第151話 ナナは生徒会長になる:その10「生徒会長って忙しい:10」
「あーあ、疲れたよぉ」
ボクは生徒会長室の机に突っ伏した。
「おねえちゃん、おつかれさま!」
「リタちゃんも大活躍だったそうね」
ルナちゃんとルナちゃんがお話しているの。
「うん、こうにいちゃん が ばったばった。たくとにいちゃん が ぼうぼう。わたし、ほとんど なにも しなかったよ」
「コウ兄ちゃん達は?」
「わるもの、しばって あやめおねえちゃんたちに わたしていたよ」
「そうなんだ。こっちは大変だったよ。オトコ共が役立たずで」
ジト眼で机や椅子を並べたところに転がっている男子を見るルナちゃん。
「ルナ様、申し訳ありません。私がもう少し早く到着していればお困りでもなかったでしょうに」
「良いんですよ、朧さん。コイツらが情けないだけだから」
裸にひん剥いた教頭先生とか気絶した男子を運べなかったから、チエ姉ぇに頼んで朧さんに来てもらったの。
流石は大悪魔、軽々と男子2人を持ち上げるし、教頭先生にはどこからか服持ってきて、捕縛しつつアヤメお姉さんに渡してもらったの。
「チエ姉ぇ、コイツら早く起こしてよぉ」
ボクは、へたれたままチエ姉ぇに頼む。
ボクも小物全開は疲れるんだもん。
「少々手荒でかまぬかのぉ。では、『アンモニア水!』」
チエ姉ぇはどこからかアンモニア水が入った試薬ビンを取り出した。
もちろん、身長体重が123の青ダヌキの旧バージョンCVっぽく言うの。
「チエ姉ぇ、そのドラネタ好きだねぇ」
「うむ、鉄板ネタじゃし、ワシの引き寄せ能力向きじゃしのぉ」
喜々としながら男子達の鼻元にアンモニア水を近づけるチエ姉ぇ。
後から聞いたんだけど、気付け薬としてアンモニア水を嗅がすのは昔から使われているんだって。
「ひ!」
「う!」
あら、効果抜群ね。
2人とも飛び起きたの。
「おはよう、かな? 情けない男子達」
ボクはジト眼で起きた男子を見る。
「あ、会長! すいません、あまりの非現実的な光景に眼を回しました」
「オレ、オカルト全部ダメなんですぅ」
全く情けないなぁ。
「コレ、怖いの?」
ボクはそう言って漏斗サンを男子の前に飛ばす。
「ひ!」
「ひゃぁぁ!」
おい、本当に大丈夫なの?
「怖く無いって。男子なら知っているよね。Gダムのファンネルって。漏斗って英語でファンネルって言うんだよ。この子もビーム飛ばしてくれるし」
漏斗サン、祝砲変わりに高機動見せてビームを撃った。
「えー!!」
「? かっこいい!」
あら、森川君の反応が違うぞ。
「会長、もしかして会長もGダムファンなんですか?」
「うん、00とかはね。もちろん初代も知っているし、初代原理主義とか種原理主義じゃないよ」
うん、この辺りややこしいんだよね。
どの宗教にも原理主義はある。
そして、アニメGダムでも初代至上主義とか種拒否派とか鉄血ゆるさん党とかあるの。
なんで何でも楽しめないのかなぁ。
「うむ、何でも楽しんでこそじゃ。違いや進化、時代の流れを理解せんではもったいないのじゃ!」
「はいはい、オタク共の濃い会話はこのあたりにしてね。私、付いて行けないから」
あ、ルナちゃん放置しちゃった。
「ルナちゃん、ごめんね。ついやっちゃったね」
「わたし おねえちゃんのよこでみたから、わかるよ」
異星人エルフをオタク汚染しちゃった私も、かなり罪深いなぁ。
最初から「堕落」している悪魔は、しょうがないけど。(笑)
「とりあえず、事件解決ね」
「はい、終わってみればですが、大変でした」
まだ正気を維持するのがやっとの三木君。
そういえば、無人の音楽室でピアノ聞いたって話は、最新型ピアノの無人演奏システム誤作動が原因。
その子が入院したのは持病の検査入院で、全くオカルトとは無関係だったのね。
「でも面白かったよ、オレ」
Gダムネタで完全復活した森川君。
案外オタクっぽい事もあるんだね。
あの太い指でガンプラ組み立てているんだろうか?
今度聞いてみよーっと。
「前赴任先の大規模校で覗きや下着泥棒やらかして、小さなウチに送致。後は放置って教育委員会はナニ考えていたんでしょうねぇ」
三木君は、コトミお姉ちゃんから聞いた教頭先生の過去の「犯罪」について愚痴る。
「多分情報隠蔽を兼ねてかな? 大事になると教育委員会も問題になるから、もみ消し兼ねてじゃないの? だから万年教頭どまりだったし」
普通は教頭になったら5年以内に校長に昇進するはずだものね。
「私の時もそうだし、オトナって汚いね」
ルナちゃんも教育委員会には良い感情は無い。
イジメ問題をもみ消されたから、しょうがないよ。
「でも、ウチの大人達は皆すごいし、立派よね」
「うん、それは確か」
「おにいちゃんやおかあさん すごいしね」
「確かに圧倒されるほどスゴイ方々でした」
「オレ感動した!」
うん、身内を褒めて貰えるのは嬉しい事だよ。
「ソコにワシ含まれるのかのぉ? 一応御歳千歳越えの乙女なワシが」
「えーっと、皆もちろん含まれているよね」
「うん」「ええ」「はい」「チエ様ぁ」
おおむね同意のようだ。
「うむうむ、そうじゃろ」
「チエ様、あんまり無理強いは良くないですよ」
チエ姉ぇ、朧さんに突っ込まれてる。
「朧よ、別にいいじゃろ。ワシ、こういう時くらい大人扱いして欲しいんじゃ!」
まあ、かわいい事だよね、チエ姉ぇ。
「そういえば会長、溜まっていた書類処理できましたか?」
あ!
三木君のつっこみで思い出した私。
完全に忘れてたよ。
「えーっと、……、まだ、……かなぁ」
「会長! 締め切りは来週水曜日です。明日からはみっちりやってもらいますからね」
「ひぇぇぇ! 誰か助けてぇ!」
せっかく学校の危機を救ったボクなのに、誰もボクの危機助けてくれないのぉ!
「はいはい、しょうがないから手伝うよ。リタちゃん、やるよ!」
「うん、るなおねえちゃん!」
あー、持つべきものは賢い妹と友人ね。
こうやってボクの生徒会長生活は続くのね。
(おしまい)
これにて、ナナ達が主人公の外伝はおしまいです。
続いて第4部の掲載は、10月5日より開始します。
今までどおり、毎日更新しますので連載再開をお待ち下さいませ。
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皆様、今後とも宜しくお願い致します。




