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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝

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第246話 康太の魔神退治:その37「強襲ルートの確保!」

「次の議案は、移動ルートの確保じゃ。これは『(ランス)』に頼むのじゃ!」

「なんで俺なんだ?」

「オヌシ、どうやって母星から地球に来ておるのじゃ?」

「そりゃ、南極のゲート使ってだけど」


 南極、狂気山脈の奥、「古のもの」遺跡にある秘宝の間、そこに魔剣すーさん(シャドウスマッシュ)と一緒にあったのが、転送門だ。


「オヌシ、ちゃんとヒラム殿に使う時に礼を言っておるか? いかなデーモンとも言えど礼儀は大事じゃぞ」

「一応、通るたびに挨拶はしてるぞ」

「なら、イイのじゃ!」


 「古のもの」ヒラムさん。

 怖い外見だけど、中身は良いヒト。

 ナナやリタちゃんを可愛がってくれている。

 俺も随分と助言などしてもらっている。


「まずは南極から母星に飛ぶのじゃ。そしてそこからアルフ星に飛ぶのが間違いないのじゃ!」


 確かに座標も分からない数十光年以上先の場所に、いきなり転移は難しい。

 なら、既に使われているルートを使うのが間違いない。

 それに、ここは「(ジェネラル)」としても今後も使う以上封印するのは難しいルート。


「でも、そのルートはバレバレでしょ。多分そこしか侵入ルートないから」

「じゃから、このルートを使うのは囮部隊じゃ。奪還部隊は、母上にでも新規ルートを作ってもらうのじゃ」


 それなら奇襲可能だけど、別の問題があるね。


「そうだとしたら今度は、チエちゃんがお母様とかお父様に会う必要があるんじゃないの?」

「それは元々予定しておったのじゃ! いずれは会わねばならぬ。すまん、母様、コウタ殿。今度一緒に母上に会うのに付いてきてくれぬか?」


 チエちゃんは苦しそうな顔で俺とマユ姉ぇに頭を下げた。


「うん、良いよ。ね、マユ姉ぇ」

「ええ、お母様とかには一度お会いしてお話したかったですし」

「ボクも付いてくよ! チエ姉ぇの妹としてお話したいもん」


「ああ、母上はマユコ殿に会ってみたいと言ってたぞ」


 へー、魔神女王(デーモンクィーン)がマユ姉ぇに会いたいって面白いね。


「『槍』さん、じゃあ道案内宜しくね」

「ああ。ただ、問題は父上だな。この間までチエの抹殺命令を出していたからな」


 魔神王(デーモンロード)かぁ。

 絶対魔神将(アークデーモン)「将」よりも強いんだから、敵に回したくは無い。

 でもチエちゃんを害するのなら、なんとかしないといけない。

 ここは話す事を考えないと。


「そこは母上に頼るしかないのじゃ。時間があまりにも無い。『槍』や、すまんが早速帰ってもらって母上と話を、アポ取りつけて欲しいのじゃ」

「分かった。マユコ、リタを取り戻した後の美味しい料理、楽しみにしてるぞ!」

「ええ、まかせてね。お鍋とかなら教えてらった猪鍋も良いわよね」

「それ、すごく旨そうだな。じゃあ、またな!」


 そう言って「槍」さんはテレポートした。


「さあ、他の皆も忙しくなるのじゃ。今晩はゆっくり休んで明日から動くのじゃ!」

「おー!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


 夜、どうしても寝付けなかった俺は、袢纏を羽織って保養施設の庭に来てみた。

 そこは戦闘の影響でガタガタになっていたが、イスは無事にあったので座ってみた。


「うわぁ、寒いなぁ」


 寒空の中、煌々と明るい月。

 もう年末、後4日でお正月になる。

 寒くても不思議じゃないね。


「よし、お正月は絶対リタちゃんも一緒だ!」


 俺は、リタちゃん達と一緒に迎えるお正月を想像してみた。

 皆の振袖姿なんて良いよね。

 着付けするマユ姉ぇには大変だけど、華やかなのは眼の保養になるし。


「ん? あれ、あそこまだ照明付いてるぞ」


 既に深夜2時、誰も彼もが寝ているはずの時間。

 俺は気になって、そこの部屋に近づいてみた。


「リタ殿ぉ、すまん。すまんのじゃぁ! ワシが全部悪いのじゃぁ!!」


 それはチエちゃんの泣き声。

 影を見ると、机の前に座っていて一生懸命書き物をしているように見えた。


「待っておれ、絶対ワシが命に代えてでも連れ帰るのじゃ。皆で初詣を着物着て遊ぶのじゃぁ」


 ダクダクと泣いているであろう声で計画を練っているのだろう。

 しかし俺と同じ考えなのが嬉しいというか。


「アレ? コウ兄ぃも起きちゃったの?」


 俺は後ろから掛けられた声に振り向く。

 そこにはパジャマの上にカーディガンを羽織ったナナが居た。


「ナナこそ、どしたの? 寝られないの?」

「うん、最近ずっとリタちゃんと抱っこしあって寝ていたから。一人じゃ寂しいの」


 俺は、寒そうにしているナナを抱き寄せて、羽織っていた袢纏の中にナナを向かい入れた。


「あ、暖かいね、コウ兄ぃ」


 そういうナナの背中越しの体温も暖かい。

 ほんのりと甘い匂いもする。


「チエ姉ぇ、泣いてるね」

「うん、責任感じちゃっているんだよね」


 俺は、胸の前にいるナナを強く抱きしめた。


「コウ兄ぃ?」

「絶対、お正月は皆で一緒に過ごそうね」

「うん!」


 この腕の中の暖かさを守るのが、俺の戦いだ。

 絶対勝つぞ!


「コウ兄ぃ」

「ん? どうしたの?」


 ナナが俺の方に向きなおす。


「ボクやリタちゃんを絶対守ってね」

「ああ、絶対ね」


 そしてナナは眼を瞑り、つま先立ちをする。

 俺は、自然な流れでナナにキスをした。



 なお、後日チエちゃんは(うめ)いたそうな。


「コウタ殿からした初キス映像を逃したのじゃぁ!!」

とうとうコウタからナナにキスしました。

まあ、据え膳でしたし、チエちゃんも攻略計画作成で忙しくて見ていなかったし。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。


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