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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
260/272

第260話 康太の魔神退治:その51「強襲 その4!:作戦変更」

「と、とりあえず無事リタちゃん奪還したし、ここいらで作戦会議しよう!」


 ということで、俺は魔剣すーさん(シャドウスマッシュ)によるチャットルームに一旦全員を呼んで会議開始を始めた。


「ここで重要なのは、『(ジェネラル)』兄上の打破じゃな。タコ殴りにして母上の下に送りつけるのがベストなのじゃが、この星は今転送(テレポート)ブロック中じゃ。恒星間移動が可能なのは、遺跡内の転送門のみ。なれば、脱出路としても、この遺跡の死守が最優先じゃ」


 最悪ここ(アルフ星)で「将」を仕留め損なったとしても、セテ(悪魔母星)に俺達が逃げる事が出来れば、勝ちだからね。


「だったら、とっととセテに逃げて向こうで迎え撃つというのはどう?」

「うむ、その手はあるのじゃが、兄上が付いて来ねば無意味じゃ。父上や母上とワシらがグルなのは、如何な愚かな兄上といえどそろそろ気がつかれておるから、転送門を封印してこのままアルフに立てこもりされると、ここに残る方々が悲惨な目に合うじゃろう」


 リタちゃんの星に生き残りが沢山いるのなら、それを人質にされてしまうのは在り得る。


「チエさん、『釣り野伏せ』をこの神殿内でやるのはどうですか?」


 ススムさんが戦法を提案してきた。

 「釣り野伏せ」、戦国時代九州地方の覇者、「妖怪首置いてけ(おトヨ)」の島津家が多用した囮による陽動作戦の事だ。

 俺は戦史についてはそう詳しくはないけど、島津家の特殊な戦術は面白いので色々と書物を読んだことがある。


「ふむ、父上という獲物を『釣り』に使うのなら出来そうじゃな。ならば、この遺跡内に誘い込めるし、今仕掛けていたりする罠やこれから仕掛ける罠でハメる事は可能じゃな」


 それなら殆ど市街戦にもならずに、敵兵力を叩き潰せそう。


「あれ、でも空飛んでくる悪魔さんには効かないよ」

「あ、そうなのじゃ! 屋上の砲座で相手できるのはそこまで多くは無いのじゃ」


 ナナの指摘で、この戦法は却下となった。


「まあ、最悪撤退時のおびき寄せ作戦には使えるから、罠の設置はやるべきじゃあな。そういえば、城内にエルフは何人くらい、何処におるのじゃ? それ次第では城内への砲撃で兄上達をあぶりだせるのじゃ!」

「うーんとね、わたし わからないから、るーぺっと に きくね」

「ルーペット、城内に側使えとして今残っています民は幾人おられるのですか? それと、今は何処に避難しておりますか?」


 あら、ここだと念話と同じ感じだからリタちゃんの神聖(ドイツ)語が理解できる。

 リタちゃんのお姫様言葉、久しぶりに聞いた気がするね。


「姫様、本当にこの方々を信用なさるのですか? 『将』様と同じ悪魔も多数いるというのが信用なりません」

「ルーペット、何回も申しておりますが、この方々は星の海の彼方から わたくしを助けに来られています。何があっても味方、家族なんです」


 そう言って、リタちゃんはマユ姉ぇに抱きつく。


「ルーペットさん。すぐに信用できないのは理解できますわ。それもリタちゃん、いえ姫様が大事だからですよね。でも、私達にとってもリタちゃんは家族、わたしの娘なんです。何が何でも助けるのが当たり前。チエちゃんも私の娘、リタちゃんのお姉さんなの。ですから、是非とも信用してください」

「ルーペット殿、今回の事案はワシの兄上が仕出かした事。ワシについて信用出来ないというのも理解できるのじゃ。じゃが、今大事なのはリタ殿の安全と、この地に残る民の安全じゃ。ワシを信用せんでも良い。母様(かあさま)を信用しては下さらぬか?」


 マユ姉ぇとチエちゃんがルーペットさんに頭を下げた。


「ま、まあ姫様がそこまでおっしゃるのに、ワタクシがいつまでもワガママを言うのもナンデすな。では、皆様にお答えします。城内にエルフの民はそう多くはいません。厨房と姫様のお世話関係のみで、20人くらいです。今はおそらく反逆を警戒されて、地下厨房に閉じ込められているでしょう。ただ、ひとつ気になる情報があります。メイド長に聞いたのですが、北の塔最上階にエルフが1人幽閉されておるそうなのです」


 リタちゃんやマユ姉ぇ、チエちゃんの真剣な様子にようやく警戒を解いてくれたルーペットさん。

 精神のみで話すここ(チャットルーム)だからこそ、皆の心が見え分かってくれたのだろう。


 しかし、幽閉されているのは、一体誰だろう?

 牢屋とかでは無く、塔に幽閉されているという事から考えてみるに、おそらく高貴な身分の人だ。


「ルーペット、それは誰なのか判らないのですか?」

「ええ、姫様。ワタクシにも情報がそれ以上入らないのです。給仕や世話は悪魔族が行っているらしいので」


 リタちゃん、驚いてルーペットさんに聞いた。

 それが事実ならリタちゃんに近しい人物だものね。


「姫様、私の情報では高齢の男性とお聞きしています」


(グラス)」さんが手を上げて答えてくれる。


「まさか御爺(おじい)様なの?」


 リタちゃんは口に手をあてて驚く。

 その様子を見たナナは、リタちゃんを後から抱いた。


「リタちゃん、リタちゃんにはお爺ちゃんが居たの?」

「うん、もう80さい くらいだけど。まだ おげんき だったんだ!」


 以前聞いたのでは、リタちゃんのお母上はリタちゃんが5歳になる前に病死なさったそうだ。

 そしてお父上は、今から1年4ヶ月程前リタちゃんの目の前で殺された。

 お爺ちゃんがいたとは聞いていないよ。


「御父様が戦死なさったのですから、てっきりその際に御爺様も高みに昇られたかと思っておりました」


 まあ、普通そう思うよね。


「で、リタちゃん、そのお爺様は先代の王様なの?」

「うん、そうだよ。おとうさまの おとうさま なの」


 ならば、王族の血筋。

 あ! 秘宝の起動が出来るよ!


「それ、不味いよね。人質だし、秘宝の起動キーでもあるよ」

「そうじゃな。ならば、ワシらが兄上の本隊を引きつけておる間に、再度城内に侵入して先王を奪取せねばな。出来れば秘宝とやらも奪いたいのじゃが。そういえば秘宝がどのようなモノか聞いておらぬな。ご存じの方教えてくれぬか?」


 秘宝の情報次第では戦術も変更されるから、知りたいよね。


「姫様、ワタクシが皆様に申して宜しいですか?」

「ええ、ルーペット。わたくしは秘宝について詳しく知らないので、お願いします」


 ルーペットさんは、リタちゃんに一言断ってから話し出した。


「アルフの秘宝ですが、Kleinsche(クラインの) Flasche()と呼ばれるモノで、異界から無限の力と無数の邪霊を呼び込む壷にございます」


 それってかなりヤバくないですか?


「大昔、この星に住んでいました魔王、闇と契約した暗黒半妖精(ダークエルフ)の族長がおのれの野望を成す為に、異世界の黒き邪神と契約して作り上げたと聞いております」


 その黒い邪神、なんとなく心当たりがありそうな……。

 黒くて異界からの力なんて、アイツ(這い寄る混沌)に関係しそう。


「それを打破した過去の王が己の血族以外には使用できないようにする封印を施したと聞いております」


 魔神王を上回る為に「力」を求めた「将」。

 彼が欲しがる訳だ。


またまた作戦会議です。

状況がコロコロと変わるので、その都度作戦の変更を余儀なくされます。

しかし、魔剣の力により0時間で相談出来るのは、コウタ達の強みですね。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。

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