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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
258/272

第258話 康太の魔神退治:その49「強襲 その2!:たまやー!」

 どぉぉん!!


 大きな地響きと共に轟音と衝撃波が城へと響く。


「一体、何があった?」


 魔神将(アークデーモン)(ジェネラル)」は、寝屋から飛び起きた。


「神殿の方向において爆発が確認されました。遠見によると兵舎と魔獣飼育場でとの事です」


 側使えの上位悪魔が「将」に報告をする。


「事故か、事件なのか。もしかしたら襲撃なのか。確認を急げ!」

「御意!」


 ずわぁぁん!


 しかし、その答えと同時に城は轟音と共に大きく揺れた。


「一体何が起きておる?!」


 「将」は自分の予想外の状況にうろたえた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「面白いのじゃ! 思ったところに当って爆発するのじゃ! 魔法よりも楽なのじゃ!」


 チエちゃん、朝日が照らし出している神殿の屋上から喜々としながら M72LAW(バズーカー)を撃っている。

 そして城の城門が吹き飛ぶ。

 その小さな身体で、どーやって狙いを定めているのか分からないんだけどね。

 チエちゃん、ちょいと大き目なヘルメットを被った姿が可愛いけど、そんなの関係なくどんどんと弾を撃ち込んでいる。


「周囲の兵舎と魔獣の飼育場を先手で潰しておいたのじゃ。戦闘は火力なのじゃ!」


 飼育場には、魔力を込めたグレネード(M32)を連続で叩き込んでいたから、あれでは魔獣共も全滅だろう。


「兵舎の方、大丈夫? あそこに雇われエルフさんとかいたら大変だよ?」

「あそこには魔除け草入りの催涙弾ぶっこんだのじゃ。エルフであろうが悪魔であろうが悶絶じゃ!」


 先に地図や兵士配置情報が分かっているから、やりたい放題。

 その上、今回はチエちゃんが出発直前まで頑張って開発していたゴーグル型のイルミネーターによってCP(コマンドポスト)からの情報が随時表示されている。

 目下に広がる市街地には一切手を出さずに遠距離砲撃だ。

 市街地が案外無事な様子を見るに、今も結構な数のエルフさん達が生き残っている可能性が高い。

 こりゃ、「将」討ち取らないと話は終わらないかな?


「今度は、城内へ迫撃砲じゃ! 煙幕弾・催涙弾いっぱい叩き込むのじゃ!」


 今度は、「(ランス)」さんに手伝わさせて迫撃砲(M224)を設置するチエちゃん。


「どーんじゃ」


 しゅっぽん!


 迫撃砲に放り込んだ弾は、軽い音を立てて放物線上の軌跡を描いて城に着弾する。


「一撃必中じゃ! たのしーのじゃ。一方的虐殺なのじゃ!」


 チエちゃん、グレイさんに武器の使い方教えてもらったから、トリガーハッピー状態。

 いかな悪魔といえど、実弾兵器での遠距離砲撃は想定外だろう。

 城もエルフ時代のままだから、いいとこ城砦砲くらいまでにしか想定していないだろうし。

 チエちゃんは、ポンポンと連続で城に迫撃弾を撃ち込んでいた。


「たまやー!、かぎやー!」


 チエちゃん、それ絶対違うし。

 リタちゃんが居る部屋に当らなきゃいいけど。


「どうせ最悪でも催涙弾じゃ。直撃せぬかぎり死にはせぬし、リタ殿がいるであろう区画は避けて居るのじゃ!」


 まあ、重い兵器はここで使っておいたほうが持ち帰りしなくていいから楽だけどね。

 実際、市街戦はしたくないから、先手で叩けるだけ叩いておきたいよ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 どぉぉん!


 場内に轟音と衝撃が響いた。


「これは、おかあさんたちが きたのね!」


 わたしは、ベットから飛び起きた。


 「(グラス)」さんから事前に聞いていた通り、早朝からの攻撃。

 実はウキウキしていて眠れなかったわたしは、ルーペットに頼んで戦闘ジャージやその時着ていた下着類と、お父様の蔵書から中級・上級用の魔術教練書を夕べのうちに準備してもらっていたの。


 ジャージに関してはルーペットから、

「姫様、この様な無粋な服、一体何にお使いですか?」

 と、嫌そうにと言われたけど、この服じゃないと戦闘大変なんだもん。

 間違ってもドレスで戦闘なんて嫌、スカートを気にしてなんて居られないもん。


 そして教練書には、わたしがまだ教えてもらっていなかった魔法が一杯あった。

 これを覚えたら、無敵じゃない、わたし?

 緊張で眠れぬ夜も、本を共に楽しい時間になったの。


「姫様、大丈夫ですか? 先程から何者かが城内に対して攻撃をしている模様です……!? 姫様、そのお姿は一体?」

戦装束(いくさしょうぞく)に決まっていますわ。わたくし、お迎えが来ましたので、ここからお(いとま)致します。ルーペットはどうしますか?」


 既に戦闘ジャージに着替えていたわたしは髪を後に纏めて、身を整える。

 手にはマサトお兄ちゃんが作ってくれた、魔法少女ステッキ。

 もう「将」相手でも全然怖く無いもん。


「ワタクシは姫様の筆頭側使えです。今度こそ姫様と運命を共に致します」

「では、ついてきてくださいませ。『(グラス)』さん、近くにいらっしゃるのでしょう?」

「はい、こちらに」


 「草」さんは部屋の影から現れた。


「では、お迎えがいらっしゃる鏡の間までの案内(あない)お願い致しますわ」

「御意!」


 さあ、いっくよー!


  ◆ ◇ ◆ ◇


 どーん


 衝撃音と共に天井からパラパラとホコリが落ちる。

 ここは城内の「鏡の間」、もう機能を失った転送用の鏡が安置されている場所だ。

 しかし、もう光るはずの無い鏡に光が点り、そこから8人の戦士たちが出てきた。


「うわー、チエちゃん。やりたい放題だな。迫撃砲まで貸すんじゃなかったぞ」


 グレイは天井から落ちてくるホコリをうんざりして見上げた。


「まあ、これだけ撃ち込んでいたら場内は混乱しておるだろ。そこでワシらの転移は気がつかれまいて」

「この鏡は一方通行ですので、皆様あまりご安心せぬように」


 正蔵に対して「(おぼろ)」は説明をする。


「さて、後は連絡員が来るのを待つだけだが、その連絡員はどうした? イルミネーターには情報無いが。CPどうした?」


グレイが警戒状態を解かずに愚痴った瞬間、壁が衝撃音や光と共にブチ破られた。


「一体なんだよ!、チエちゃんの誤爆か?」

「こちらCP、何かありましたか?」


 少し慌てた英語がイルミネーターから聞こえる。

 たぶんフランツだろうと、グレイは思った。


「現在、鏡の間に到着、迎えが来ていない。そして誤爆なのか分からんが、壁が破壊された」


 グレイは、「鏡の間」の壁に直径2mを超える大きな穴が開いていた事をCPに報告した。


 そして穴が開いた反対側の壁には、上位悪魔(グレーターデーモン)らしきモノがピクピクとしながら転がっていた。

 どうやら、先ほどの爆発により吹き飛ばされてきたらしい。


「ケホケホ、姫様少々やりすぎです」


 そして濛々(もうもう)と立つ埃と土煙の中から、背中から羽が生え頭部に角を持つ女性悪魔らしき姿が出てきた。


「何やつ! Freeze(止まれ)!」


 グレイ達は銃や武器を煙の中にいる女性悪魔に向けた。


「あ、私は敵ではありません。女王様直属連絡員の『(グラス)』です!」


 女性悪魔は急いで両腕を頭上に上げ、敵意が無いことをグレイ達に示した。


「おい、遅かったじゃないかよ。手筈では、ここで待ち合わせだったろ?」

「申し訳ありません、色々と問題が発生致しまして……」


 グレイ達が銃を降ろしたのを確認して、「草」は平謝りをした。


「おう、『草』さんよ。俺たちの孫はどうしたんだ? まさかリタちゃんに何か問題でもあったのか?」


 正蔵は、「草」を睨んで問い詰めた。


「いえ、姫様はご無事です。と言いますか、お元気すぎて……」


 「草」が困った顔をしたとき、場に似つかわしくない緊張感のない大声が聞こえてきた。


「おじーちゃーん、おばーちゃーん! りた、じぶんで きちゃったよぉ! みんな、たすけに くるの おそいんだもん!」


 そして、壁に空いた大穴から、ニコニコしているリタ姫と、その後ろからおっかなびっくり状態の老エルフが出てきた。


一方的に遠距離砲撃で場を乱すチエちゃん。

実は筆者も、書き始めるまでは普通に戦闘をするつもりだったのですが、チエちゃんが砲撃をし始めた瞬間、コッチの方がいいじゃん!、となりました。


魔法戦闘を想定する相手に現代兵器での砲撃で台無しにするチエちゃん。

実にえぐい。

また、その影響からかドッカン娘になってしまったリタちゃん。

姫様が自分の居城を壁抜きしながら進むのは、もう爆笑としか言えません。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。

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