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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
270/272

第270話 康太の魔神退治:その61「最終決戦 その3! 決着!!」


 邪神に対して、大きな啖呵を切った俺は後ろから来る暖かい光を浴びて、魔剣に残る力を込める。


「魔剣シャドウスマッシュ! 主たる我が命じる。目前の邪神を滅ぼすぞ!」

「御意!!」

「ヒぃィ」


 俺は魔剣を大上段に構える。

 そして力を込める。

 その力は金色の渦巻きとなって魔剣の周囲を覆う。

 そしてその渦巻きは直径1m、長さ5m程まで膨れ上がる。


「滅びよ、這い寄る混沌(ナイアーラトテップ)! 奥義シャドウスマッシュ!!」


 俺は、限界まで魔力を溜め込んだ魔剣の名前を持つ技を、今更ながら(おび)(おのの)く邪神に叩き込んだ。


 ぐしゅ!


 その一撃は簡単に邪神を粉みじんに切り裂き、押しつぶし、瞬間的にチリへ、そして最後には全てを光子へと変換した。


「ふぅぅ!」


 俺は目の前に大きなクレーターが出来たのを見て、大きな息を付いた。


「おにーちゃん、やった――!」

「コウ兄ぃ、かっこいい!」

「コウタ殿、見事な啖呵切りじゃ!」

「コウちゃん、立派になったのね」

「先輩、珍しくカッコイイですよ」

「コウタさん、お見事です」

「すごいですぅ!」

「アレ、何処かで見たような技ですわ」


 ウチの女性陣が、俺を珍しく褒めてくれている。

 いつもこんな事無いから、なんかくすぐったいぞ。


「これで一見落着なのかな?」

「そうじゃな、一応兄上はココに回収したし、このままワシが再生処理を施して父上に献上じゃ!」


 チエちゃんは幼女モードに戻り、抱え込んだお兄さんらしい光る球を大事そうに見ている。

 俺は無事に誰も傷つかず戦いが終わったのを安心した瞬間、悪寒がしてその方向を見た。


「こ、コウ兄ぃ……」


 すると、ナナの身体に黒い触手状になったナニかが巻きついていた。


「コヤツ、まだ滅んでおらなんだか!」


 全員の視線がナナに集中する。


〝魔剣持ちのオマエ、オマエが一番厄介だ。この娘、オマエが一番大事にしているのだろ。前もそうだったな。このまま娘を絞め殺されたくなかったら、剣を捨てろ。他の皆も武装解除しろ!〟


 ふぅ、そういう事か。

 邪神ともあろうものが情けないな。


「まだ滅びていなかったのかよ。逃げるのなら分かるが、女の子虐めて強がるとは、そんなの神様でもなんでもないや。ただの卑怯者だ」


 俺はナナにゆっくりと歩み寄る。


〝オ、オマエ! この娘がどうなっても構わないのか? このまま絞め殺すぞ!〟


 邪神の切れ端はナナを締め付ける。


「う」


 ナナが少し苦しそうにしている。


「ナナ、ちょっと辛抱していてね。俺、そいつ倒すから」

「うん、信じているよ。コウ兄ぃ!」

〝オ、オマエラ! ワレを無視して話すな。良いのか? このまま絞め殺すのだぞ!〟


 全く情けない邪神さ。

 こんなヤツに多くの人々が苦しめられたかと思うとホント頭にくる。

 しかし、怒りで我を失えば負けだ。

 怒りは持つけど、それよりも愛を優先だ。


〝イ、イイノカ? もう殺すぞ!〟

「お前、やっぱり愚かで卑怯でバカだな。もしナナを殺してみろ。ここの皆お前を量子レベルまで滅するぞ。お前がまだ生きていられるのは、ナナが生きているからさ」


 俺はナナの目の前まで進んだ。


「ナナ、ちょっと眼を瞑ってじっとしていてね。大丈夫、痛くしないし、すぐに終わるからね」

「うん! お兄ちゃん、ボク信じているよ!」


 ナナは、昔みたいに俺の事をお兄ちゃんって呼んでくれて、「ひまわり」の笑顔をした後、眼を瞑った。

 俺は、魔剣を正眼の構えに持つ。


〝ちょ、ちょっと待て! 話せば分かる! ワレは神だ。お前らが欲しいものや力を全て与えてやる。だから、剣を下ろせ!〟


「これが邪神とはな。ワシら悪魔(デーモン)族の方が幾分も上じゃ! のう、父上」


 狼狽する邪神を眺めて嘲笑するチエちゃん。


「そうだな。この程度の誇りしか持ちえずに神を名乗るとは愚かよのぉ」

「ですわね、王様。ナナ、絶対コウちゃんを信じてね。邪神さん、貴方はやり過ぎたの。ここいらで観念するのね」


 王様は邪神を哀れそうに見下しているし、マユ姉ぇも邪神に冷たい眼を向けた。


〝や、やめ、やめてぇぇぇ〟

「その台詞、お前は何回言わせた? 命乞いもさせなかったお前に言う資格なんて無い。惨めに滅べ!」


 ひゅん!


 俺は魔剣を一閃した。

 金色の軌跡がナナの身体の表面を走った。


 ぱさり。


「ナナ、終わったよ」

「うん、あ! すごいね。ボクの身体を傷つけずにバケモノだけ切ったんだ」


 実は、魔剣すーさんと直前までチャットルームで何十回も何百回も練習したんだよ。

 だって、失敗したら終わりだしね。

 時と精神の部屋モード使えて良かったよ。


 邪神はバラバラになってナナの足元へと落ちていき、地面に触れる前にチリになった。


「コウ兄ぃ、だーいすき!」


 ちょっと涙ぐんだナナが俺に抱きついてくる。

 俺は、飛び込んできたナナをしっかりと抱きとめた。


「ナナ、良かったよ」

「うん、ボクお兄ちゃんの事信じていたよ」


 皆は、俺とナナの抱擁シーンを暖かく見守ってくれた。

 まあ、チエちゃんがハイビジョン撮影しているのは毎度の事だけど。


 そう、これで終わっていれば、「まだ」カッコイイ物語だった。

 しかし、ギャグ体質というかコメディ風味な俺達では、そんな終わり方は不可能だったのだ。


「あーん、おねえちゃん! わたしにも おにーちゃん かしてぇー!」


 リタちゃんが俺に飛びついてきた。

 その時、引っ張られたナナの服からピリっていう音が聞こえた。

 そしてはらりとナナから服が離れていく。


「え、えぇぇぇぇ!」


 次の瞬間、ナナの服は下着に到るまで完全にバラバラになり、ナナは全裸になってしまった。

 ナナの柔肌には一切の傷は無い、なぜなら魔剣の攻撃対象からナナを完全に除外していたから。

 しかし、ナナ本体は大丈夫でも身に着けていた服は、正確にはナナでは無い。

 よって、先ほどの攻撃で、俺は邪神と共にナナの服を全てバラバラにしてしまった訳だ。


「お、お兄ちゃん! これ、どういう事なのぉぉ!」

「おにーちゃん、えっちぃ!」

「コウちゃん、これはどういう事なのか、説明してよね」

「コウタ殿、ナナ殿。マコトに大胆じゃのぉ!」

「コウタさん、私見損ないました!」

「ぎゃははは!」


 真っ赤になって手で身体を隠すナナ。

 俺を軽蔑するリタちゃん。

 それを上着で隠すマユ姉ぇ。

 撮影の手を止めずに全裸のナナに迫るチエちゃん。

 ジト眼で俺を見る尼僧組。

 大笑いする悪魔組。


「ご、ごめんなさい! 攻撃対象からナナの服を除外するの忘れましたぁ!」


 俺は急いで後ろを向いて謝る。


「おにーちゃんのエッチ、ばかぁぁぁぁぁ!」


 結界内に乙女の叫びが響いたのだった。


邪神を退治する事に成功したコウタ達。

かっこよく締めるつもりでしたが、そうが問屋はおろしませんでした。

コメディの神様が常駐しているのです、作品世界には。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。


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