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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
251/272

第251話 康太の魔神退治:その42「魔神王、消滅の危機に恐怖す!」

「一体、だ・れ・が、バばぁ、ですってぇ!!!」


 魔神王によって年増発言をされたマユ姉ぇ。

 数万年単位で生きている魔神王からの年齢発言、それは発した魔神王にとって死刑宣告。

 自殺を願ったに等しい発言だ。

 ただでさえ、杏ちゃんが胎内にいるので体調不安定で機嫌悪い上に、リタちゃんを誘拐されて絶対奪還しなきゃならない原状で負けてやらない上に禁句を言う。

 もう最大級の怒りであろう。


「う、うわ、ウァァァァァァ!」


 一応、まだ理性があったのと事前打ち合わせをしていたので、マユ姉ぇの殺気は前方に集中していた。


「こ、これは一体」

「なんじゃ、こりゃぁぁ!」

「いくら慣れていても母様(かあさま)の怒り波動は効くのぉ」

「すいません。私、近衛兵を連れて隠れさせていただきますです」


 悪魔の方々、マユ姉ぇのお怒りに晒されてピンチ。

 (おぼろ)さんは、上位悪魔(グレーターデーモン)の近衛兵方と一緒に異空間へ一目散に逃げた。


「これで指向性なんだから、おっそろしいや」

「うん。王様、死ななきゃ良いけど」


 俺は防御結界維持を優先して、突きを中止した。

 もう王は一歩も動けまい。

 本体含めてマユ姉ぇの威力範囲内。

 以前、マユ姉ぇを悪魔の母星で怒り爆発させたら大変になるとは思ったけど、現実にやっちゃうとはねぇ。


「し、しぬぅぅぅ!!」


 そう言って分身体は砂と化す。

 本体の王様も結界を貼る余裕すらない。


「ア・ナ・タ! もう一度言って御覧なさい。誰が、年増のバ・バ・ァですってぇ!!!」


 どんどん王の巨体の前に歩み近づいてゆくマユ姉ぇ。


「ゴ、ご、ごめんなさいぃぃ!」

「え、ナニがごめんなさいですってぇぇ!」


 最初の計画では、突きで脅しつつ、マユ姉ぇには軽く怒りの波動を送ってもらって、その上でナナによる泣き落としを計画していた。

 しかし、もはや怒りの化身とかしたマユ姉ぇの前では魔神王ですら、ライオンの前の子猫。

 なお、この戦法、集団戦になりそうな『将』戦では使えないからねぇ。


「た、た、たすけ……」

「貴方、助けて欲しいのぉ。じゃぁ、負けを認めなさいよぉ」


 マユ姉ぇは仮面のような笑みをしながら倒れ伏した魔神王の顔を覗き込む。


「な、なんでヒトにココまでの精神波が作れるのですかぁ?」

「マユコ母ちゃん、こんなにこえーんだ。俺注意しないと」

「そうじゃぞ。これ指向性かつ次元断層と精神防御結界越しじゃからワシら生きておるのじゃ。以前、無差別攻撃された時、ワシ死にそうになったのじゃ!」


 俺の後ろで悪魔達が恐怖に陥っているのを見て、俺はため息を付く。


「ねえ、ナナ。そろそろやめてあげないとマジで王様死んじゃうよね。それに胎教に悪いよ。杏ちゃん無事に生んで欲しいしね」

「うん、じゃあボク止めにいくね」

「お願いね。俺が動くと女王やチエちゃん大変になりそうなもの」


 俺の結界を越えてナナがマユ姉ぇに近づく。


「お母さん、そろそろ許してあげない? 王様ホントに死んじゃうよ」


 ナナはマユ姉ぇの横に立ち、マユ姉ぇの袖を掴んで話す。


「なんで、許してあげないといけないのよぉぉ! リタちゃんの命、かかっているのよぉぉぉ!」


 一応、理性は残しているんだね、マユ姉ぇ。

 王を睨み怒りながらも、怒りの方向性はしっかりしている。

 リタちゃんが助かる切っ掛けあれば、お怒りも止まりそう。


「しょうがないなぁ、お母さん」


 ため息をついたナナは、魔神王の方に話しかけた。


「王様、ボク達リタちゃん、妹を助けたいの。だから絶対『(ジェネラル)』さんのところまでいかなきゃいけないの。だからね、お母さんに謝って負けてもらえない? このままだと王様も大変な事になっちゃうの。ボク、殺し合いなんてしたくないし、王様とも仲良くなりたいの。だってチエ姉ぇのお父さんだもん」


「お、オマエはナニを言っている。戦いは殺し合いだぞぉ。負けたらお終いだ!」


 魔神王は、まだ強がりを言う。


「そうかなぁ。今回は殺し合いじゃないお遊びでしょ。それに一回負けても次負けなきゃいいよ。もう一回負けても次。生きていたら何回でも挑戦できるし。それに仲良くなったら何回でも遊べるよ」


 ナナの発言に眼をパチクリする魔神王。


「な、ナニがいいたいのだ!?」

「うん、王様。ボク達と仲良くなって、お友達になりませんか?」


 にっこりと「ひまわり」の笑顔での「爆弾」を撃ちこむナナ。


「きゅぅぅぅ」


 それが「致命傷」になったのか気絶する魔神王。

 上から下から連続攻撃では、精神生命体である悪魔では、どーにもなるまい。


「あら、王様大丈夫! お母さん、もうやめて、王様死んじゃうよぉ!」


 ナナに大きく揺すられた上に、魔神王がダウンしたのを見たマユ姉ぇ、やっと怒りを解く。


「もう困ったヒトねぇ。私を怒らせるだけ怒らせて、勝手に気絶しちゃんだもの」


 右掌を頬に当てて「困ったわぁ」ポーズをするマユ姉ぇ。

 その姿を見た女王以下デーモン達は、恐怖に表情をゆがめていた。


「お、おそるべし、地球人類。地球には今後手出し厳禁ですぅ」

「俺、絶対マユコさん怒らせないぞ」

「母上、そういう事で宜しくなのじゃ」


 うーん、マユ姉ぇを地球人類の基準にされたら困るんだけど、この場合誤解してくれていた方が良さそうだから、放置しましょか。


マユ姉ぇとナナちゃんの親子ダブルパンチで気絶してしまった魔神王。

ホンに恐るべきは、天然による精神攻撃なり。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。

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