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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第207話 閑話 デーモン達の憂鬱

今回は、悪魔サイド。

武人タイプの「槍」さんから見たデーモン世界です。

母上(魔神女王)、お呼びですか?〟


 俺は地球から帰還後、父上(魔神王)に「調(サーチ)」の生存報告を行った。

 え、チエの事はって?

 そんなの言う訳ないだろう。

 せっかく面白いオモチャ見つけたのに、壊されてたまるかよ。

 チエも面白いし、その周囲の人間とかも中々面白い。

 どうせ人間って100年くらいしか生きていない。

 アイツラが生きている間くらい放置して問題ねーだろうよ。


〝『(ランス)』よ、よく来てくれました。『調』の生存確認、王から聞きました。実は、その事で詳しく聞きたいことがありまして、わたくし貴方を呼びました〟


 魔神女王(デーモンクイーン)、俺達の母親にしてデーモン第二世代の女性頂点。

 全長5mを越える巨体を俺の方へ近づけてくる。

 母上からは何か甘い、しかし懐かしい感じの匂いがする。


〝少し困った事がおきまして、貴方にお話を聞きたいと思ったのです。すいません、近衛の方々、少し席を外してもらえませんか? 親子の会話をしたいの〟


 母上の命で部屋から近衛の女性上位悪魔(グレーターデーモン)達が下がる。


「さて、ここからは秘密の話なので、念話では無く音声会話をしましょう。部屋には次元障壁を貼りましたから、もう外へ音は聞こえませんから」


 母上は、にっこりとしながら俺に話す。

 母上、身体はさておき、顔は悪魔らしくない、どこかのんびりとした雰囲気だ。

 暴れん坊だった俺は父上よりも母上に怒られた経験が多いが、怒られる時もその表情は優しく、ヘンに激怒されるよりも堪えた覚えがある。


「はい、何を私から聞きたいのでしょうか?」

「あら、そんなに無理して敬語使わなくていいわよ。面倒くさいんでしょ」


 母上、俺の心を読めるんだろうか?

 かなり精神障壁強くしているのだが。

 だって、チエの事は話せないだろ。

 嘘は付けないが、全部本当のこと言わなくても良いし。


「ああ、助かるよ、母上」

「では、まずは『調』の事を詳しく教えてくれないかしら?」


 俺は「調」が地球潜入に失敗し、地元の人間に助けてもらった事を話した。


「あら、それは良かったわ。アノ子どっちかというと一番わたくしに似ているから心配だったのよ」


 確かに「調」の顔や姿形は母上に良く似ている気がする。


「まあ、しばらくは完全回復もしないし、調査任務もまだまだだから、当分は帰ってこないだろうよ。楽しくやっている様だし、アノ星は当分放置でいいんじゃね?」

「あら、そうなのね。楽しそうなら良いわね。王にもしばらく放置と話しておくわ」


 なんで、こんな事で態々俺を呼び出したのだろう。


「で、チエちゃんも楽しそうだったかしら?」

「はい。あ! 母上、どこまでご存じなのですか?」


 俺は、母上の誘導尋問に簡単に引っかかった。

 これはチエから後で怒られるパターンだ。

 今度やるっていう「うどん観光パーティ」とやらに参加できなくなるではないか。


「あら、わたくしをいつまでも騙せると思っているのかしら。良いのよ、チエに隠して欲しいって言われているんでしょ。ココだけの話だから、わたくしに教えてくださいまし」


 にっこりとした表情を変えずに俺に話す母上。

 ものすごく怖いんだが。


 という事で、俺はチエが地元の人間たちと楽しく過ごしている事を話した。


「あら、向こうでもお母さんとお父さん出来たのね。あの子暴走グセあるし、思い込んだらまっしぐらで痛い目見ちゃうのよ。賢いはずなのにポカミスも多いし、悪魔にしては甘すぎだし」

「ああ、実に甘いわ、泣き虫だわ。おまけに人間の崇拝対象にされていて、『拝むのはやめるのじゃ!』とか言っていたぞ」


 俺はチエの母親兼ブレーキ役をしているマユコから聞いた話をした。

 あのマユコ、彼女も母上に似た感じだが、ものすごい力を感じるし、実際一緒に戦った感じでは俺が1対1で戦って負ける可能性がある。


「そうなのね、面白い人々と楽しくやっているのなら、そのままにしてあげたいわね。でも、それが許されないかも知れないの」

「それは一体どういった事だ?」

「あの星に『(ジェネラル)』が手を出し始めているの」


 「将」兄上、猪突猛進が多い悪魔族の中ではチエ程ではないが、(はかりごと)が好きなタイプ。

 この間、チエの下に逃げた(リタ)の母星アルフ星を制圧し、やりすぎに見える虐殺をしたと聞く。

 俺は戦うのは好きだが、一方的な虐殺は嫌いだ。

 それに侵略しても、そこの知的生命体を壊滅させては無意味だ。

 俺達は知的生命体の精神を食らって生きている。

 食物を無くしては意味が無い。

 バカな俺でも気が付く事を何故兄上は分からないのだろうか?

 しかし、この間味わった「愛」とかいう感情、ものすごく美味しかったし、何か胸の中が暖かくなった。

 チエはこれを知ったから、俺達を裏切ったのではないか。

 そう思えてしまう俺も以前からしたら随分と変わったものだ。


「何故に兄上が地球を襲うんだ? アルフ星系もまだ完全制圧できていないだろ? その上虐殺しすぎて星滅ぼしてちゃ意味無いぞ」

「ええ、どうやら『将』はアルフにてナニかを入手したみたいなの。で、次に地球にあるナニかを、そしてチエを求めているらしいわ。そして王を倒す事を考えているみたい」


 なんだって、そんな大それた事を兄上は考えているのか?


「だから、『槍』。貴方がチエに教えてあげてね。わたくしは表立って動けない身ですから」


 そう苦笑いする母上。

 母上の腹から下は巨大な大蛇となっていて、そこの腹部は多くの卵で膨れ上がっている。

 たぶん、母上はこの部屋から出る事は出来ないんだろう。

 しかし、これは一大任務だ。

 母上や父上を助け、そしてチエや「調」を守れる仕事。

 そして地球で大手を振って遊べるんだ、受けない事はありえねー。


「おう、まかせておけよ」


 さて、どんな旨いモノや美味しい心食べさせてくれるのか、これから楽しみだぞ!


すっかりチエちゃんに餌付けされてしまった「槍」さん。

これから、チエちゃん達に振り回されるのでしょうけど、本人が楽しいなら良いよね。


では、もうしばらくお休みを頂いて、12/7より第5部開始します。

これ以降は毎日更新に戻ります。

ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいし新たな話を作る意欲になります。

皆様、ぜひとも宜しくお願い致します。

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