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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第一部 第五章 功刀康太は悪魔退治をする
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第41話 康太は遺跡発掘を手伝う:その10「強襲」

 俺達は警察車両で内藤宅で向かった。

 俺達の立場は、事件関係者という事で内藤和也の事情聴取に協力という形である。

 しかし、とても警察の布陣は事情聴取の為の任意同行をお願いしに行くものではない。

 機動隊や県警のSATまで連れて行くのは異常だ。

 俺は疑問に思い、同行している中村警視に聞いた。

 ちなみに俺達が乗っているのは機動隊員用のバス。


「中村さん、どうやってSATとかまで引きずり出したのですか? 普通、未成年者の逮捕でここまでやらないでしょ」


「被疑者は大量の兵器を隠し持っていて、私兵も抱えているという通報がありまして」


「はい、『そういう事』にするんですね。まあ、デーモンを沢山飼っているからまんざら間違いじゃないですし」


 デーモン軍団と武装集団、どっちが怖いんだろうねぇ。


「後、中学校で意識不明になっていた学生さん達が病院を抜け出した様で、全員行方不明になっています。おそらく我々を待ち構えているのでしょう」


「そうでしたか。しかしデーモンが出たらどうするんですか? 火器ではそう効果無いですよ。それに人間撃つのもダメでしょ」


「そうなの、だから私も困っているのよ。なので、警察の方は後方支援でお願いね。私達が矢面に立つから。一応助っ人も呼んでいるし」


 マユ姉ぇ、助っ人とは誰を呼んだんだろう?


「誰が助けに来てくれるの? 秋山のおじいちゃんとか?」


「お父さんはもう御歳だから流石にムリね。10年前だったらお願いしていたわ。そこで、今回お願いしたのは、吉井先生なの」


「えー、教授なの! そういえば教授は剣術を使うと聞いたけど」


「そうよ、昔私と一緒になって妖怪退治とかもやった事があるし」

 

 教授、実はインディ・ジョーンズだったのね。

 そういえば妙に遊び心ある人だし。


「坊主、安心しなよ。お嬢ちゃん達は俺達が肉の盾で守ってやるから」


 そう言ってくれたのが、同じ車内にいる機動隊のおじ様。


「ありがとうございます。もしかして今から戦う相手が何かご存知なんですか?」


「人間じゃないのは知ってるぞ。真由子お嬢にはいつもお世話になっているし、何回もご一緒に戦わさせてもらっているんだ」


「そうなの、中村君経由で警察で武道講義をした事があるし、何回か一緒に妖怪退治した事もあるの」


 マユ姉ぇ、どこまで手を広げているんですか?


「マユ姉ぇ、俺が知らないところでどこまで暗躍しているんですか?」


「えー、暗躍って人聞き悪いわよ。人助けしかやっていないんですけどぉ」


「そうだぞ、坊主。この人は俺達にとっては女神だからな」


「殺気で警察署を壊滅させる女性が女神なんですか?」


 つい思わず言っちゃった俺はすぐにマユ姉ぇを見る。


「コウちゃん、明日の修行は覚悟しておいてね」


 あう、目が笑っていないマユ姉ぇの笑顔、怖い。


「お母さん、あんまりコウ兄ぃ、いぢめないであげてね」


 ナナ、どうもありがとう。


「うん、こうにいちゃん、あんまりつよくないから、いじめちゃだめ」


 リタちゃん、それフォローになっていませんから。

 そりゃ、この面子ではリタちゃんが一番火力あるのは確かなんだけれども。


「坊主、女難の相が見えるのは気のせいか」


「いえ、気のせいじゃない思いますよ、ハイ」


 こうやって俺達はこれから悪魔の居る家に強襲をかけるとは思えない雰囲気のまま、現場へ向かった。



  ◆ ◇ ◆ ◇ 



 内藤広重の家は地元の名士ともあって如何にもな豪邸。

 駐車場も広く、玄関にはカメラもあり警備会社のシールも貼ってある。


「教授、すいません。マユ姉ぇが無茶を申しまして」


 俺は先に現場入りしていた吉井教授に謝る。


「いえ、大丈夫ですよ。ナナちゃんを襲う不届き者は切り捨てごめんですからね」


 そう言って剣道着に身を包み、二本指しした刀を見せる教授。

 この人、比較的良識派に見えていたんだけど、どうやら違うっぽい。


「大丈夫、人間だったら手足の骨の一本で許してあげますから」


 そう言って笑っている教授も怖い。

 俺の周囲の人物、実はマトモな人、正明さんくらいしか居ないんじゃないかと思えてきたぞ。

 うん、今度正明さんが帰ってきたら相談しよう。


「あら、先生。フル装備なんですね」


「ええ、今宵の虎徹(こてつ)はすごくご機嫌ですよ。久方ぶりの出番ですから」


 虎徹といえば、江戸時代前期作の名刀で重要文化財にもなるモノ、そして近藤勇が使っていたという噂もある刀。

 ただ、近藤勇のものはおそらく偽物だったらしく、有名なだけに他にも偽物が非常に多い。


「教授、まさかホンモノですか、その虎徹?」


「いえ、実はニセモノなんですよ。ですが、切れ味も良いし、対魔能力も何故かあるので使い勝手が良いんですよ。コレ、真由子君が探してきてくれた一品なんです」


「おい、坊主。そろそろカチコミかけるぞ。準備しておけよ」


 さっきの機動隊員さんが突撃準備が出来た事を知らせてくれた。


「ありがとうございます。俺が出来るだけ悪魔を引き付けますから、後ろの妹達を守ってくださいね」


「おう、まかせておけ。坊主、お前が一番矢面に立つんだ、気をつけろよ。それとな、これ終わったら一度お前の動き見てやるから、絶対死ぬんじゃないぞ」


「はい、宜しくお願いします」


 さあ、これからが本番だ!


「夜分、遅くすいません。県警の中村と申します。内藤和也さんにお聞きしたい事がありましてお伺いしました。お取次ぎして頂けますか?」

ブックマーク、感想、評価を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。

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