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功刀 康太の遺跡探訪、時々お祓い ~女難あふれる退魔伝~  作者: GOM
外伝:ナナとリタの学園退魔伝
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第145話 ナナは生徒会長になる:その4「生徒会長って忙しい:4」

「お母さん、学校の7不思議って知ってる?」


 ボクは、夕食後の休憩時間にお母さんに聞いてみた。

 なお、ボクの近くには沢山の資料と睨めっこしているコウ兄ぃ、それをつついて遊んでいるチエ姉ぇ、それを楽しそうに見ているリタちゃん、呆れ顔しているルナちゃんがいる。


「ええ、何処にでもあるわよね。ナナの学校だと雲外鏡(うんがいきょう)サン元気にしてた?」


「ええ、また夕方学校からなかなか帰らない子を脅かしてたよ」


「あら、昔から変わらないのね。まあ、昔私がこっぴどく指導しておいたから、酷い事はしないわよね」


 お母さんは中学校時代、別の学校に通っていたそうなんだけど、同じ塾に通っていた子から助けて欲しいと聞いて、ボクの学校へ行ったんだとか。

 そこで雲外鏡サンを折檻(笑)して、脅かすのは良いけど学校から中々帰らない子限定にするように約束させたんだって。


「ああ、懐かしいわ。あの時に正明さんと初めて出会ったのよ。そういう意味では雲外鏡サンは私達のキューピットさんかしら」


 え、それは初耳。


「それはボク聞いた事無いよ。その頃のお父さんってどんな子だったの?」

「わたしも しりたいの」

「うむ、ワシも知りたいのじゃ!」

「私はどっちでも良いよ」

(みんな)頼むから静かにしてくれよぉ! 俺、修士論文大詰めなんだから!!」


「そうね、正明さん、お父さんはナナと同じで生徒会長さんだったの。私が中学1年でお父さんが中学3年の時だったかしら。最初はオカルトなんて全く信じないから、可哀想だったけど百鬼夜行見せたのよ」


 そういえば昔中村さんにも百鬼夜行見せたって言ってたよね。

 ボクは見た事無いけど、お母さんのやる事だから凄そう。


「お父さん、どうなったの?」


「もちろん、気絶したわよ。しょうがないので介抱もしたわよ。それからかな、お父さんの事を妙に気になったの私。お父さんも同じだったみたいで、そこからお友達になってね。高校は1年間だけだったけど、同じ高校だったわ。それからお父さんはお医者さんになるって言うから、私も一緒に仕事したいって言って看護師になった訳なの。霊能力修行と勉強の両立は大変だったわ」


 2人とも昔から相思相愛だったのね。

 だから今も新婚さんみたいに仲良いんだ。


「はいはい、ごちそうさま。お母さん」

「ふむ、昔はオカルトがダメだった父様(とうさま)が今では魔窟(まくつ)(あるじ)とはのぉ」

「おとうさんと おかあさん、むかしから なかよし!」

「なんか、すっごくノロケられた気がするんだけど」

「正明さんの苦労は中学校時代からなのか、大変だったんだろうなぁ」


 それから私は今の7不思議を説明したの。


「あら、ナナとルナちゃんが7不思議なんて光栄ね」


「えー、それ光栄に思って良いの? そろそろ学校のマナ濃度高すぎだから、今度対応策教えてよ」


 お母さんは、気楽にボク達が怖がられているのを喜んでいる。

 当事者は、気が気じゃないんですけど。


「護符を貼るにも学校全体じゃ範囲が広いわよねぇ。そうだ、チエちゃん。今度ナナに付いていって学校のマナ回収してきてくれない?」


「ワシか。別に構わんのじゃ。では、ナナ殿いつ学校へ行けばいいのじゃ?」


「そうね、明日の夕方にお願いできる、チエ姉ぇ。チエ姉ぇがいるなら雲外鏡サンとかにも説明できるし、ベートーベンの秘密も一緒に探してもらえる?」


「ほう、学校の不思議とは面白いのぉ」


 チエ姉ぇが一緒なら、どんな敵が相手でも全然怖く無い。

 無敵の魔神将(アークデーモン)が味方なんて、ボク達すごいよね。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「へえ、この子がお姉さん?」


 副会長の三木君がチエ姉ぇをじろりと上から不遜げに見る。


「別にいいじゃないの、かわいいお姉さんですね。オレは森川と言います」


 庶務の森川君は、チエちゃんの目線まで大きな体を縮めて挨拶をした。


「ほう、ワシを見てそう(あなど)るのか、小僧!」


 チエ姉ぇは、失礼な三木君を傲慢(ごうまん)風なドヤ顔で見上げる。


「なんだよ、本当にこんな失礼なチビッ子がお姉さんな訳ないだろ?」


 まだまだ慇懃(いんぎん)な態度の三木君。

 キミの方がどれだけ失礼なんだか。


「あー、副会長。だめですよ。チエ姉さんは、本当にお姉様なんだから」

「ちえおねえちゃん、すごいんだよ!」


 ルナちゃんとチエちゃんの2人は、失礼な三木君にハラハラ。


「おい、副会長! いいがけんにしろよ。不思議な事が多い会長のお家なんだから、このチエちゃんが普通じゃなくても別におかしくないだろ?」


 怖がりの森川君の方が、チエ姉ぇの本質を見抜いているのが面白いや。

 怖いというのは自分に対する危機度合いからくるんだから、案外森川君って気配とか分かるのかもね。


「そうじゃ、森川殿は正しいのじゃ。そうじゃな、この部屋でなら大丈夫じゃな」


 あー、チエ姉ぇキレた。


「これがワシの真の正体、魔神将(アークデーモン)じゃぁ!!」


 チエ姉ぇはドバーって煙を出したと思ったら、2mくらいの美人巨乳悪魔形態に変身した。


「私見るの二度目だけど、チエ姉さんって、やっぱり美人さんよね」

「ちえおねちゃん、きれー」


 見慣れた2人の乙女達の反応は、いつも通り。

 ボクも、チエ姉ぇは絶品の美人さんだと思うよ。


「ひぃぃ!」


 悪魔を目の当たりにして腰を抜かす三木君。


「ぽー」


 しかし、オカルトが弱いはずの森川君が、平気などころか真っ赤な顔をしてチエ姉ぇを眺めている。


「うむ、久しぶりに驚いてくれたのじゃ! どーもナナ殿やコウタ殿の近くの人間は怖がったりしないし驚かないから反応がとっても新鮮なのじゃ!」


 そうよね、ボク達「普通」じゃないもん。


「さて、これで姿形で相手を見くびる事はもうあるまい。三木殿、いつもナナ殿がお世話になっておるのじゃ。これからもよろしく頼むのじゃ!」


 チエ姉ぇは、ドロンといつもの幼女に戻ってニッコリとしながら腰が抜けた三木君の手を握り、よいしょと持ち上げた。


「ああ、ごめんなさい。チエさん。俺、ダメだなぁ」


 三木君、必死に頭を下げてチエ姉ぇに謝る。


「いいのじゃ! こんな姿をしておるワシも悪いんじゃからのぉ」


 チエ姉ぇ、ニッコリと三木君や森川君を見る。


「チエちゃん、いやチエ様。俺ファンになって良いですか?」


 拝むように手を合わせながら赤い顔でチエ姉ぇを見る森川君。


「うむぅ、ワシの姿見たら驚くか拝むかの2パターンしか無いのは、どうしてなのじゃぁ!!」


 困るチエ姉ぇ、まあこれは毎度の事だね。

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