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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第204話 康太は冒険者になる:その53「えぴろーぐ:1」

「おい、コウタ。聞こえておるか?」


 暗闇の中、魔剣シャドウ・スマッシュの声が聞こえる。


「う、あ。はい、おはようございます、シャドウ・スマッシュさん」


 俺は、朝の挨拶をする。

 随分、気持ちよく寝ていた気がする。


「おい、まだコウタは起きておらぬぞ。今はレム睡眠中だ。起きてからいきなりいろんな話をすると混乱しそうだから、先に呼びかけたのだ」


 あら、そうなんだ。


「なら、夢見ているのと同じですね。じゃあ、目が覚めたら覚えていないかも」

「それは大丈夫だ。もう時間の問題で、コウタは起きるからな」


 普通、契約者と契約物とは精神状態が繋がっている。

 だから俺のメディカルも完全に把握しているのだろう。


「では、説明するぞ。コウタが邪神を倒して既に80時間程経過している。もちろん完全勝利だ。コウタが気絶した後、グレイ殿や(おぼろ)殿達によって担ぎ出されて、今コウタが居るのは関東の豊原医師の勤務する大学病院だ。豊原医師は怒っておったぞ。誰も怪我するなと言っていたのにと。後から存分に怒られておくが良い。それとマユコ殿やナナ殿も大怒りだ。皆から叱られて来い。それが自分を大事にしなかった罰だ」


 う、俺何も言い返せないよ。

 そりゃナナを助ける為に全力以上を出したけど、自分の身体の事は考えてなかったし。


「はい、反省してます」

「おい、謝る相手が違うぞ。我はコウタを助けるものであって、ヒトでは無い。心配してくれる相手を大事にするのだぞ」


 ああ、俺って多くの人達に大事にされているんだな。


「まあ、それもこれもコウタが身を張って多くの人達を守ってきたからだ。コウタが皆を大事に思うから、皆から大事に思われるのだ。だから、決して自分を粗末にするでないぞ」

「はい、助言確かに聞き届けます」


 柔らかく俺を褒めてくれる魔剣。

 ホント、ありがたいよ。


「そうそう。もうコウタの方が我の主だ。そう他人行儀に話さなくていいぞ」

「いいの? じゃあ、これからも宜しくね、すーくん」

「なんじゃ、その『すーくん』ってのは?」


 俺が愛称で呼ぼうとすると魔剣は不思議に思うらしい。


「正式にはフルネームで呼ぶけど、普段から仰々しく呼ぶのもナンでしょ。だから愛称って思ったんだけど。『スマッシュ』から『すーくん』って」

「コウタ、お主ネーミングセンス無いのでは無いか? これはマユコ殿にでも相談だな」


 はいはい、俺センス無いよ。

 そういえば、こういうのナナもセンス無かったな。

 俺の脳裏には、最後に見たナナの笑顔が思い出された。

 早く、もう一度ナナの顔見たいなぁ。


「そう慌てずとも、コウタがもうじき覚醒するのはマユコ殿達に連絡済だ。おそらくコウタが眼を覚ますと一番最初にナナ殿の顔を見るであろう」


 なら、良いかな?


「では、残りの時間に聞きたいんだけど、事態はどう解決したの?」

「まず騎士団関連では、師範代理以外は全てバケモノになってしまい、全て退治された」


 邪神に異形の魔物の変化時点で、もうどうにもならないとは思っていたけど、悲しいね。


「師範代理は自分が助かったのと、マスター達の末路を見て観念してグレイ殿達に逮捕されて本国送りになったそうだ。一応口封じされないように、前に保護した騎士団員とともにクロエ殿の研究所預かりになるそうだ。政府高官に邪神がいる以上、何があるか分からんからな。もちろんフランツ殿も同様になる予定だが、彼は日本に居るな」


 アメリカ内部には、何かヤバイやつらが居そうだ。

 これは俺の手に負える問題なのか不明だけど、要注意だね。


「そうそう、邪神。コウタが思った通り、人造の神もどきだった様だ。これはクロエ殿からの続報だが、NSA(国家安全保障局)と国防総省との間で妙な動きがあるそうで、更にCIAやらDHS(国土安全保障省)が動いており、CIAのプロジェクトに該当しそうな案件があるそうだ。グレイ殿はクワバラクワバラと言っておったぞ」


 確かクロエさんは、国防総省関連の依頼で今回の冒険に参加したそうだし、グレイさんも海兵隊だから、上は国防総省だ。

 その上、NSAやらCIA絡みでは何があるか分からないよ。

 アメリカには多くの情報機関があって、お互いに監視しあってややこしいらしい。

 俺もドラマや映画とかで聞くレベルだから、よー分からん。


「人工の神とか作るなんて壮大すぎるし、誰がそんな事考えるんだろうね」

「おそらくアメリカこそ世界を支配するのだという考えで、核兵器の次を考えたのであろう。まあ、当分はコウタには関係ないだろうがな」


 うん、すぐに俺に関係しないよね、……、たぶん。


「グレイ殿達海兵隊も怪我人は続出したものの、全員命に別状は無しだ。魔物相手に無理せずに時間稼ぎしたので、邪神退治後に一気に我らで退治できたからな。もちろん調査隊も大丈夫だ。クロエ殿は、皆に身体内におるデーモンの事を口外しないように話して、そのまま遺跡調査を続行中だ。まあ、毎日日本に来ては深夜アニメ見ているそうだが」


 クロエさん、もう日本アニメ見ないとダメになったのね、困ったもんだ。


「遺跡に関しては、我に関してはコウタのモノ、転送門に関しては日本、というかチエ殿管理下、聖櫃は今回封印が解放されなかったので、そのまま安置。他の遺物はアメリカが多めに持ち帰るで合意が取れたぞ」


 あら、俺が魔剣を取っちゃったから日本の取り分減ったのね。


「日本側が取り分少ないについては、我が皆を救ったので誰からも文句は出ておらんぞ」

「それなら良いけどね。結局、今回一番得したのは俺かな?」

「まあ、そういう事だな。我は一番の宝だからな、えっへん!」


 姿が見えないけど、多分今偉そうにしたんだろうというイメージが魔剣から伝わってきたよ。


「そうそう、四国観光はコウタ殿が復活するまでお預け状態だ。そういう事で、そろそろ眼を覚ますが良い」

「ああ、色々とありがとね。では、向こうでまた一緒に修行しようね」

「おう、まだコウタには我を使いこなせぬ。更なる修行をマユコ殿やコトミ殿と相談しておるから、期待しておけ」

「はーい」


 そして俺の視野がどんどん明るくなる。

 ああ、良かったよ、俺ナナ達皆守れたんだ!


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皆様、宜しくお願い致します。


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