第268話 康太の魔神退治:その59「最終決戦 その1! 異形の邪神」
「これはこれは。ただの肉の海かと思ったら、何か怪獣っぽくなっているのじゃ!」
俺達13人の戦士は、チエちゃん達が作成したバトルフィールドへ降り立った。
灰色の空と灰色の大地がどこまでも広がる中、「将」が変化したバケモノがその中心に立っている。
その姿は、全長50m越え、多脚のワニ、いや怪獣に多数の触手、そして巨大なコオモリの羽を持ち、そこにケンタウロスっぽく「這い寄る混沌」の巨大な顕現が居座るという感じだ。
「ここが最終決戦場所か! よかろう、ここでならワレも全力を出せようぞ!!」
無貌の顔でどこに口があるのか分からない円錐状の頭部に嘲笑を貼り付ける邪神。
もう何回も見たからSAN値も減りゃしない。
一応CP経由で送る映像にはモザイクと精神保護処理をしている。
いきなりこんなの見たらSAN値はごっそり減るからね。
尚、後日中学生組に聞いたら、怪獣っぽかったので大丈夫だったんだとか。
M78星雲の戦士で日本人は慣れているからかな?
フランツ君は危なかったそうだけどね。
「オヌシもワンパターンじゃな。千以上の顕現を持つのに戦闘時には、いつもそのワンパターンじゃ。大体名前からして、お約束的なワンパターンじゃ」
チエちゃんは戦闘準備をしながら、嘲笑する邪神を煽る。
「そ、それは……。強い姿を選べばコレになるだけだ。それにワが名は偉大なるものだから、使うのだ!!」
あら、チエちゃんに言い負けしてやんの。
相変わらず、「大物界の小物」だね。
「そういう事にしてやるのじゃ! ワシらの因縁もコレで終いにするのじゃ! 皆の衆、準備はOkじゃな。抜かるでないのじゃ!」
「おー!」
俺達はフォーメーションを組んで邪神に飛び掛った!
◆ ◇ ◆ ◇
「先陣、いきまーす!」
俺は魔剣の力で半分ホバーして高速移動をしながら邪神に踏み込む。
「いっけー!」
一旦地上に足を付けた俺は、左横に構えた魔剣に魔力を込め、大きく右へと薙ぎ払った。
ひゅん!
その一閃は金色の魔力刃となり、邪神の持つ防御結界に命中する。
本来、多重位相・次元断層を用いた邪神の防御結界は、なまじの攻撃では破れはしない。
しかし、魔剣の一撃は確実に邪神の防御結界をまるでガラスの様に破壊し、本体を傷つける。
「何故にワが結界を容易く破るのだぁ!」
邪神が吼えるけど、そんなの知ったことないもん。
「おのれぇ!」
邪神は結界を再度貼りつつ、触手を伸ばしてくる。
「まるちぷる・れーざー!! こまいぬ・ぶらすたー!!」
ナナは九十九神達に命ずる。
何機にも分裂した望遠鏡九十九神は、一斉に高出力レーザーを吐き、触手を根元から焼き払う。
また最近出番が少なかった狛犬1号・2号。
「ぐっちゃん」に対抗してか、巨大化して2m強の獅子となる。
そしてその口からは、ビームと化した強烈なプラズマを吐き、それも触手を凪ぎ払う。
「ナイス、ナナ!」
俺は後ろを向かずにサムアップだけして、ナナに感謝をする。
俺は触手を避けながら、追撃を行う。
「おらぁ!」
霞の構えからの突きは、金色の槍となって再度張られた防御結界を破壊、貫き本体に突き刺さる。
「なんでだぁぁ!」
だから知らないって。
「南無八幡大菩薩! オン アミリタ テイゼイ カラ ウン! 八幡破邪弓!」
カレンさんは、万能宝具を弓に変形させて攻撃を放った。
八幡菩薩、八幡神は応神天皇の変化した神霊で神仏習合にて阿弥陀如来と同一化された武神。
弓矢に関連が多く、那須与一が平家との四国屋島の合戦時の弓矢で扇を狙う際に祈願した事で有名だ。
神霊で強化された矢は神力の輝きの尾を引き、砕かれた結界を越え邪神本体をも貫通した。
「なぜじゃぁ!」
だから知らないって。
俺は更に追撃を放つ。
上段の構えからの金色の一閃!
それは貼りかけの防御結界を簡単に砕き、這い寄る混沌本体らしき部分を唐竹気味に切り裂く。
「うぉぉぉ!」
魔神王が吼える。
その両腕の間には漆黒の虚無が集まる。
「ワームキャノンじゃ!」
口径1mを越える虚無の光が邪神を穿つ。
その一撃で邪神の横腹に生えていた甲殻類っぽい脚の数本が拭き飛んだ。
「追撃だ!」
俺は攻撃を喰らわないように瞬動法とテレポートを駆使し、脚が吹っ飛んだ邪神の横腹に食いつき、腰だめに構えた魔剣から突きを見舞う。
それは巨大な金色の槍となって、結界ごと反対側の腹まで突き抜けた。
「ぐわぁぁ!」
それによる隙を逃さないリタちゃん、大技を撃ち込もうとする。
「すべてのもの よ! いてつき ほろべ! ひょうけつれっぱ!」
魔法少女杖から放たれる蒼い球は以前よりも大きい。
「こりゃ、急いで退避ぃ!」
俺は、邪神から瞬間移動で一旦離れた。
きゅぃーん!
リタちゃんの一撃は、着弾後邪神全体を絶対零度近い低温で凍結させ、蒼い氷に包まれた邪神はその後一気に砕けた。
「ひぇぇ。リタちゃんパワーアップしているよぉ」
もちろん、こんな事で滅びる邪神では無い。
再度肉の塊から再生を始める。
「カグツチ様、爆烈竜巻!」
〝おう!〟
そこに追撃をするタクト君。
復活しつつある邪神をプラズマ状態まで熱せられた火炎の竜巻が襲う。
「おぉぉぉ!」
よし、このまま畳み込むぞ!
いよいよ最終決戦スタート。
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