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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第二部 第一章 功刀康太はダンジョン攻略をする
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第48話 康太は迷宮探索をする:その2「御山から来た尼僧」

 書留が来てから数日後、マユ姉ぇの(ところ)に高野山から一人の女性が訪れた。

 ちょうど俺やナナ達も居る時間帯での訪問だったので、俺達も彼女の話を聞いた。

 彼女は170cmを超える長身で陸上選手を思わせる如何(いか)にも鍛えていますという感じ、スタイルもなかなかで胸もさるものながら腰から下のラインがとても綺麗だ。

 黒髪の短髪で容姿はクールビューティ系、年恰好はたぶん俺と同じくらいに感じた。

 なお、服装は尼僧の恰好ではなく、スポーティなんだけれども彼女に良く似合ったパンツスタイルだ。



「私は、御山の『裏』より派遣されました華蓮尼(かれんに)と申します。真由子お姉様、ご無沙汰いたしております」


 そう言って尼僧、カレンさんは挨拶をした。

 マユ姉ぇは一瞬誰なのか思い浮かばなかったようだけれども、すぐに分かったのか明るい表情になって話した。


「もしかして、スミレちゃんなの?」


「はい、そうです。今は得度(とくど)(出家して僧になる儀式)を得て、華蓮尼を名乗らさせて頂いています」


 カレンさん、本名 綾辻(あやつじ)すみれサンは、今年22歳。

 実家が真言宗のお寺で幼少期より「力」があったことから、父親に連れられて「御山」に修行に行っていたそうだ。

 そこで、同じく修行中のマユ姉ぇと出会い、マユ姉ぇは甥の俺と同年代だった彼女をずいぶん可愛がってあげたとの事。


「あの頃はスミレちゃん、まだ幼稚園くらいだったわよね。大きく綺麗になったから一瞬誰か分からなかったわ。私もオバサンになる訳ね」


 マユ姉ぇの「オバサン」発言に、俺は恐怖を感じる。

 だって、自分と同年代以上から「オバサン」って言われた時のマユ姉ぇの殺気は、マジで殺人級なのだから。


「真由子お姉様は、あの頃とお変わりなくお綺麗なままですよ。私の記憶の中のお姉様そのままですから」


「いやよスミレちゃん、今はカレンちゃんだったわよね。 オバサンをからかわないでよね」


 だからマユ姉ぇ、自虐的に「オバサン」言うの怖いからやめてよぉ。


「だって、お姉様が綺麗なのは本当の事ですから。そういえば他の方たちの紹介がまだでしたね。お姉様お願いできますか?」


「ごめんなさいね、懐かしい顔にあってすっかり舞い上がってしまっていたわ」


 そしてマユ姉ぇは俺からカレンさんに紹介をした。


「この子が甥の功刀康太(くぬぎこうた)君、今は大学院2年生でカレンちゃんよりは2つ年上かな」


「康太と申します。宜しくお願い致します」


 俺はカレンさんに挨拶をする。


「じゃあ、彼があの摩利支天(まりしてん)三鈷杵(さんこしょ)の継承者なのですか?」


「ええ、今ではすっかり使いこなしているわ」


 どうやらマユ姉ぇは俺達の事を御山に報告済みらしい。

 しかしあの三鈷杵、御山にも知られるくらい由来のあるものなんだ。

 後に詳細をマユ姉ぇに聞くと、あの「光の剣」とか「盾」は摩利支天のお力、太陽光を模したものなんだそうな。


「それは素晴らしいですね。一度お手合わせ願いたいものです」


「はい、喜んで」


 と、俺が美人から褒められて鼻の下を伸ばしつつあるのを気が付いたリタちゃんが、


「こうにいちゃん、またおんなのひとにくっつこうとしていてるよ」


 と、突っ込んでくれる。

 う、毎度の事ながら妹達の嫉妬は可愛いが怖いね。


「ごめんなさい、真面目にします」


 俺が謝るのを聞いたリタちゃん、


「それでいいの」


 と、俺の腕を抱いて離さない。

 なお、俺の両隣はナナとリタちゃん、向かいにマユ姉ぇとカレンさんが並んでおり、明らかに二人は俺を逃さない形になっている。


「あらあら、可愛い事で。真由子お姉様、この子が例の異世界人なのですね」


 俺をがっちり抱いて離さないリタちゃんを、カレンさんは笑って見てくれる。


「ええ、どうも本当は異世界人じゃなくて異星人だったみたいだけれど。この子がリタちゃん。今は私の娘ね」


「リタちゃん、初めまして。私は尼さんですから結婚とかはあまり考えていません。だから貴方からお兄ちゃんを取ることは無いですから安心してくださいね」


 そう話すカレンさんを見てリタちゃんは、


「ぜったいだよ、かれんおねえちゃん」


 と、いつもの笑顔で言うものだから、カレンさん見事に撃墜。


「あー、なんて可愛らしいの。流石(さすが)はエルフ、もーたまんない」


 と、いきなりリタちゃんに抱き付いた。


「かれんおねえちゃん、くるしぃぃ」


「あ、ごめんなさい。あまりに可愛すぎたので、つい本気で抱き付いちゃったわ」


 実戦部隊所属のカレンさん、力が強いだろうから本気で抱かれたら大変かも。


「それで、この子が私の長女のナナよ」


「はじめまして、岡本 奈々(おかもと なな)です。母が昔お世話になったようで」


「あら、ナナ。今日は行儀良くご挨拶できたのね」


「もう中学二年生だし、リタちゃんの姉ですもの。ちゃんと出来て当たり前です!」


 マユ姉ぇに茶化されるも案外しっかりと受け答え出来ているナナ、どんどん大人になっていくんだね。


「ナナちゃん、こちらこそお姉様、いやお母さんには昔とてもお世話になりました。そういえばナナちゃんは九十九神(つくもがみ)使いで凄いって聞いたのだけれど、どうなの?」


「私なんてマダマダですよ。今のところ7柱を扱うのがやっとですから」


 そう言いつつ、そこいらで小物(ビット)を飛ばしてアピールしているのが実にナナらしい。


「あら、この飛んでいるのがそうなのね。凄いわ、私がナナちゃんと同い年の頃はここまで力が無かったのに」


「うんうん、ボク偉いでしょ」


 結局いつもの調子でドヤ顔してアピールしちゃうナナ。

 前言撤回、やっぱりナナはまだまだ子供だね。

 そこで謙遜しきれずに自慢しちゃうのが可愛いや。


「あら、ナナちゃんボクっ()なのね。あーん、可愛い!」


 ナナもリタちゃんと同じくカレンさんに強烈なハグ喰らって「むぎゅー」っとなっていた。


「またまたごめんなさいね。二人ともとっても可愛いんですもの。しかし二人とも凄い能力持ちだから戦力として期待できそうね」


 あら、カレンさん、ナナ達を冒険者パーティに入れたいんだ。


「それは、例の迷宮(ダンジョン)攻略の件なの?」


「はい、お姉様。遺跡が発見されて既に二週間、そろそろ第二層の扉が開放されそうなので、御山は焦っています。申しわけありませんが是非ともお姉様と娘さんのお力をお借りしたいのです」


ブックマーク、感想、評価を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。

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