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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝

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第271話 康太の魔神退治:その62「えぴろーぐ」

「みんなぁ! おとーさん、ただいまぁ!」


 リタちゃんが正明さんに飛びついた。


「リタちゃん、お帰りなさい。良く頑張ったね」


 リタちゃんの周囲にはナナ、マユ姉ぇ、爺ちゃん婆ちゃんの他、ルナちゃん達中学生組も集まる。


「姫様に対して不敬であるのじゃ!」」


 それを複雑そうに眺めて文句を言うルーペットさん。


「姫様がいらっしゃるところが、ワタクシの居場所です。今度こそ最後までご一緒しますぞ!」


 との事で、ルーペットさん地球のマユ姉ぇ宅まで一緒に来たわけだ。


 途中、立ち寄った南極遺跡で「(いにしえ)のもの」ヒラムさんが触手でリタちゃんを可愛がるのを見て気絶しそうになっていたのは、しょうがないかな。


 あと、リタちゃんのお爺様、先王様は衰弱なされていたので、豊原医師が手配してくれていた救急車で大学病院へ送られている。

 豊原医師の見立てでは、年齢もあるけど、しばらくの静養で大丈夫だろうとの事だ。


「リタちゃん、聞いたよ。壁抜きするなんてすっごいね」


 ルナちゃん、CP(コマンドポスト)の防衛の為に出陣して怪我をしたそうだけど、見た感じは大丈夫そう。

 太ももを針状の弾で狙撃されたらしいけど、少しの出血ですんだらしい。

 毒とかもなかったから、豊原医師から簡単にだけど処置を受けたんだとか。


「ルナ殿、お疲れ様だったのじゃ! しかし、下級(レッサー)クラスとはいえ狙撃特化型の悪魔に良く勝てたのじゃ!」


 チエちゃんがルナちゃんを(ねぎら)う。


「チエちゃんが作ってくれた変身アイテムのおかげだよ。けど、あの変身呪文は無いと思うよぉ!」

「なんでじゃ? かわいいじゃろ? ぷ〇きゅあっぽくて良いと思ったのじゃが」


 半分冗談だろうけど、おかんむりのルナちゃん。

 後からルナちゃんから聞いたけど、蜘蛛少女へ変身呪文がこっぱずかしい掛け声だったそうな。


「次回用に考えておくから、それに変えておいてね」

「うむ、使う人間に合わせるのが一番じゃ。まあ、出番が無いほうが一番なのじゃがな」


 チエちゃんは、うむうむという感じでルナちゃんの意見を聞いている。


「でも、一番の殊勲賞は『ぐっちゃん』だよ。悪魔にトドメさしたのは、ぐっちゃんだし」


 ますます多芸になっている「ぐどら縫いぐるみ」の「ぐっちゃん」。

 巨大化&ビーム攻撃でバッタバッタと大暴れ、悪魔憑きの人達を無力化した上に狙撃型下位悪魔を撃破したそうだ。


「ぐるぅぅぅ!」


 今は、いつものサイズに戻ってカオリちゃんの豊満な胸に抱かれてゴキゲンそうに鳴いている。


「オヌシもお疲れ様じゃ! 褒美にコレやるのじゃ! カオリ殿、これをつけてやるのじゃ!」


 チエちゃんは、カオリちゃんにフエルトらしきもので出来た蝶ネクタイを渡していた。


「中に次元石を縫い込んであるのじゃ。これで更なる進化、パワーアップをするのじゃ!」

「チエちゃん、ありがとう。ぐっちゃん良かったわね」

「ぐぅぅるる!」


 微笑ましくて良い眺めだけど、ぐっちゃんって今でもかなり強いよね。

 更にパワーアップしてくれるとは、今後も期待だね。


「お兄ちゃん、マリも活躍したんだよ!」


 ショウタ君も嬉しそうに報告してくれる。

 ルナちゃん達が悪魔憑きと対決している間に、一部別動隊の下位悪魔がCPを襲ってきたそうだけど、マリちゃんが一人で殆どを倒したんだそうな。


「すごかったんだよ。悪魔を真っ二つだもん!」


 どうやら高魔力で編んだウォーターカッターでズンバラリンらしい。

 その後も狙撃から皆を守ってくれたそうだ。


「チエちゃんもマリを褒めてあげてよ」

「そうかそうか、偉かったのじゃ! ヨシヨシなのじゃ!」


 マリちゃん、えっへんという感じで可愛い。

 それをナデナデするチエちゃんも可愛いぞ。


「じゃあ、これで一見落着だね、チエちゃん、マユ姉ぇ」

「憑依された者達も浄化しておいたし、残るヤヤコシイ事は中村殿達におまかせじゃ!」

「そうね、無事誰も大きな怪我もぜず、戦術・戦略目的を完全に果たしたのだから、大勝利よね」


 恒星間強襲・人質奪還・敵首領及び裏ボス撃破。

 考えてみれば、すごい偉業をなしたんだ、俺達。


「アルフ星も、残った悪魔達は父上や『(ランス)』が相手をしておる。おそらく全員本星へ回収して、お説教じゃな。まあ、上位悪魔(グレーターデーモン)といえど創造主たる魔神将(アークデーモン)には、なかなか逆らえぬ。情状酌量して、後日別任務へ派遣じゃろうて」


 これでアルフ星を襲った悪魔による侵略は終わった。

 魔神王(デーモンロード)魔神女王(デーモンクイーン)も、当分は侵略の足を止めるそうだし、宇宙が平和になるならヨシ。

 「外なる神々(アウターゴッズ)」や「旧支配者(グレートオールドワン)」達と戦う為には悪魔(デーモン)族とも協力していく必要がある。

 今後とも仲良くしていきたいものだね。


「じゃあ、皆。この後はお風呂に行って、回るお寿司にでも行かない?」

「おー!」


 最高潮にゴキゲンな皆だった。


 なお、翌日大晦日から元旦。

 マユ姉ぇと婆ちゃんは、本人達含めて総勢15人の振袖着付けという別の意味で過酷な「戦場」を戦ったそうな。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「お兄ちゃん! 早く来てよぉ!」

「はやくはやくぅ!」

「コウタ殿、遅いのじゃ!」


 華やかな振袖に身を包んだ3姉妹(チエ・ナナ・リタ)

 彼女らに手を引かれて、近所の神社に向かう俺。


「もうしょうがないわね。着崩れないように走っちゃだめよ!」


 後ろからマユ姉ぇや他の仲間たちが温かい、いや生暖かい目で俺達を見ている。

 分身したチエちゃんがハイビジョンカメラで俺達を撮影しているのは、もはやお約束。


「そういえば、ナナ。昨日から急に俺の事を昔の呼び方に変えたんだね」

「あ、そうだね。なんかお兄ちゃんの事信じてたら、こうなっちゃったの。お兄ちゃん、いや?」

「俺はかまわないよ。そりゃ今後はカノジョになるだろうけど、これからもナナのお兄ちゃんなのは変わらないしね」


 多分、幼いころ俺がお兄ちゃんぶってナナを庇っていた時の事を思い出したんだろう。

 ナナは、俺のカノジョ発言で顔が真っ赤になる。


「じゃあ、女の子らしくボクって言うのもやめなきゃいけないよね」

「うーん、どうだろう。俺はナナがボクっていうの好きだけど。そういえばいつからかボクって言っているね、ナナ」


 確か幼稚園に入るくらいから、ナナは自分の事をボクって言っている気がする。


「理由言わなきゃだめ?」

「え、理由あったの?」


 それは初耳だ。


「ボクね、お兄ちゃんが僕って言っているの真似たの。最初は真似だったんだけど、そのままになっちゃったの」

「そうだったんだ。マユ姉ぇ、知ってた?」


 俺はちょっとびっくりした。

 確かに、俺は高校生くらいまで自分の事を「僕」って言っていた。

 それをナナが真似たとは。


「ええ、もちろん知っているわよ。だから今まで無理に変えるようには言わなかったの」


 普通、母親は娘が「ボク」って言うのを嫌うよね。

 でも、マユ姉ぇは、ナナを大事に思うから強制はしなかったんだ。


「おうおう、正月早々からノロケ話とは、コウタ殿もナナ殿も罪に置けんのじゃ!」

「おねーちゃん、おにーちゃん ひとりじめは だめぇ!」


 今年も、にぎやかな一年なのは確定だね。


 ちなみに、ルーペットさん。

 今日も付いてきていて、リタちゃんの晴れ着姿に感涙している。


「このお姿を王様やお妃さまにも御見せしたかったですぅ」


 もうリタちゃんのご両親には御見せできないけど、お爺様には昨日お見舞いに行ってちゃんとご挨拶出来た。

 リタちゃんの元気に成長した姿を見て、先王陛下は感動していた様だ。

 今日も初詣後に、病院へ立ち寄って晴れ着姿を見せてあげる予定だ。


「先輩、鼻の下伸びすぎですよぉ。いくらナナちゃん達が可愛いからって、ロリ疑惑が確実になっちゃいますよ!」


 コトミちゃんが、俺達を揶揄(からか)う。


「そういうコトミちゃんこそ、マサトとの関係はどうなの?」


 ロリ疑惑は嫌な俺は、コトミちゃんに反撃をしてみた。


「あれ? 先輩に言ってなかったでしたっけ? アタシ達お付き合いしているのって」

「そういえば、コウには話してなかったね。ごめんね」


 他の人の顔を見るに、大抵の人が既にご存じの様子。

 おいおい、また俺だけ蚊帳の外なの?

 俺、逆にショック受けたよ。

 そりゃ、このところの雰囲気で、多分そうなんだろうとは思っていたけど。


「とにかく、めでたいのじゃ!」


 腕を組みあうコトミちゃんとマサトの姿を、更に分身体増やしてハイビジョン撮影するチエちゃん。

 コトミちゃんもVサインで返すから、面白いや。


 なお、シックな着物を着たアヤメさんもタクト君にエスコートされていて、遠藤姉妹(カズミ・マヤ)に遊ばれている。

 言うまでもなく、こちらでもカメラマン(チエちゃん)は絶賛撮影中だ。


「おねーちゃん、たのしいね」

「そうね、アリサちゃん」


 幼女用の振袖で着飾ったアリサちゃんは、カオリちゃん達女の子+アヤメさん達お姉さん方に可愛がられて満面の笑み。

 金髪ヘイゼルアイの美幼女の着物姿は破壊力満点だね。

 ススムさんは、パシャパシャと急がしそうに写真撮影をしていた。

 その後からチエちゃんの分身体も撮影しているけど。


「貴方、来年の今頃は初詣かしら。(あんず)ちゃんもあんな風に可愛いと良いんだけど」

「マユの子だもの。可愛いに決まっているよ」


 マユ姉ぇは、まだ目立たないお腹を撫でながら正明さんと話す。

 俺もナナとこういう夫婦になるのかな?

 あれ、もうそんな事考えているよ、俺。


「お兄ちゃん、お母さん達みたいな夫婦になりたいね」


 そんな時、ヒマワリの笑みをしながら俺に話しかけてくるナナ。


「ナナも同じこと考えていたんだ」

「そうなんだ。じゃあ、もうボク達仲良し婚約者だね」


 この笑顔を守るのが、俺の一生の仕事。

 これからもナナや他の人達の笑顔を守るため、そしてナナを泣かさないように無茶はしない程度に頑張ろう!

 年始のお願いは、これで決まりだね。


「おにーちゃん、おねーちゃん。おそいよぉ!」


 先に行っていたリタちゃんが振り返って俺達を呼ぶ。


 さあ、明日に向かってGo!


とうとう、次回で最終回

これまでのご愛顧、どうもありがとうございました。


明日のグランドフィナーレは、ナナちゃん視点でお送り致します。


では、最終回もブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。


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