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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第161話 康太は冒険者になる:その10「四国へ出発!1」

「うわー、すっごいの!」


 リタちゃんが車窓にぴったり顔をくっつけて外を見ている。

 今は、瀬戸大橋(せとおおはし)、正確には本州四国(ほんしゅうしこく)連絡橋(れんらくきょう)児島坂出(こじまさかいで)ルートの10個の橋を通っているところだ。


「海の真ん中を通っているのって不思議だよね、コウ兄ぃ」


 ナナも反対側の車窓からがっちり外を見ている。


「うむ、日本の工事技術、なかなか侮れないのじゃ。これが30年以上前に出来たものじゃとはのぉ」


 チエちゃんですら感動して見ているよ。

 まあ、俺も感動中なんだけど。


 この橋は昭和最末期の年、63年(1988年)に完成したそうだ。

 横浜ベイブリッジも翌年(1989年)に完成した橋だけど、あちらは860mの一本。

 こちらは全長12,300m、約12kmもの間を島を足場にして10本の橋が繋げている。

 橋が出来るまでは連絡船で通行していたそうだけど、船舶事故(紫雲丸事故)で修学旅行の小学生達が多く亡くなったのを契機に橋を作るように計画されたとは、後から調べて知ったんだ。


「結構、橋の下に船も通っているんですね」


 マユ姉ぇは運転手の方に聞く。


「ええ、ここは日本でも有数の一大航路ですからね」


 今回、俺達が四国入りする為に取った方法は、羽田空港から岡山空港、今は「岡山桃太郎空港」まで空路移動。

 後は、『お国』がチャーターしてくれたマイクロバスでの移動だ。

 四国内は悲しいかな、公共交通機関があまり発達していない。

 幸い、主要都市間は高速道路で繋がっているので、四国内では車での移動が便利だ。

 今度の「現場」、剣山周辺はJR駅からも遠く、高速道ICからそこそこの距離はあるけど。

 参加者みんな観光も少しくらいしたいという事で、直接四国に乗り付けるんじゃなくて、岡山から車移動という事にした訳だ。


「この橋の下にはJRの電車・気動(ディーゼル)車も通っていますね。鉄道道路併用橋としては世界最長です」


 もう説明し慣れているのか、バスの運転手さんは軽快に説明してくれる。


「ここが『大橋の戦い』の場所なのね」

「うん、ぎんちゃん、すごい!」


 ん?

 ナナ達何話しているんだろう?

 ここが戦場になった事は今まで無いんだけど?


「ナナ、それはどういう意味?」


 俺はナナに聞いた。

 すると意外な事にチエちゃんが答えた。


「コウタ殿は、知らぬ戦いじゃよ。今から約300年後の話じゃ!」


 ん???

 ますます分からないぞ?


「すいません、運転手さん。一度、高速を降りて橋が見える公園、確か記念公園が四国側の降りてすぐにあるんですよね。そこに行って欲しいんですけど」


 ナナは運転手さんに観光案内をお願いする。


「ナナ、橋をゆっくり見たいの?」


 俺はナナに聞いた。


「それもあるんだけど、一箇所行きたい場所があるの。本当はもう少しあるけど、それは戦いが終わったときの『ご褒美』に取っておくの」

「それはイイ事じゃな。何があっても生きて帰る思いになるのじゃ!」

「うん、わたし も いくの!」


 どうやら、3人にとって何か「聖地」らしきものがあるらしい。


「お母さんダメ? ボク、良い子にするから」


 ナナはマユ姉ぇに頼んだ。


「ええ、良いわよ。3人とも行きたいのならね。時間的には余裕あるし。カレンちゃん達も良い? 大丈夫ですよね、運転手さん?」


「はい、私達は大丈夫ですよ、ね、シンミョウ?」

「私は是非ご一緒したいですぅ。アソコですよねぇ」


 カレンさん達はJR等を使って「御山」から岡山駅まで移動してきた。

 岡山駅で2人を回収して、四国入りしている。

 シンミョウさんもワクワクしているのを見ると、何のことか知っているんだ。


「はい、ああ、アソコだね。最近、アニメファンが良く行っているからね。しかし戦いとは物騒な話だね。おじょうちゃん達、気をつけるんだよ」


 あら、運ちゃんも知っているんだ。

 有名なの?


「ありがとうございます。でも流石、運転手さん。よく知っているのね」


 ナナは、運転手さんにお礼を言った。


「まあね、最近はアニメでの『町興し』は良く聞くし、香川だと最近じゃ小豆島(しょうどしま)もそうだね。広島も(くれ)なんかは多いね。岡山も昔は、鷲羽山(わしゅうざん)とかには来ていたそうだけど。じゃ帰りは観音寺(かんおんじ)寄り道かね?」


「はーい!」


 ん?

 観音寺?

 ますます分からない俺だ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 そうこうしている内にバスは四国近くに入る。

 あれ、何か結界みたいなのを通過したのを感じたぞ。


「これが『神樹様(しんじゅさま)の結界』なのね」

「うん、じゅかいけっかい なの」

「まあ、本当は別の結界じゃがな」


 ナナとリタちゃんが分からない会話を続けているが、チエちゃんは苦笑いで結界が実際にある事を説明してくれる。


「コウちゃん、貴方分かる? これ、四国全体に張られている結界ね。特に香川県は強いの。これが弘法大師様の張った八十八箇所結界ね」


 四国は、弘法大師こと空海和尚の生まれた地。

 俺やマユ姉ぇ、カレンさん達が使う真言呪術を日本に伝えた人。

 そして弘法大師、お大師様が四国内に逸話を残した寺が四国全土に88寺院あって、そこを「お遍路(へんろ)」といって四国一周行脚(あんぎゃ)するのが一大宗教行事になっている。


「おへんろ! ボクもアレ見て勉強したの」

「うん、おせったい、いいよね」


 ナナ達、間違った事は言っていないけど、なんか変。

 何で勉強したんだろうか?


「ナナ達、なんか橋を渡り始めた頃から言動が変だけど、どうしたの?」


 俺はナナに疑問をぶつけた。


「それはね、四国に行くんだから、四国関連の作品見まくったの。北海道のローカル番組での四国88箇所は良く分からなかったけど、アニメ関連意外と多いんだ。ホラー映画のはダメだったけど」


 ああ、水曜なんたらね。

 アニメ?

 何があるんだろうか?

 ホラー映画のは、確か88箇所お遍路を逆に行けば死者が蘇るって話だっけ?

 実際には逆に行く「逆さ打ち」「逆打ち」は経路が厳しいし、今もお遍路行脚中のお大師様に会えるといって倍のご利益があるそうな。


「まあ、後からコウ兄ぃには教えてあげるね」

「そうじゃな、四国は崇徳(すとく)上皇の最後の地であり、安徳(あんとく)幼帝の伝説が多い場所じゃ。他にも何かと面白いのじゃ!」


「ねえ、兄貴。さっきから俺、話が分かんないんだけど。これじゃ道案内できないよぉ」

「タクト君、多分あの子達が言っているのはオタクネタだから、分からなくてしょうがないわ」


 タクト君、せっかく道案内で恩返しできると思っていたのに、ネタが分からないから困った様子。

 それを慰めるアヤメさん。

 今回、寺尾室長さんはお留守番、公安からは2人の参加だ。


「コトミ君、若い子達の会話分かるかい?」

「そうですね。たぶんアレじゃないかとは思う作品は知っていますけど、アタシ詳しくないので」


 研究室からは吉井教授とコトミちゃんが参加。

 結局、総勢11人の冒険は、こうやって始まったんだ。

小説内のネタですが、以下です

皆様、分かったでしょうか

では、作者の地元四国をお楽しみくださいませ


北海道:水曜どうでしょう

ホラー:死国

アニメ:

 観音寺・丸亀・坂出:結城友菜は勇者であるシリーズ

 小豆島      :からかい上手の高木さん

 岡山・鷲羽山   :天地無用

 呉        :艦これ


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