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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第195話 康太は冒険者になる:その44「神器争奪戦8:邪神の暗躍そして脳筋デーモン!」

「新たなる我が主(マスター)となるものは誰ぞ!」


 このややこしい状況の時に限って、より複雑にしてくれるアロンの杖。

 この五つ巴(いつどもえ)になってしまう時に眼を覚まさなくていいよ。

 因みに五つ巴というのは、俺達日本組、海兵隊アメリカ組、騎士団、そしてデーモンに邪神。

 一応日本組とアメリカ組は協同活動中だから、一旦事態が落ち着くまでは共闘してくれるだろう。

 しかし、アメリカと騎士団の上にいるのが邪神「這い寄る混沌(ナイアーラトテップ)」。

 もー勘弁して欲しいよ。


〝コウタ、これは一体どういう状況なのだ?〟


 「古のもの」ヒラムさんが俺に聞いてくる。


「すいません、俺も全貌は理解できませんが、俺達とアメリカ軍は味方、騎士団、デーモン、そして邪神が敵。そして杖が起きちゃいました」


 ざっと俺は現状をヒラムさんに答えた。


〝なるほど、これだけの魔力持ちが一箇所に集合する事はそうあるまい。この魔力を感じて、杖が起きたのだな。これはモーセ以来だな。あのソロモンでは起動できなかったのだが。これでギルガメッシュ、名もなき勇者、モーセに続く4人目の所有者が生まれるのだ〟


 え、なんかものすごく怖い事ヒラムさんが言っているんですけど。

 あのキンピカに紅海を割る人の次ってどういう事?!


〝おい、『調(サーチ)』、これは一体どういう事なんだよ! 俺に説明しろ!〟


「えーっと、あのねあのね、うーん、私分からないの」


 パニック状態で幼児化が進んじゃったサーちゃん、満足に魔神将(アークデーモン)(ランス)」に現在の状況を説明出来ない。


「おい、『槍』よ。今、ワシらが戦っておる状況ではないのじゃ。ワシの処遇については戦闘後でということで、一旦手を組まぬか? ワシらの目の前におる邪神は父上(デーモンロード)クラス、いやそれ以上じゃ。ワシら単独では確実に殺されるのじゃ。ここは一旦手を組むのが得策じゃ! それとワシの事は『|知《ノリッジ』と呼ばず、チエちゃんと呼ぶのじゃ!」


 チエちゃんは「槍」に共闘を持ち寄る。

 現状で、それぞれ戦っていたら確実に俺達は死ぬ。

 それはデーモンも同じだ。

 なら呉越同舟をするのが一番、生き残った後からややこしいことは考えればいいのだ。


〝おい、『調』! 『知』じゃない、チエの言っている事は本当か? 俺は探知応力はそこまでじゃないんだ。確かに目の前のバケモノがスゴイのは分かるのだが〟


 さすが嘘をつけないデーモン、敵にバレたら致命的な事までしゃべってくれる。


「はい、『槍』お兄様、チエお姉様の言っている事は本当です。コイツ、私達デーモンだけでは勝てません。ここにいる人間の方々の助けがあってやっとでしょう」

〝おい、マジかよ。で、ここの人間とやらで俺達に味方するのはドイツらだ? 邪神とかの味方もいそうなんだが〟


 サーちゃんは「槍」を説得してくれる。

 頑張れ、サーちゃん!

 今の混乱状況が落ち着き、「這い寄る混沌」が動き出したら俺達に勝機は無いんだ。


「それはこのコウタ殿と愉快な冒険者達&海兵隊の皆さんじゃ! 『槍』や、頼む。今だけでも良い。ワシらに力を貸して欲しいのじゃ!」

〝ほう、デーモン族で唯一奇策と虚偽を使うチエが嘆願とはのぉ。裏があるのじゃないか?〟


 チエちゃんの嘆願を怪しむ「槍」。

 確かに奇策を好み、虚偽で相手を追い込むチエちゃんの手を知っていたら疑うのもしょうがない。

 でも今だけはチエちゃんを信じて欲しい。

 俺達は運命共同体なのだから。


「『槍』のおにーさん、今だけでいいのでチエ姉ぇのいう事を信じてくれませんか? このままじゃボク達だけでなく、皆死んじゃうの。それはボクはイヤなんだ。お願い、ボクらを助けて!」


 突然ナナが「槍」の前に飛び出して涙を零しながら嘆願をした。

 あまりに急に飛び出すから俺もマユ姉ぇも止めようがない。


「やりのおにーさん、わたしもおねがい。わたしは おにーさんのきょうだいに ほしをほろぼされたの。でも、いまはそれよりも、おねーちゃんやおにーちゃんのほうがだいじなの。だからたすけて!」


 リタちゃんもナナの隣にいって、「槍」に嘆願する。

 本来、親の(かたき)であるデーモンに頼むのだから、かなり複雑な心境なんだろう。

 でもそんな過去の「恨み」よりも今の「家族」を守る選択をしたリタちゃん。

 俺はそんな選択を出来るのだろうか?


〝ほう、オマエは兄上に滅ぼされたエルフ星の生き残りだな。いいのか、オマエは親の敵に頼んでいるんだぞ〟

「うん、いいの。だって、いまは ちえおねえちゃんもいるんだもの」


 リタちゃんは涙目で「槍」を見上げる。


〝よし、オマエらの頼み、聞いた! 人間の感情とは美味しいな。憎しみや悲しみじゃなくて、愛の感情がここまで美味しいとはな。その上、おもしれーぞ! 父上以上のバケモノと戦えるのかよ! レッサー、グレーター、人間を助けてやれ!〟

〝御意!〟


 「槍」はその悪そうな顔に凶悪な笑顔を加える。


「アリガトウなのじゃ! 『槍』よ。ならばワシが最大限ソナタをフォローするのじゃ。これでワシらに負けは無いのじゃ!」

〝おう、デーモン族一の頭脳で俺を補佐しろや! これもおもしれー! 俺の無双を見せてやるぜ!〟


 あれ?

 「槍」って案外話せるヤツなの?


「コウタ殿、急いで戦闘準備じゃ! 混乱しているうちに騎士団から撃破じゃ。今なら一気に弱雷撃で全員倒せるのじゃ。それから邪神退治じゃ! しかし、門を開けてきたのが『槍』で良かったのじゃ。コヤツ、ワシの弟達の中で一番暴れん坊じゃが、戦う相手を宛がえれば案外扱いやすいのじゃ」


 あら、つまり脳筋タイプで強い相手を求めているのね。

 なら、邪神に対しては相手に不足なしと。


「さあ、相談は終わりましたか。で、誰が私と騎士団相手に戦うのですか?」


 余裕を見せて俺達を襲うのを待っていた邪神。

 その余裕たっぷりの顔を崩してやるさ。


「そうだな。俺達愉快な日本の冒険者&アメリカ海兵隊&デーモン軍団がお相手するよ。あ、グレイさん。勝手に言っちゃったけど、大丈夫だよね。今更騎士団に味方しないよね?」

「そんな訳あるかよ。俺にでも判るくらいバケモノ相手ってのがイヤだけどな。でもナナちゃんやリタちゃんの懇願見て黙っていられるほど、オレもバカじゃないさ。フォース・リーコン、Go!」

「サー、イエッサー!」


 遺跡での最終戦の火蓋が今切られる!


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