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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝

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第257話 康太の魔神退治:その48「強襲 その1!:上陸開始」

「う、うわぁ」

「ほう、このお方が『(いにしえ)のもの』ですか。ヒラム様、孫がお世話になっています」

「ええ、ナナちゃんやリタちゃんを可愛がってくれてありがとうございます」


 ココは南極遺跡。

 ススムさんに爺ちゃん婆ちゃんは、「古のもの」ヒラムさんとは初顔合わせ。

 ススムさんは大分(だいぶ)びっくりしているけど、爺ちゃん達はニコヤカに話している。

 まあ、羽が生えて五芒星の頭を持つサボテンって感じの魔物を、普通は怖がるよね。


〝ナナ殿達の祖父母殿。こちらこそ、お2人のお孫さん達には沢山助けてもらっておる。今回のリタ殿奪還作戦、私も協力させてもらうから是非とも成功させよう!〟


 ヒラムさん、ナナの頭を触手でナデナデしながら話す。

 ヒラムさんの五芒星状の頭部、それぞれの頂点にある5つの眼は非常に優しい。

 ナナもヒラムさんを笑顔で見上げる。


「ヒラム様、私達の娘の為に尽力頂き、ありがとうございます」


 マユ姉ぇはヒラムさんに頭を下げた。


〝いや、私も頭を撫でるのに、もう1人程欲しくてな。マユコ殿が気に病むことは無い。私の勝手だよ〟


 ヒラムさんの眼は、右上方向へ視線を逸らした。

 ヒラムさんって照れくさいんだ。

 姿は怖いっぽいんだけど、動作が妙に可愛い。

 これが、キモ可愛いって言うモノなのだろうか?


「なら、ワシも頼むのじゃ!」


 そう言ってナナの隣に並んで頭を差し出すチエちゃん。


〝はいはい。魔神将(アークデーモン)もこうだと可愛いものよ〟


 人間なら苦笑しながら、ニコニコ顔のチエちゃんの頭も撫でるヒラムさん。

 その眼は実に慈愛に溢れている。


〝さあ、勇者達よ! 姫を救うのだ!〟

「おー!!」


 俺達って勇者なのかなぁ?

 まあ、姫様助けには行くんだけどね。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さて、現地は後3時間で夜明けじゃ! 強襲はスピードが命じゃ。母上情報だと兄上は今日は襲撃が無いものと油断しておるらしい。初日か最終日と読んでおったらしいが、そこが甘いのじゃ! あえて確率が低く比較的早いタイミングで強襲するのが効果的じゃ。ずっと警戒なんて出来ないのじゃ!」


 今は悪魔母星セテで最終ブリーフィング。

 女王の間にて王様まで来て打ち合わせ中だ。


「ほう、でワシの出番はイツじゃ?」

「父上は、リタ殿奪還した後、撤退時に登場を頼むのじゃ! 追撃や送り狼を封じてしまうのじゃよ」

「ほう、ワシがシンガリという事か」

「そうじゃ。最大戦力の父上を最後に投入したら兄上はパニックマチガイ無しじゃ!」


 チエちゃんは、お父さんと楽しそうに話している。

 チエちゃんの悪巧みを聞きながら喜々としている風は「(ランス)」さんそっくりだ。

 こういうところ、親子って似るんだよね。

 女王もチエちゃんの話を聞いて嬉しそう。

 なんかワクテカしちゃっている。


「コウタ君、案外悪魔王(デーモンロード)ってのは話せるんだな」

「ススムさん、こうなるには大変な話があったのですが、そこはチエちゃんや『槍』さんのお父上ですから」

「そう考えれば納得だね」


 ススムさんはヒラムさんと会った時よりは怖がっては居ない。

 もう悪魔(デーモン)族とは沢山あっているし、比較的人間に近い形態だもの。


「コウタ坊! オマエらってどんどん敵をも味方にして強くなるんだな。俺達軍人とは随分違う。まあ、こうやって一緒に戦うのは俺も気持ち良いけどさ」


 グレイさんは、俺の背中をドンと叩きながら話す。


「前も言いましたが、俺達は最初から最後まで『お人好し』を押し通しますからね」


 敵を減らすのに確実なのは、敵を殲滅させるか味方につけるか。

 なら味方につけたほうが気分良いよね。


「では、ミッションスタートじゃ!」

「おー!!!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「『将』様の予想では、今日は襲撃や来客は無いはずだな」

「ええ、そのはずですわ」


 アルフ星、元首都エルフェイムの神殿、ここには恒星間移動用の転送門ユニットがある。

 古代「古のもの」達によって設置された宇宙ネットワーク端末の一つ。

 現在は、悪魔母星へと接続先を固定されており、また星全体に転移ブロックを掛けている為、母星以外からの侵略は惑星大気圏外からの侵攻しかあり得ない。


「まあ、いくらなんでも人間がここから来る事はないよな」

「ええ、ここを利用するには王か女王の許可が必要ですもの」


 警備をしている男女の上位悪魔(グレーターデーモン)2柱は、たいくつな警備に飽きて雑談をする。

 もうじき夜明けという時間では、こうなるのも仕方あるまい。


「オレ、惑星上空の警備したかったぞ」

「でも下等で惑星間移動も満足に出来ない地球とやらの科学力では、恒星間航行なぞムリでしょう」

「つまりは最初から我らが将軍の勝ちという事か」

「ええ、マチガイないでしょうね」


 しかし、その時転送門に反応があった。


「何、まさか誰か来るのか?」

「いえ、将軍からは連絡ありませんでしたよ」


 そして門は開き、中から魔神将が男女2柱出てくる。


「早朝からの出迎えご苦労じゃ!」

「夜明け前の警備、大変だな? ここはオマエ達2人だけか?」


 上位悪魔は敬礼をして、魔神将に対応した。


「はっ! 長旅お疲れ様です。我らは将軍から連絡を受けておりませんが、今回はどのようなご用でこちらにお越しなのでしょうか?」

「申し訳ありません。現在、こちらには2名しかおりませんので、対応が不十分にしか出来ません」


 上位悪魔の答えに、にんまりとした魔神将2柱。


「それはな、姫様奪還じゃよ!」


 次の瞬間、上位悪魔2柱の意識は途切れた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「もう大丈夫?」

「ああ、既に片付いて居るのじゃ!」


 俺達は、チエちゃん達の後からゆっくりと転送門から出た。


「あらまあ、このコ達殺しちゃったの?」

「いや、少々もったいないから固めただけじゃ」


 マユ姉ぇが覗き込んだその先、そこにはガチガチに樹脂で固められた男女の上位悪魔が2体転がっていた。


「流石、母様(かあさま)直伝の精神波攻撃じゃな。一撃で意識を刈り取れたのじゃ」


 幼女形態に戻ったチエちゃんは、エッヘンと毎度の「無い胸」張りをする。

 どうやらマユ姉ぇの技ともいえる暴走精神波の一端を身に着けたらしい。


 今回の初手、転送門を利用するのは悪魔のみ、なので先に悪魔形態のチエちゃんと「(ランサー)」さんに門から出ていただき、門番を油断させた訳だ。


「これで対悪魔(デーモン)には無音戦闘が可能なのじゃ!」

「まあ、横に居た俺は急いで逃げたけどな」


 「槍」さんは嫌そうな顔をしている。

 上位悪魔が一撃で気絶するくらいだから、魔神将なら耐えられるはずだろうけど、イヤには違いあるまい。


「ここには見張りは2人だけじゃ。遺跡内にも今のところ気配は無いから、この建物の入り口と屋上に陣取って敵を迎え撃つのじゃ!」


 転送門を守るのが今回の作戦の成功を握るカギ。

 脱出ルートを押さえておくべきだろう。


「では、これから出口までに罠仕掛けつつ、戦闘準備じゃ!」

「りょーかい!」

いよいよミッションスタート!

どんな策で悪魔軍を翻弄させるのか、乞うご期待です。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。

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