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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
256/272

第256話 康太の魔神退治:その47「強襲前夜!」

「ルナ殿、物資の確認急ぐのじゃ! グレイ殿、銃関係の装備確認や説明を頼むのじゃ! 教授、女王から貰ろうた地図、建物図面から最終戦術の確認お願いじゃ!」


 チエちゃんはブリーフィング後、夕ご飯を皆で食べてから分身をして最終準備を差配している。

 マユ姉ぇや婆ちゃん達は、夜食の準備や持ち込む食料品の確認中。

 中学生組は、えっちらおっちら荷物運び中。

 カオリちゃん、ケイコちゃんは、アリサちゃんと遊びつつ、マユ姉ぇのお手伝いをしている。


「ゴメンね、受験生をこんな事に巻き込んじゃって」

「お気になさらないで下さいね、先生。私達好きでやっているんですから」

「そうだよ、先生。だって、アタシ達このままじゃリタちゃんの事気になって、勉強が手につかないもん」


 アリサちゃんを抱っこしてあやすカオリちゃん。

 アリサちゃんも「大きなお胸」が気に入ったのか、しっかり抱きついてご機嫌の様子。


「そう言ってくれたら助かるし、実際助かっちゃっているよ。多分明日の今頃には吉報を知らせられると思うから、お正月は皆でお祝いだね」

「うわー、楽しそう。でもどうしようかな。今から振袖の着付け考えなきゃ」

「そうだよね。今日29日だもんね」


 楽しそうな話題で盛り上がるのはイイ事だよね。


「あら、なら私がしましょうか? 今年は、ナナやリタちゃん、チエちゃんも着付ける予定だったし」

「え、良いんですか。マユコさん」

「うれしー、マユお姉様にまた着付けしてもらえるなんて」


 この盛り上がりを聞いて気にならない女の子は居ない。


「先輩、お姉様、ワタシもお願いできますか?」

「おば様、ウチとマヤも頼めますか?」

「すいません、出来たら私とシンミョウも」

「すいません、ルナもお願いします」

「あらあら、嬉しい悲鳴だわ」

「まーちゃん、私が手伝うわよ」


 コトミちゃん、カズミさん、マヤちゃん、ルナちゃん、カレンさん、シンミョウさんも手を上げる。

 振袖となると浴衣よりは着付け難しいので、マユ姉ぇ1人だけの手に負えないだろうから婆ちゃんが手伝ってくれるらしい。


「姉御はどうするの?」

「そうね、私はもう振袖って歳じゃないけど、着物は着たいわ」

「はい、アヤメちゃんもね。皆、絶対初詣は一緒に行くわよ!」

「おー!」


 どうやら、振袖での初詣は戦意高揚の効果抜群らしい。


「おい、コウタ坊。一体女の子達はなんで盛り上がっているんだ?」

「私にも教えて欲しい、コウタ」


 グレイさんとフランツ君は女性陣の異常な盛り上がりが理解できないらしい。

 まあ、アメリカ国籍の方には理解しずらいだろうね。


「日本には新年1日に神社やお寺に新年の平穏を祈ってお参りする習慣、初詣があります」

「そういやー、ニュースで見た事あるな」


 グレイさんは日本に長く滞在していたから、初詣自身は知っているよね。


「初詣に詣でるのに、未婚の若い女の子達は着飾っていくのですが、その時着用するのが日本の伝統装束、着物の一種、振袖なんです」


 俺は2人にスマホで振袖を着た女の子の写真を見せた。


「ほう、これは綺麗だし、華やかだな」

「確かキモノは一枚の布からなるのだよな。それがここまで美しく着飾れるとは」

「あら、綺麗ねぇ」


 何故か、クロエさんまで覗き込んで来たよ。


「こういう着物を着るには1人では難しいから大抵着付けが出来る人に頼むんだけど、正月までもう予約が一杯なところ、マユ姉ぇがやってくれるというので、皆喜んでいるんだ」

「納得だ」

「うむ、これは期待だな」

「えー、あたくしも着たいわぁ。アニメで見てたけど、ホンモノだもの」


 すまないけど、クロエさんの年齢からしたら振袖は難しいかな。


「クロエちゃんには、私がシックで綺麗な着物見繕うわね」

「まー、ありがとうございますぅ、お姉様。絶対、勝って帰ってキモノ着るわよぉ!」


 周囲の女の子達も男性陣達も笑いながら、準備をしている。

 まー、いいんじゃね。

 悲壮になって戦闘準備するの、俺達に似合わないし。


「ぱぱぁ、おきもの、わたしもきたいのぉ!」

「おお、アリサ。パパ頑張ってアリサに似合う着物借りてくるぞー!」

「すいません、内藤さん。今から幼児用の着物のレンタル可能なところ探してくれませんか?」

「おう、任せておけ!」


 苦笑しながら請け負ってくれた内藤(おう)

 こういうのも戦闘準備かな(笑)。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ふっ!」


 後では物資搬入と打ち合わせの声が聞こえる中、俺は庭に出て魔剣を振るう。

 爺ちゃんに教えてもらった技の練習と、すーさん直伝の大技の型練習だ。


「コウ兄ぃ、すっごいね。もうボクじゃ今まで見たいに勝てないや」


 俺は、縁側に座っているナナに気がつく。


「そうかなぁ。今でも俺、ナナには勝てる気しないよ」


 俺は苦笑しながら、また剣を振る。


「そんなにボク強くないよ。いつもお母さんやコウ兄ぃに守ってもらってばかりだもん。最近じゃ、チエ姉ぇやリタちゃんにもだね」


 自信なさげに俯くナナ。


「そんな事無いって。いつでも俺はナナのおかげで勝って来たよ。邪神の時も、昨日の王様の時も」


 俺は剣を振るうのをやめて、ナナの横に座った。


「え、ボク足手まといじゃないの? あの時もボクがリタちゃんを助けられたらこんな事にならなかったのに」

「絶対違うって。アレは過ぎた事だし、俺にも責任があるよ。もっと早く空間跳躍してリタちゃんを捕まえるか、『(ジェネラル)』を殺しておけば良かったのだから」


 俺は、ナナの顔を覗き込みながら話す。


「でも、今リタちゃんは怖くて寂しい思いを絶対しているよ」

「だからこそ、明日は必ずリタちゃんを助けよう。でも、リタちゃんの事だもの。俺達が助けに行く前に、何かしてそうだよ。向こうにも女王様の手が伸びているから、リタちゃんに俺達の事教えているかもだし」


 悲観的に考えてもしょうがない、少しでも物事は建設的、楽観的に考えるべし。

 まあ、戦略企画時点は最悪の事態を考えておくけどね。


「そうか、リタちゃんだものね。お兄ちゃん達おっそーい、とか言ってそう」

「うん、そうだよね。最初の頃のお姫様モードよりは、今はお転婆娘だもん」


 この1年4ヶ月でリタちゃんは、すっかり普通の年頃の女の子って感じになった。

 多分、今回の件が片付けば、いずれはアルフ星の唯一の王族として向こうで窮屈で大変な仕事をする事になるのだろう。

 その時まで日本で一杯学んでもらって善政を布いて欲しいし、しばらくの間は普通の女の子としての生活を楽しんで欲しいものだ。


「じゃあ、リタちゃんが普通の女の子としていられる生活を守る為にがんばりますか」

「なにそれ? 多分リタちゃん、今は姫様やる方が大変だよ」

「違いない」


 俺達は笑いあった。


「コウ兄ぃ、絶対に絶対に皆で笑って帰ろうね」

「うん!」


 ナナは俺にくっ付き、眼を閉じ顔を上げた。


「誰も見ていないよな?」


 俺は周囲を眼で見て、オーラレーダーで再度確認する。


「よし、誰もこちらを見ていない!」


 俺は、そっとナナの唇に自分の唇を重ねた。


「全く油断も隙も無いのじゃ! この万年発情カップルめ!」

「うわー、ナナちゃん。おとなぁ!」

「ふ、不純異性交遊です、生徒会長ぉ!」

「うんうん、初々しい恋人って感じですね。コウ兄さん、生徒会長、おめでとう!」

「あらあらまあまあ。正明さん、私もあんな感じですか?」

「ナナ、自分から誘うなって言ったよね。コウタ君、据え膳でも我慢は必要だよ!」

「ほう、コウタ坊もやるねぇ」


 オイ!

 さっきまで気配も影も形も無かったはずなのに、ナンデ皆で俺とナナのキスシーンを鑑賞しているんですか?

 チエちゃんに居たっては影分身で多方面からハイビジョン撮影するんだもん。


「コウタ様、すいません。主の命にて色々やってしまいました」

「オレも人間のラブシーンっての見たかったし」

「ナナちゃん、ゴメンね」


 チエちゃんと「朧」さん、「(ランス)」さん、カズヤ君達のコラボかよ。


「もー、皆! ボク、恥かしいよぉ!!」

「頼むから俺達、そっとしてちょーだい!!」


 こんな感じで、強襲前夜は盛り上がった。

 俺達を肴に盛り上がらんでも良いよ(泣)


いよいよ、リタちゃんを救うべく、強襲準備です。

しかし、どうやっても悲観的にならずに、コメディ調になってしまうのは、筆者の脳みそがコメディなのか、チエちゃんやナナちゃんが可愛いからか(笑)。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。

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