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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第五部 功刀康太の女難たっぷりな退魔伝
208/272

第208話 康太の魔神退治:その1「トラウマ治療1」

 これよりコウタの冒険、最終章が開始されます。

 まあ、最終章にならなかったらごめんなさい。

「ほう、これが魔剣か。随分と大きいが、思ったよりも軽いな」


 正蔵爺ちゃんが魔剣影砕き(シャドウ・スマッシュ)を構えて興味深そうな目で見ている。


「コウタ、これ鞘が無いがどうやって運ぶんだ? 金属製じゃないから銃刀法にはひっかからないだろうけど、如何にも怪しいだろ?」

「俺が呼んだら、どこからでも飛んでくるから普段はマユ姉ぇ宅に仕舞ってあるんだ。でも、そうか今日ここから持って帰るのは困ったな」


 11月末、俺はようやく退院をしてその後、大勢による四国「うどん観光パーティ」も行った。

 しかし、まさか「(ランス)」さんが、チエちゃんから人間への化け方教えてもらってついて来るとは思わなかったよ。

 四国中央市、観音寺市あたりから坂出市、善通寺市あたりまでのアニメ聖地及び「さぬきうどん」名店ツアー。

 ついでに何箇所もの寺院にも行って、弘法大師のありがたいお話を存分に聞けたのは俺的にも良かったよ。

 日本文化に疎いフランツ君、そして変な日本文化を知っているクロエさん、地球自体始めてな「槍」さん。

 まあ、ものすごい旅だったけど、とても楽しかった。

 例え国や星、種族が違っていても同じく楽しめるものはある。

 この思いは大事にしたいね。


コウタ(マスター)、ならば我は後から帰るから、マスターは先に家に帰れば良いのでは無いか? マスターが呼べば我は飛んでいけるので、我は大丈夫だぞ。第一、ここはマスターの祖父殿の家、なんら問題あるまい」


 なるほど、その手があったか。

 ちなみに今は12月、秋山の家に色々報告兼ねてマユ姉ぇ達共々来ている。


「そうか、じゃあオレに色々と話を聞かせてくれないか。スゴイ逸話をもっているって聞いているんだが」

「ああ、いいぞ。グランドマスター殿」

「おお、オレ凄くなったぞ」


 爺ちゃん、マスターの祖父だからグランドマスターって呼んでもらって恍惚状態。


「あらあら、貴方。今日は孫娘達は良いんですか?」


 ウタ婆ちゃんはナナ・リタちゃん・チエちゃんに囲まれてご機嫌状態。


「今日はウタさんにナナ達を渡しておくよ。オレは『すーさん』と一杯話す事あるんだ」


 ぷ!

 オレとナナは2人同時に顔を見合わせて笑ってしまう。

 うん、やっぱり俺達のネーミングセンスの無さは爺さん由来だね。


「爺ちゃん、今日は魔剣の他にも話す、いや聞きたい事があるんだ。俺の両親の死因について詳しく教えて欲しいんだ」


 俺の一声で爺ちゃんと婆ちゃんが硬直した。


「コーちゃん、貴方どこまで知っているの? マーちゃん、貴方がコーちゃんに教えたの?」


 婆ちゃんは、青い顔をして俺とマユ姉ぇの顔を見る。


「コウちゃんが自分で思い出した、いや正確には魔剣さんに思い出させてもらったそうなの。私のお母さん宣言含めてね」


 マユ姉ぇは少し寂しそうな笑顔で話す。


「そうなの。コーちゃん、じゃあ貴方はマキちゃんとタカちゃんがどうやって亡くなったのかは知っているのね」

「うん、退魔活動中の殉職ってのは知っているよ。子供を庇って亡くなったって」


 俺、自分を大事にしないからナナに怒られているけど、父さん母さんも自分よりも周囲を大事にしちゃうタイプなんだろうね。

 でも、残った人が悲しんでしまうのは、俺も良く分かった。

 俺自身残されて悲しんだ家族だもの。

 だから、俺はもう絶対無茶はしない、しないつもり、しない……、といいなぁ。


「ええ、その通りなの。あの時現れたのは今まで見た事も無い怪物だったわ。西洋龍(ドラゴン)もどきっぽい外見で、子供ばかり狙って食べるやつだったの。強さとしてはそんなに強くは無かったんだけど、運が悪かったとしか言えないわ」


 俺は、両親を殺した怪物は見ていないので、ソイツに恨みを持つとかは無い。

 それに既に倒されている以上、怒りや恨みの持って行き先にもならない。

 でも家族を失う恐怖は、俺の心の中に深く刻み込まれている。


「記憶どおりなんだね。実は、その時の思いが俺の中でトラウマになっているみたいなんだ」


 俺は爺ちゃんと婆ちゃんの顔を見ながら話す。

 その様子をマユ姉ぇや正明さん、ナナ達は黙って聞いている。


「家族が、誰かが居なくなるのが俺はとても怖いんだ。自分が引き裂かれるような感じがして、いてもたってもいられなくなるんだ」


「それはしょうがないわ。私でも悲しいもの。ダイちゃんが死んだ時もマキちゃんが死んだ時も、自分が替わりにいなくなりたかったもの」


 爺ちゃん婆ちゃんは子供を2人亡くしている。

 俺以上に家族を、それも自分の子供を失っているんだから、傷つき方も俺以上でもおかしくない。


「うん、爺ちゃん婆ちゃんの方が大変だよね。でも、俺の場合それがフラッシュバックしてしまい、自分を失いそうになるんだ。今はトラウマに意図的に『トリガー』として名前をつけて、精神ブーストのパワー源に使っている事でなんとか制御しているんだ。リタちゃんを最初に助けた時もそうだったし、この間の邪神相手にしてナナが危ない時もそうだったんだ」


 リタちゃんはびっくりした顔で俺を見る。

 そういえば、リタちゃんには話して無かったね。

 ナナは、スマッシュさんから聞いているから、表情に変化は無いけど。


「でも、そろそろ使いすぎで不味いかもしれないってスマッシュさんに言われているんだ。エンジン動かすのに車体を燃やしながら走っているようなものだからね。だからここあたりで皆に話して、少しでもトラウマが軽くなったらと思ったんだ」


「そうか、既に何もかも知っているならオレからはもう話す事は無いさ。だが、コウタ! お前が守ろうとしてきた命、助けた命はどうだ? 助けなきゃ良かったか? そんな事ないだろ。だからコウタはトラウマで人を救ったと思わなくていいんだぞ」


「そうよ。人助けに理由求めだしたら良くないわ。助けたかったから助けた。それでいいじゃないの。別に自分本位で助けたって良いの。あと、もしかしたらコーちゃんが本当に助けたかったのはコーちゃん自身じゃない?」


 俺は爺ちゃんや婆ちゃんの言葉を聞いてハッっとした。


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