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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
209/272

第209話 康太の魔神退治:その2「トラウマ治療2」

「そうよ。人助けに理由求めだしたら良くないわ。助けたかったから助けた。それでいいじゃないの。別に自分本位で助けたって良いの。あと、もしかしたらコウちゃんが本当に助けたかったのはコウちゃん自身じゃない?」


 俺は爺ちゃんや婆ちゃんの言葉を聞いてハッとした。

 俺が、本当に助けたかったのは誰だ?

 助ける理由なんて考えたのか?


 ナナ、リタちゃん?

 それは何があっても絶対守るもの。

 俺が帰る場所であり、俺より小さくとても暖かいもの、


 カオリちゃん、ケイコちゃん?

 依頼仕事で知り合ったけど、知ってしまったら助けずにはいられない。

 今は2人が仲良く大学入試に挑んでいるのが良かった。


 チエちゃん?

 最初は、孤独で助けを求めていたよね。

 今になれば俺にとってマユ姉ぇ同様に守ってもらっている。


 コトミちゃん?

 彼女も色々あったけど、俺は助けになっていたかどうか。

 最近は俺が随分助けてもらっている。


 ルナちゃん?

 俺はあまり役になっていないけど、無事家族の元に帰られて良かったよ。


 リブラ?

 アイツは自業自得、けどもっと良い解決策はあったのか?


 マユ姉ぇ?

 俺は、逆に助けてもらってばかりだ。


 ・

 ・


 まさか自分自身?

 俺は、俺自身を誰かに助けて欲しかったのか?

 もし両親が死ななければ、俺は今も親孝行出来ていたはず。

 そして幼い頃、いくらマユ姉ぇや爺ちゃん婆ちゃんが居ても寂しく思わなかっただろう。

 そして俺は助けたかった昔の幼い自分の代わりに、他の人達を助けて安心していたんだ。


 俺の眼から涙がこぼれる。


「あ、俺」


 俺の眼からボロボロと涙が出て止まらない。


「コウ兄ぃ、無理しなくて良いんだよ。泣けるときに泣いたら良いんだよ、ね」


 ナナがそう言って俺の顔を胸に抱く。


「うわぁぁぁあぁ」


 俺の中で溜まっていたモノが噴出してくる。


「ナナ、俺、どうしたら良かったんだろう。ナナやリタちゃんを助けたの、自分を助ける代わりだったのかもしれないよぉ」


 俺の中で罪悪感が渦巻く。


「こうにいちゃん、わたし べつに それでかまわないよ。だって、おにいちゃんは わたしの いのちのおんじん。おにいちゃんに あってなかったら、わたし いまここでわらっていないもの」


 リタちゃんは、俺の背をさする。


「そうだよ、どんな思いで助けても良いじゃないの。力にしたって、どんな力かよりもどう使うかなの。悪の力だって正しい思いで使えばいいの」


 ナナは、俺の顔を薄い胸に押し付ける。


「そうじゃ、自己満足バンザイじゃ。まず自分を救わずして他人は救えぬのじゃ! 自分を大事にして何が悪い? 自分を守る為に人を助ける? 結構なことじゃ! 一石二鳥、誰からも文句も出まい。コウタ殿、お主は自分を否定してはダメじゃ! お主が自分を否定したら、助けられたナナ殿達はどうするのじゃ! かっこ悪くてもいいのじゃ! ナナ殿の王子様として足掻くのじゃ!」


 チエちゃんも俺の横に来て、俺を撫でてくれる。


「コウちゃん、今まで貴方の心の傷、気が付かなくてごめんなさい。私お母さんだったのに気が付かなかったわ。コウちゃん、随分無理していたね」


 マユ姉ぇも俺を抱きに来てくれる。


「俺、俺、良いの? 自己満足で人助けしていいの? こんなに弱くても良いの?」

「コウ兄ぃ、いいよ。ボク、いつまでも横に居てコウ兄ぃの事守るから」


 え、それはどういう事?


「ボクも悩んでいたんだ。ボクはいつまでもコウ兄ぃに守ってもらってばかりだもの。でもね、ボク戦うのは苦手だけど、コウ兄ぃの心は守れるよ。何があってもコウ兄ぃの横に居てコウ兄ぃを励まして見守ってあげるの」

「ナナ?」


 俺はナナの顔を見上げた。

 そこには涙を一杯貯めて目からこぼれそうになっている、乙女の顔があった。


「だからね、コウ兄ぃは何時までもカッコイイボクの王子様で居てね」


 え?

 顔を両手で持ち上げられて目の前が暗くなったと思ったら、唇に柔らかい感触。

 この感触は三回目だ。


 ・

 ・


「あぁぁぁ!」


 俺は、びっくりしてナナの胸から飛び起きる。

 涙や黒い思いなんてどこかに一瞬で飛び去った。

 というか、どーして、ここで「キス」しちゃうの!!

 はずかしーよぉ!


「まー、コーちゃんとナナちゃん、そういう仲なのね」

「うむ、孫同士の結婚式か。こりゃオレ、まだまだ元気でいなくちゃな」

「ナナ、ちょっと大胆じゃないの? 毎回奇襲でキスはどーかと思うわ。私はどうだったのかな? 正明さんどうだった、私?」

「おねえちゃん、とうとうおにいちゃんといっしょになるのね。よかった!」

「よし、今回もシャッターチャンスは逃さなかったのじゃ!」

「え、ぇぇぇぇ! マユさん、ナナとコウタ君ってそういう関係だったのぉぉ!!」

「うむ、コウタ(マスター)よ。良かったのぉ!」


 ごめんなさい、俺もう思考回路はショート寸前です。

 罪悪感なんてどこいったの?

 トラウマ、PTSD、それってナニ?

 今回のキスの方が圧倒的に衝撃大きいよ。

 三回も奇襲キスってナニ?

 もう何も考えられません!!!


 ・

 ・


 そして、混乱の中、俺は思った。

 ナナありがとう。

 俺、もっと強くなるね!


コウタを救うナナ

しかし毎回、奇襲キスってのはどうかと思う作者です

コウタ、もっとしっかりしろよ!

え、私はどうだったって?

すいません、著者も晩生おくてで自分からキスなんて、ずっと出来ませんでした。

結婚後もなかなかタイミングつかめずに、いまだに間が悪いと言われてます。


では、ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。

皆様、宜しくお願い致します。


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