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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第一部 第五章 功刀康太は悪魔退治をする
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第44話 康太は遺跡発掘を手伝う:その13「戦闘終結」

 ナイトが音速でマユ姉ぇに突っ込んだのを見た俺達は叫んだ。


「マユ姉ぇ!!」

「お母さん!」


 激しい激突音が発生して、マユ姉ぇが立っていた場所は土煙に覆われていた。

 アレを喰らったら流石(さすが)のマユ姉ぇでも無事じゃすまない。

 俺が恐怖と悲しみ、怒りにとらわれ「トリガー」を引こうとした瞬間、人影が煙の中から現れた。


「大丈夫よ、(みんな)


 煙の中からいつもの笑顔をしながらマユ姉ぇが現れた。

 ふー、良かった。

 じゃあ、ナイトはどうなったのかというと、マユ姉ぇから大分離れたところの土煙の中にいた。

 ナイトは前脚を折ったらしく、再生しながら転げた様子から立ち上がろうとしていた。

 あれ? 転んで自爆したのかな?


「おい、オンナ何をした」


「えー、戦っている敵にネタばらしする人はいないわよ。そういえばナイト君は全部しゃべっちゃったわね。バカかしら」


 普段のマユ姉ぇらしからぬ挑発である。

 オバサン発言が余程(しゃく)(さわ)っているらしい。


「バカにしやがって、このアマァ死ねぇ!」


 ナイトは再びマユ姉ぇに突っ込んでいく。


「はい、オバカさん」


 そうマユ姉ぇが言ったのは聞こえたが、そこから先は衝撃音に邪魔されて聞き取れなかった。


「マユ姉ぇ!」


「はいはい、そう毎回叫ばなくても大丈夫よ、コウちゃん」


 そう言うマユ姉ぇは、今回も平気な顔で立っている。

 ナイトは再び転げ周り、自損事故で手足がボロボロになっていた。

 また、ナイトの衝撃波にレッサーが数匹巻き込まれて消滅し、これでレッサーも全滅した。

 そういえば、人質はどうなっているかと見ると、全員すでに警察の方々に回収されていた。


「坊主、もう人質はいないから手加減無しにやってしまえ!」


「ありがとうございます」


 俺は、機動隊のおじ様に礼を言った。

 そういえばマユ姉ぇの立ち位置は、ナイトの突撃から俺達や倒れている人質の人たちを巻き込まないように、かつレッサーデーモンを巻き込むように動いていた。

 流石だねぇ、俺も見習わないと。


「もうザコも居ないし、真面目にお相手してあげようかしら?」


「くそぉ、こうなったらこの一帯吹き飛ばしてやる」


 ナイトは両手を上に掲げ、闇を頭上に集めだした。

 あの「元気っぽい玉」は不味そう。


「コウちゃん、先生、ナイトに直接攻撃! ナナも支援攻撃、リタちゃんは10個大玉準備!」


「おう!」

「うん」


 俺達はマユ姉ぇの言う通りにナイトに攻撃を仕掛けた。

 ナイトは先ほどの自爆ダメージで動きが鈍く、その上広域破壊呪文の詠唱中とあって攻撃を避けられない。


 俺は、ナイトの正面から平突き2連打と袈裟切りを仕掛ける。

 教授は、ナイトの斜め後方より居合いからの左切り上げ、唐竹、右薙ぎの3連撃。

 ナナは小物(ビット)達の攻撃をナイトの手元に集中させ、術の邪魔をする。


「くそぉ、術さえ発動すればお前らなんか……」


 ナイトが悪態をつくのを聞いたマユ姉ぇ、


「貴方の敗因は、バカだったからね」


 少し後方に下がりながら、そう言ったマユ姉ぇは新たな呪をナイトに仕掛ける。

 マユ姉ぇは九字を切り、内縛印を結び呪を唱える。


「ナウマク サマンダ バザラダン カン!」


 続いて剣印を結び唱える「オン キリキリ」

 刀印を結んで再び唱える「オン キリキリ」


 更に転法輪印・外五鈷印・諸天救勅印を結びながら呪を唱える。

 最後に外縛印を結びながらシメの呪を唱える。


「ナウマク サマンダ バザラダン センダ マカロシャダ ソワタヤ ウン タラタ カン マン! 不動金縛りの法!」


 この呪は悪霊や人間を金縛りにしてそこから一歩も動けなくしてしまうもの。

 呪の効果中はマユ姉ぇも動けない代わりに対象者は全く身動きが出来なくなる。

 マユ姉ぇの前にはナナのタイル小物(シールドビット)サンと機動隊の肉の盾がさっと行き、防御も完璧だ。


「さあ、これでもうお終いだ。すまないね、時世の句も言わせてやらなくて」


 そう言って俺は破壊呪文を維持できなくなっていたナイトを睨みつけてから、出来る限りの速度で連撃を叩き込んだ。

 教授も一緒になって何連撃か叩き込んでいるうちに、ナイトの再生能力も落ち、確実にダメージが通るようになっていった。


「ふー、このくらいでトドメにしますか」


 俺はリタちゃんの方を見て話す。


「お兄ちゃん達が離れたら撃っていいよ」


「うん!」


 悔しそうに睨み上げる事しか出来ないナイトを見て、


「地獄からもう出てくるな!」


 そう言い切って俺と教授はナイトから離れた。


「では、リタちゃん。どうぞ」


「ありがとう、おにいちゃん。おとうさまのかたき!」


 そうリタちゃんが叫びながら大玉をナイトに叩き付けた。

 それは最大火力の10個大玉。

 案外ゆっくりとナイトに迫る玉が着弾する前に俺は皆に叫ぶ。


「皆、耐爆姿勢とって。目と耳塞いで、口開けて」


 5個でクレーターが出来る弾だ。

 10個ならいくら爆縮タイプとはいえ威力は洒落にならない。

 鼓膜と肺の保護をしないと大変な事になりかねない。

 俺は剣を解除して盾を最大の大きさで展開し、対爆姿勢をとる。

 耳を塞ぐのは鼓膜保護なのは分かるだろうけれど、口を開けるのは衝撃波の逃げ場所を作る事で、鼓膜や肺を保護するためだ。


 ナイトは叫びたくても叫べない中、俺達が出来る最大火力をその身に浴びた。


 ずどぉぉぉぉーん。


 着弾後、あまりの威力に地面は揺れ、周囲の空気は振るい、俺達に真昼よりも明るい閃光と熱風を伴った激しい衝撃波を伝えた爆発は、小規模ながらキノコ雲まで発生した。


 煙が去った後、着弾点は地面が高熱で溶けた緑色のガラス化した半径5m程度のクレーターとなっていて、着弾点では核攻撃に匹敵する威力があったことを思わせた。

 ちなみにアメリカの砂漠にある核実験場では過去地上核実験が行われた後、砂が溶けて放射能を持つ緑色のガラスじみた石、トリニタイトが出来ていたそうな。

 リタちゃん、あの「魔砲少女」に匹敵する火力を得たんだ。

 リタちゃんが味方でホント良かったよ。


 着弾地の中心には、ナイトの残渣らしき針金人形じみた存在がしばらく揺らいでいたが、そのうちチリになって消滅した。


「まだ生きているなんて無いよね」


 間違っても「やったか!」なんて言わない。

 アレは逆フラグだから。


「大丈夫よ、金縛り対象が居なくなったから完全に消滅したわよ」


 マユ姉ぇの宣言で俺達はアークデーモン相手に勝利した事を確信した。


「ぃやったー!!」

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