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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
231/272

第231話 康太の魔神退治:その22「知らん振りは出来ないよね」


 ヘレナさんは、最後(リーアさん)に謝りながら消えた。

 彼女がチリになって消えるとき、何か光っぽいものが見えた気がする。

 もしリーアさんが迎えに来てくれていたとしたら、同じところへ逝けたのかも知れない。

 俺は両手を合わせて冥福を祈った。


「さて、しんみりしている暇はないのじゃ! ここから撤退するかどうか決めるのじゃ!」


 そう言いつつ、少し涙ぐんでいるチエちゃん。

 ヘレナさんが行った行為は許されざるモノではあるけど、その冥福を祈るくらい良いよね。


「すいません、お忙しいので連絡していませんでしたが、先ほどのお姉様の攻撃で監視システムの一部が大破、隔壁や閉鎖ブロックの電磁鍵が解除されてしまいました。そして閉鎖ブロックから魔獣やらが脱走して所内で暴れ始めています」


 コトミちゃんから連絡が入る。

 先ほどのマユ姉ぇの攻撃は、会議室をぶち抜き、隔壁も抜いて、さらに研究所が埋まっている山すらも貫通した。

 その途中で人が居るブロックは巻き込まなかったけれど、予備電源室とか制御ケーブルラックやらも消滅させたらしい。

 結果、一部隔壁が解放されて、解放されてはならないモノが出てきちゃったっぽい。

 さっき、ヘレナさんが解放しろって言っていたのも多分ソイツらだろう。


「携帯端末にそれらしきヤツらの現在位置を転送しますので、撤退ルートの選定に使ってください」


 俺たちが侵入に使ったポータルユニットは、コトミちゃん達が持っている。

 撤退するには、彼女たちと合流したら終わりの話。

 しかし、このまま魔物を放置すれば、マユ姉ぇがぶち抜いた穴から外に出て大変な事になる。

 そして魔物に対処できる研究員とかは多分全部俺達が退治しちゃっただろう。


 となると、後始末できるのは俺達だけ。


「チエちゃん、これこのまま放置って訳にはいかないよね」

「うみゅ、外道な研究員共がどうなろうと自業自得じゃが、ここから出て一般市民を襲う危険性もあるのじゃ。どうせコウタ殿の事じゃ、倒すとかいうんじゃろ?」


 やっぱりチエちゃんには俺の考えお見通しなのね。


「ちなみに、思考なんぞ覗き見なぞしておらんぞ。コウタ殿は考えがすぐに顔に出すぎるのじゃ。コウタ殿には騙しあいとかポーカーフェイスは無理なのじゃ!」


 はいはい、単純バカのお人よしでごめんなさいね。


「でも、だからこそワシは無条件にコウタ殿を信用しておるのじゃよ。表裏のある付き合いなど、家族には不要じゃ!」

「うん、ありがとうね、チエちゃん」

「でも、少々は気をつけねば簡単に騙されるぞ」


 ニヤニヤ笑いで注意してくれるチエちゃん。

 家族というのは、俺達が以前チエちゃんに言った言葉だけど逆に言われるとうれしいね。


「まあ、コウちゃんならそう言うわよね」

「当たり前だよ! だってボクのコウ兄ぃだもん」

「こうにいちゃん、すごいもん!」

「兄貴ならやってくれるさ!」

「まあ、こうなりますよね。シンミョウ大丈夫? まだいける?」

「はい、大丈夫ですぅ。殆ど力を使っていませんからぁ」

「そりゃ、コウタ君はオレやアリサの為に泣いて怒ってくれるんだから、こうなるか」


 他の皆も同意してくれるのはありがたい。

 というか、こちらもおれの行動を予測していたんだね。

 俺、どんだけワンパターンなんだろう。


「先輩はしょうがないですよ、とんでもない『お人よし』ですもの。では、こちらからナビしますね。暴れている魔物ですが、ジャバウォックが6体。これは皆さま一対一で倒せますよね。問題は、邪神もどき。これが2体います」


 コトミちゃんが制御センターから情報を個人端末へ送ってくれる。

 しかし人工邪神がいるのかよ!


「映像を見ますと、幸い明確な意思はないっぽいので、ただ強いのだけかと。たぶん神様降ろし出来なかった失敗品でしょうね」


 失敗品とは言え、あの「這い寄る混沌(ナイアルラトテップ)」のコピー。

 簡単には倒せない。

 その上、マユ姉ぇが体調不良でおそらく今日これ以上は戦えない。

 俺が確実に倒すしかない。


「じゃあ、俺が邪神もどき相手するよ。チエちゃん手伝いお願いできる?」

「了解なのじゃ! ちょいとホンキで行くのじゃ!」


 これで邪神相手はなんとかなりそう。


「ジャバウォックは残りの皆でお願いできる? あと、マユ姉ぇは無理しないでね」


 マユ姉ぇ、確かにもう立ち上がっているとはいえ、決して顔色は良くない。


「え、もう大丈夫よ。私がやらないとコウちゃんや他の皆きついでしょ?」

「お母さん無理しちゃダメ!」

「うん、おかあさん。おとなしくして!」

「ワシが見ても母様(かあさま)は無理じゃぞ。ここで無茶したら、せっかくの新たな命が失われるのじゃ!」


 娘たちにやめてと懇願されるマユ姉ぇ。

 あれ? チエちゃん今マユ姉ぇの耳元でナニ言ったの?

 後半が珍しく小声だったから、俺いまいち聞き取れなかったぞ。


「あら、チエちゃん、分かっちゃったの? しょうがないわね、じゃあ楽させてもらうわ」


 一体何が分かったんだろう?

 何かマユ姉ぇの表情、嬉しそうだったんだけど。


「マユ姉ぇは、無理せずナナやリタちゃんのフォローしてね。タクト君、いつもより前衛気味で俺のフォロよろしく!」

「兄貴、まかせておけ!」


 さあ、怪物退治第二ラウンド開始だ!

お人好しなコウタ、財団の尻拭いまでしちゃいます。

後、マユ姉ぇにイイ事あったみたいです。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。


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