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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
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第213話 康太の魔神退治:その6「戦闘終了の後始末はいつも大変」

「コウちゃん、この人達はCIAの不正規戦闘員よ。そしてさっき貴方が倒したのは、マキちゃん達を殺したのと同種の魔物よ」


 婆ちゃんの言葉は、俺にとって全く想定していないものだった。


「じゃあ、まさか母さん達を殺したのは、こいつらか!!」


 俺の中で一旦落ち着いた殺意が爆発的に膨れ上がる。

 コイツら、許さない!

 細胞の一片たりとも、この世界から消滅させてやる!


「コウちゃん! 落ち着いて! こんな愚か者でコウちゃんの手を汚す事は無いわ。それにコイツらは同じ組織に組するだけの使いっぱしり。殺したところで、向こうは口封じの手間が省けたと喜ぶだけよ!」

「コウ兄ぃ、ボクの方を見て! そんな怖い顔しないで!」

「こうにいちゃん、やっちゃだめー!」


 俺が魔剣を振り上げた時、マユ姉ぇとナナ、リタちゃんが俺に向けて叫んだ。

 ……、え?

 俺はふと漆黒の刀身に写る自分の顔を見る。


「俺、こんな顔しているんだ……」


 刀身に写る顔は、両目から涙を流しつつも怒りに狂い、狂戦士にも見えた。

 そして、俺はナナ達の方を見た。


「コウ兄ぃ、もう大丈夫。お爺ちゃん達を襲ったヤツらの残りはボクとチエ姉ぇ、(おぼろ)さんで全部倒したよ。もう戦わなくて良いんだよ」


 俺は、振り上げた剣を下ろし、手に持つ魔剣と座り込んで失禁して恐怖に歪んだ顔の男を見た。


(マスター)、もう大丈夫だ。周囲の狙撃兵も全部倒されておる。後は、こいつらをしょっ引いて、全部白状させて本当の(かたき)を討つだけだ」

「そうか、そうだね。ごめん、(みんな)。俺、また闇に囚われるところだったよ。ありがとう、ナナ」


 俺は、心の中の「トリガー」を元に戻し魔剣に謝って、いつもの表情のつもりになってナナに微笑んだ。


「そう、コウ兄ぃには怖い顔似合わないよ。いつも笑っててね」

「うん、おにいちゃんはそーでなくちゃ!」


 あら、いつもと逆に言われちゃったよ。

 でも、ありがとうね、ナナ、リタちゃん。


「さて、後はコイツらの扱いじゃな。おう、ようやく来たのじゃ!」


 チエちゃんがそう言うのと同時に、いつも俺達を乗せてもらっている公安の車が現場に到着した。


「皆さん遅れてすいません。大丈夫でした……様ですね。しかし、こりゃまたスゴイ惨状ですね」


 イイ加減寒いのに頭髪薄い頭から湯気立てている寺尾室長である。


「兄貴、遅くなってゴメン。寄り道して人回収してたら遅くなっちまった」

「あら、出だしが遅かったのでしょ。言い訳し無い方が良いですわよ。しかし、お見事ですわね」

「そうだ、タクト。私は別に遅くなかったぞ」


 タクト君は遅くなった理由を連れ人回収と言っているけど、どーなんだろう?

 その人達は出だしが遅かったと言っているけどね。


「しかし、この方々の装備見ますとPMSC(民間軍事会社)系ですわね。あら、このヒト見覚えがありますわ。確か、研究所に大分前に出入りしていた方ではないですか?」


 最近、毎日ゲートで来日しては深夜アニメを満喫しているクロエさんである。


「そうなのか? ん、私もコイツがマスターの処に出入りしていたのを見たぞ」


 フランツ君もまだ日本に在留中で、正式に帰国できるようパスポートを取得中だ。

 まあ、帰るだけならゲート使えば良いんだけどね。


『ひぃぃぃ、ん? なんで、お前らがこんな所にいるんだぁ!? 俺は何も知らないぞ!』


 うん、英語だけど、ニュアンスで言っている事は分かる。

 そりゃそうだ、本当ならアメリカにいる人物が日本に居て、なおかつ襲撃対象と関係あるとは思うまい。

 世の中案外狭いのだ、バカめ。


「コヤツ、もう自白したも同然じゃな。なるほど、魔獣の頭脳にコントロールチップを埋め込んでコントロールしておるのか。エゲつないのぉ」


 チエちゃんは、俺が倒した怪物の遺骸をつんつんしながら話す。


 情報を総合するに、爺ちゃん達を襲った集団は騎士団や米国軍部と関係あるCIA辺りの不正規戦闘(ゲリラ・テロ・誘拐等通常以外の戦闘)部隊、たぶん雇われ民間軍事会社という事か。

 じゃあ、邪神製造したグループの下請けかよ。

 案外、俺達の前に早く現れたものだな。


「コウタ、すまない。我の予想よりも事態は不味いらしい。こんなに早く邪神製造組織と出会うとは」

「すーさん、しょうがないよ。まさか友好国に喧嘩売る程アメリカがバカとは思わないものね」


「皆さん、ご無事でなによりです。今、所轄と消防がこちらに向かっています。ややこしい事は中村警視が対応してくれますので、皆さんは私達と共に一旦帰りましょう。」


 アヤメさんが周囲を確認後、俺達にこの場所から去ることを提案する。


「そうね、お父さん達、一旦ウチに来ませんか? ここよりは防御も確実ですし」

「そうじゃな。ホテルや警察に行くよりは安心できるわい。それに幼子もおるしの」


 マユ姉ぇの答えに、爺ちゃんは青年に背負われた金髪の幼女の方を見た。


「え、その子は? ん、あら、もしかしてスー君なの?」

「その呼び方は、マユお姉ちゃん?」


 幼女を背負った青年とマユ姉ぇは面識があるらしい。


「マユ姉ぇ、彼は一体誰なの?」


 マユ姉ぇは少し曇った顔をして俺に話す。


「スー君、ススム君は、コウちゃんの両親、マキエお姉ちゃん達が最後に救った子なの」

過去、ベトナム戦争とかで米軍が不正規戦争をしていたらしいですね。

怖い怖い。

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