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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第183話 康太は冒険者になる:その32「遺跡攻略7:海兵隊と仲直り!」

「と、とにかく、お前達の事はよーく分かった。で、お前達は今後どうするんだ?」


 冷や汗が止まらないグレイさん。

 まあ、想像を絶する事ばかり起きたら、人間そうなっても仕方が無い。

 俺達が規格外なのは今に始まった事ではないし。


「俺達は日本国立考古学研究所の依頼で、この遺跡探索の警護お手伝いをしています。研究所の意向次第とは思いますが、おそらくもう少し調査探索を続けると思います」


 俺はグレイさんに「国」からの依頼という事をアピールした。

 一応、敵では無いだろうけど、必要以上に情報を出す必要も無い。

 また、友好国である日本をアメリカが(ないがし)ろにする事もあり得まい。


「そうか。オレ達も似たような依頼を国から受けて調査団の警護をしている。どうだ、お前達の上がイイなら一緒に調査をしないか?」


 グレイさんは、意外な事に共同調査を提案してきた。


「俺個人としてはお受けしても良い気がしますが、雇い主の意向次第ですね。というか、大尉。貴方が勝手に協同作業なんて提案して良いんですか? それこそ、国から怒られますよ。そちらの「上」だと、我が国が独占しべきモノだったのに、とか言いそうですが」

「そうですね。今までのアメリカの傾向ですと、大抵そういう場合は独り占め。他の人は『いなかった』事になりますし。アタシ、そういうのはイヤですよ」


 俺は疑問に思ったことをグレイさんに聞いてみた。

 普通、こんな遺跡で見つかるものは「オーパーツ」に違いない。

 超高度な文明の遺物、そぐわないとか場違いなという意味で「オーパーツ」と呼ばれる品、「古のもの」が使っていただろうモノなら、独り占めしたくなってもおかしくない。

 コトミちゃんも同じように思っている事を言ってくれた。


「そりゃ、上はそう言うだろうな。しかし、聞けばお前達の方が先客だ。その上、オレ達海兵隊武装偵察部隊(フォース・リーコン)を数人で無力化できるヤツラ。なら、味方にしておいて協同作業とまでは言わないでも、横で別途調査をするのを認める方が理性的だろ?」


 うん、そうだね。

 屁理屈だけど、横で日本の調査隊が調査していました、というのまでは上もダメだとは言うまい。

 テロリストや正規軍ならいざ知らず、友好国の国立調査隊を襲えとまでは米軍上層部も言う事はあり得まい。

 現物をどっちが持ち帰るかというのは揉めるかもしれないけど、データの共有化までならお互いに得だ。

 その上、バケモノ退治なら俺達の方が上。

 つまり、グレイさんは俺達をタダで雇おうというつもりだ。


「そうですか。なら、研究調査成果については全て共有、遺物に関しては協議というのが落とし所でしょうか。そちらはタダで俺達をバケモノ退治に雇うつもりですから、遺物もこちらに少々イロは付けて欲しいですけど」

「そうじゃな。ワシが勝手に決めるわけにもいかんが、おそらくソコがお互いの妥協点じゃな」


 チエちゃんが俺の意見を後押ししてくれた。


「ほう、ボウス。いやコウタ君だったな。オレ相手に商売をする訳か。いい度胸だ」


 グレイさんは傷だらけの豪快な顔を、凄みのある笑みで満たす。


「ええ、こちらの切れるカードは、俺達の戦力。なら、それをどう売るかですから」

「アタシとしては、まだ安売りかもってところですが、今回は先輩の顔を立てて起きますか」


 コトミちゃんが予想通り自分達を安売りしていると言ったけど、今回相手を怒らせるのは得策じゃないし、雇い主(金子先生)にしても共同調査が出来るのなら文句はあるまい。

 第一、俺自身この遺跡を調査してみたいし。


「まあ、その辺りは調査隊同士で決めてもらおうや。オレ達雇われだからな」


 ガハハと豪快に笑いながら立ち上がるグレイさん。


「そういえば、お前たち妙に軽装だが、今晩はどうするんだ? ベースキャンプとか設営していないんだろ? 良かったら端っこ使っても良いぞ」


 グレイさんの好意には甘えてみるのも良い気がするけど、そうなると……。


「申し出ありがとうございます。非常に魅力的ではあるんですが、そうなると其方の兵士の方々、明日動けませんよ。今も大分危ない状況ですし」

「うん、お母さん。かなり不味いよね」

「ええ、マユお姉様。ノリノリだわ」


 俺は後方で、恐ろしい事が発生しているのをマユ姉ぇ達の気配で察知していた。

 俺よりも気配に敏感なナナやコトミちゃんは、もっと分かっているだろう。


「え。あ!! 中尉、兵士達にバカ騒ぎするのをやめさせろ! さもないと全員KOされるぞ!」


 俺は怒っているマユ姉ぇを止める自信が無いから、何が起ころうともしょうがない。


「チエちゃん、マユ姉ぇって荒れているね」

「うむ、禁句を言われたのが致命的じゃ。ワシも怖いから止められぬわ」

「あれ、ボクが止めるの? ムリだって!」

「先輩、言っておきますが、アタシ無理ですからね」


 俺は、チエちゃんやナナ達と顔を見合わせてため息を付いた。


「死人は出ないと思うけど、PTSD起こさないといいなぁ」


 戦場でPTSDが起こってしまうのはしょうがない。

 しかし、うら若き(?)女性にコテンパンにやられてPTSDでは米軍上層部も泣いてしまうだろうよ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「なんで止めるの、コウちゃん。やっとエンジン乗ってきて、大怪我させずに気絶させるコツ掴んで来たのにぃ」


 興奮さめやらぬマユ姉ぇ。

 汗と赤い顔がエロいけど、やっている所業を考えれば怖いよ。

 どうやら苦手な手加減を覚える為の実験台に特殊部隊の方々を使っていたらしい。


「あのね、マユ姉ぇ。これから仲良くしなきゃいけない相手をグゥの音も言わないくらい怖がらさせてどうするの? あの人達再起不能になったら大変なんだから。そりゃ手加減の実験台は欲しいかもしれないけど、自重してよぉ」


 俺は、チエちゃんの他ナナやコトミちゃん、他にリタちゃんの協力を得て、なんとかマユ姉ぇの「凶行」を止めた。

 今は、リタちゃんや金子先生の方に居たシンミョウさん、チエちゃんが兵士の方々を心身ともに治療中。

 「女神様が……」とか、「やめてやめて!」とか訳せそうな英単語をブツブツ言っている屈強なはずの海兵隊員の方々。

 ほんと、ごめんなさい。


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