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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
第四部 功刀康太はようやく遺跡探訪して、神器争奪戦をする
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第155話 康太は冒険者になる:その4「見つけにくいモノですか?」

「私達が発掘しているのは、徳島県三好市祖谷(いや)剣山(つるぎさん)の近くです」


 剣山とは、日本百名山の一つ、標高1,955m。西日本では同じ四国にある石鎚山(いしづちさん)(1,982m)に次ぐ2番目の高い山。

 この山には数多くの伝説、逸話が存在する。

 「かごめかごめ」、「ソロモン王の秘宝」、「失われたアーク」、「人工ピラミッド」、「地下都市」、平家の落人伝説と安徳帝。

 剣山の名前の由来が、安徳帝が壇ノ浦で入水せずに生き延び、「3種の神器」の「剣」を山に埋めたからという説もある。

 まあ、俺達はその「剣」の実物見たんだけどね。


 そのような様々な伝説に(いろど)られたこの山付近で、今回の遺跡が発見された。

 去年の西日本を襲った大雨による災害復旧時に崩れた山腹から発見されたのが、例の石造りの門らしい。


「元々、剣山付近では変なものが発見されたとかいう話は昔からありますし、神秘溢れる山だとは思いますが、今回の『門』はあまりに例外です」


 日本で巨石による遺跡というのは、古墳以外あまり見られない。

 ある程度以上のサイズともなると、石よりも木材の方が集めやすかったからかもしれない。


「先ほどお話した様に門には、虹色の『石』が数多く埋め込まれており、何かの意味があるように見えました。その上、門に掘り込まれた文字があって、それが大問題でして……」


 急に金子先生は黙り込む。

 そして重い口を開いて話した。


「それが、古ヘブライ文字でして、『聖櫃アークへの扉』と書いてあるんです」


 超古代、日本に古代イスラエルの失われた10支族の一部が移住し、帰化氏族の秦氏の先祖となったという説がある。

 その際に本国で失われたソロモン王の秘宝「聖櫃」が日本に運ばれ、剣山に安置されたというヨタ話もある。

 また3種の神器のうち、鏡「八咫鏡(やたのかがみ)」には古代イスラエルで使用されていた古ヘブライ文字で「我存りて有る者」と書かれているという話もある。


聖櫃(アーク)」といえば、良く俺が比喩に出している映画「インディジョーンズ」シリーズ第一作目でも取り扱われた題材。

 一神教の神がモーゼと交わした契約「十戒」を刻んだ石版、出エジプトにおいて奇跡を起こしたアロンの杖、神々の食べ物、そして後に魔力の意味ともなったマナを詰めた壷が封印された箱だ。

 後にソロモン王が入手した際には、十戒の石版以外は失われていたそうだけど。


「それは、あまりにナニで公開も出来ませんし、うかつに触れませんよね」


 吉井教授は暑くも無い部屋で汗をかく。

 俺もその文字の意味を考え、冷や汗で背中がびっしょりになる。

 コトミちゃんも十分理解しており、顔が真っ青になる。


「ですので、『国』に相談したところ、吉井先生を紹介してくれた訳です」


 つまり危険な遺跡なので、俺がなんとかしろという意味なのかな?


「確かに私は『少々』異界のモノとは戦った事もありますし、功刀君や彼のご家族なら大抵の事態なら問題ないと思いますけど」


 吉井教授、以前マユ姉ぇと組んで、和製インディやっていたらしいし、魔神将(アークデーモン)(ナイト)」戦でもレッサーデーモン共をばったばったと倒してくれた。


「『門』ですが、存在するのは文字通り門だけでどこにも通じていません。ですので、もし開いたとすれば繋がる先は、異界とも魔界とも。何分フィクションの世界とも神話の世界とも言える話です。開かなかったとしても、世界的な発見ともなるので信用あって、もしもの事態に対応できるメンバーの招集をお願い致したく」


 金子先生は、俺に頭を下げる。


「俺だけならすぐにでも参加可能ですが、ウチの面子を総投入ともなると、(みんな)に意見を聞かなければなりませんし、従妹達はまだ中学生です。ムリに連れて行くことも出来ません」


 俺自身は身軽に動けるし、遺跡を見られるというなら大歓迎。

 しかし、マユ姉ぇやナナ達を動かすというのは別問題だ。

 チエちゃんなら大丈夫だろうけど、他の一般生活がある人を巻き込むのはイヤだ。

 そうか、チエちゃんダンジョンの時も、マユ姉ぇはコレで悩んだんだね。


「はい、ですのでお付き合いのある公安さんにも話を通しておりますが、連休付近に一度皆様に来ていただいて、何もなければそのまま観光をして帰っていただく様にと思っております」


 うーん、どうなんだろうか。


「とりあえず、今は即答は出来ないで宜しいですか? 今日帰って聞いてきます」


「はい、構いません。良かったら私もそちらに赴いて、お願いしたいのですが」


 ほう、かなり急ぎで危険な事態なんだ。

 金子先生の言動に、焦りと恐怖を感じる。

 コレは怪しい、カマカケしますか。


「金子先生、実は一度『門』開きましたね。そして大変な事になったと」

「そうですねぇ。アタシも同意見です。首に縄してでも先輩達を連れて行きたいって内心思っていますよね。先生、ホントの事言いませんか? 隠し事しても良い事ありませんよ?」


 俺よりも圧倒的に読心能力が強いコトミちゃんが、俺のフォローしてくれる。

 実に助かるよ。


「先生、それは本当ですか? 隠し事をしてウチの学生達や中学生を危険に巻き込むのは許せないのですが?」


「う、う、……。すいません! 私では、もうどうしていいのか分からんのですぅ!」


 金子先生は急に表情を崩し、恐怖に包まれた表情をした。


「実は作業員の何人かが犠牲になって……」


  ◆ ◇ ◆ ◇


 緊急招集されたマユ姉ぇ亭は関係者でごった返している。

 警察・公安は中村警視、寺尾室長も。

 他には、ご無沙汰の豊原医師、そして吉井教授にコトミちゃん。

 カオリちゃんやケイコちゃんは来ていないけど、何故かルナちゃんがちゃっかり来ている。


「だって、私はココの準家族でしょ。マユ母さんの事心配だし。それにナナちゃん達が留守するのなら私が生徒会を守らなきゃだし」


 9月に行われた生徒会長選挙でナナは見事に生徒会長の座を射止めた。

 その後も7不思議事件など多くの問題を解決していて、歴代で最も優秀な生徒会長では無いかという意見も出ているんだそうな。

 この辺りの話は、同じ生徒会役員でリタちゃんやチエちゃんのファンの森川君から定期的に伝え聞いている。


「それでは、今回の議題について説明するのじゃ!」


 毎度のチエちゃんコールからの開始だ。


ブックマーク、感想、評価・レビュー等を頂けますと、とても嬉しいです。


皆様、宜しくお願い致します。


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