第250話 康太の魔神退治:その41「魔神王との戦い!」
「さて、オマエらごときに全力で当るのも大人気ないわい。この分身体を相手するが良い。これでも魔神将なんかよりは圧倒的に強いぞ!」
そういう魔神王は2mくらいのプチロードを作り出して、俺達の前に立たせた。
まあ、これなら最悪ブチ殺しても問題はあるまい。
ただ、俺の魔剣すーさんで切っちゃうと、本体も切れるんだよなぁ。
「すーさん、手加減モードで本体に影響なく分身体を切れない?」
「そこは、モード切替すれば大丈夫だぞ」
「なら、全力でぶった切れそう」
「おう、早く来いよ。ワシの力を見せ付けてやるぞ!」
ぶんぶん腕を振り上げつつ準備運動をする魔神王の分身。
「じゃあ、『槍』さん、チエちゃん、朧さん。俺と一緒に前衛宜しくね! マユ姉ぇとナナは後方支援宜しく」
「おー!」「のじゃ!」「御意!」「ええ!」「うん!」
「槍」さん、悪魔形態のチエちゃん、朧さん、そして俺は魔神王に飛び掛った!
◆ ◇ ◆ ◇
「ふぅふぅ。流石分身とはいえ、魔神王だよねぇ」
「ここまで父上強いのかよぉ。分身で即死技使わねーでコレとはなぁ」
「流石は王、お見事です」
俺達は息を切らせつつ、眼の前の魔神王を見た。
「ほれ、まだワシは10%も力出しておらんぞ。これでおまえらの望みは適わないのだ!」
まだ余裕綽綽の魔神王、俺達を右手人差し指でちょいちょいと挑発してくる。
くそうぅ。
俺達はリタちゃんを絶対救わなきゃいけないのに。
「父上は流石見事なものじゃ! ただ、策はあるのじゃ!」
そう言って俺に接触テレパスをする。
・
・
了解!
「『槍』さん、チエちゃん、朧さん。10秒だけ前衛お願い!」
「お、おう!」「のじゃ!」「御意!」
俺はステップバックしてマユ姉ぇとナナに触れた。
◆ ◇ ◆ ◇
「へー、ここが『すーさん』の中なんだ!」
「私は二回目ね。コウちゃん、さっきチエちゃんが策を教えてくれたのよね」
俺は、マユ姉ぇとナナの精神を魔剣すーさんの作る異空間へ案内した。
「うん、そうなんだ。ここならゆっくり作戦会議できるからね」
「そうなのじゃ!」
そこに急に現れるチエちゃん。
「チエちゃん! 一体どうやってここに来たの?」
「そんなの分身に戦わせておるに決まっておろう。こちらでは思考力だけあればイイのじゃ。あっちに魔力大目に残しておけば、一瞬で終わるのじゃろ?」
チエちゃんのデタラメさには今更ながらだけどね。
「で、策なのじゃが、……」
チエちゃんから驚愕な策が話される。
「母様とナナ殿には負担掛けてしまうのじゃ!」
「相変わらず、身も蓋も無い作戦だねぇ」
「えー、チエ姉ぇ! えっぐーい! ボクは良いけど」
「そうねぇ。確かにそれならたぶん勝てるけど良いの?」
「まあ、父上は当分寝込むであろうなぁ。母上は爆笑するであろうよ」
さあ、作戦開始だ!
◆ ◇ ◆ ◇
「ただいま!」
俺はまた前衛に戻り、「槍」さんと朧さんに一瞬触れる。
「ヱ!」
「それはまた!」
2柱は一瞬顔を顰めるも納得してくれたのか、防御気味に少し下がる。
チエちゃんも防御の構えを取る。
俺は彼らの前に進み、魔神王を睨む。
「ほう。今度は1対1を所望か。確かにオマエの魔剣は恐ろしいな。ワシの結界を越えて手傷を負わせておる。じゃが、使い手が未熟! それでワシに勝てるとでも?」
「そうだね、普通じゃ勝てないよね。そうそう動かないでよ。外したら死んじゃうよ!」
「ん?」
次の瞬間、魔神王の頬から血が激しく吹き出る。
それは戦っている分身だけで無く、本体もだ。
そして分身体の後方にすさまじい魔力ソニックブームが起きた。
「なんじゃ、こりゃぁぁ!」
魔神王は驚愕する。
いヨシ!
「将」にも決まった超接近技決まったぞ。
「良かったね。ヘンに動いていたら、首飛んで即死だったよ。もう少しじっとしててね。さあ、行くよぉ!」
さて、これで足止め成功。
1対1になったという油断を付いた攻撃を通して、恐怖を刻み込む。
俺は、魔神王分身体の身体すれすれに連続で突きを打ち込んだ。
邪神ですら掴みきれない魔剣の瞬間移動を使っての、超接近の突き。
それは薄皮一枚ずつ魔神王の身体を削る。
分身体だけでなく本体も。
「な、一体オマエはナニがしたいんだぁ!」
恐怖に一歩も動けない魔神王。
実は分身体消したら良いのに、頭が回らないらしい。
「俺の役目は足止めだよ。ではマユ姉ぇ、宜しく」
「ええ、まかせてね」
にっこりとしながら魔神王の前に進むマユ姉ぇ。
「私、絶対娘を取り返したいのよ。だから負けてくださらない?」
「な、なんでワシが人間ごとき、それも若作りの子持ちババァに負けてしまわねばならぬのだ」
はい、死亡宣告自分でしちゃいました、王様。
王ともなると生体年齢を感知できるのか、マユ姉ぇの年齢見抜いたらしいけど、それが致命傷になりました。
さて、俺突きしながら防御できるかな。
「すーさん、俺の前面に精神防御結界、5重の大き目でお願いね。女王、御付の方々。俺の後ろに来た方が良いですよ」
「ほいよ!」
「母上、急ぐのじゃ。マジでワシら消滅の危機なのじゃ!」
「え、はい」
チエちゃんの叫びに女王、「槍」さん、御付の近衛上位悪魔女性が俺の後方へ移動した。
「だ・れ・が、バばぁ、ですってぇ!!!」
そして、マユ姉ぇの怒りの全力殺気が放たれてしまった。
最初の策よりも最悪の結果を選んでしまった魔神王。
ご愁傷様です。
もしかすると女王は、ここまで読んでいたのかもね。
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