人見知りが激しいからか本人が少しビクビクしているから。

 顔だちも十分可愛い方だと俺は思うから、もっと堂々としていたら良いのにね。


 なお、いつもどおりリタちゃんの嫉妬が怖いから思考ブロック及び視線をそらしている俺。

 最近、俺は思考を読まれにくいようにブロック法を覚えました。

 だって、身内のツッコミが一番怖いんだもん(笑)。


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皆様、宜しくお願い致します。

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